「WE GO ON -死霊の証明-」

wegoon

2016年のアメリカ映画「WE GO ON -死霊の証明-」。
多くの恐怖症を抱える男性が、「死霊を見る」ことにこだわり、なんと新聞広告を募集。軽い気持ちで始めたことが、恐ろしい結果を招くことになり……!
想像以上に面白かった、ユニークな設定。描写もなかなかスリリングです。

登場人物

グリッソム・マイルズ:主人公。運転恐怖症、広場恐怖症、さらに死を強く恐れている。それを克服したくて、新聞広告に「死霊を見せてくれる人」を募集する。
マイルズの母:とても優しい母。夫とは死別している。
ネルソン:マイルズに不思議なメッセージを送ってきた男。

ネタバレ

交通事故を起こした主人公・マイルズ。バスに乗るも、怖くてたまらない。
彼は運転恐怖症、広場恐怖症、腐敗恐怖症、さらに高所・飛行機・列車恐怖症でもある。特に、車がダメになってしまった。死を恐れる彼は「死後の存在を証明した人に3万ドル」という広告を出す。

編集の仕事をしながら、滅入るマイルズ。母親がそこに押しかけてくる。おばからの遺産をつぎ込んでいる彼を怒る母親だが、彼は応募してきた人たちの“作品”を見せる。映像などでアピールしてくる応募者たち。
懐疑的で不十分な内容のもの、宗教がらみ、明らかなニセモノ、イタズラ、勧誘、ありえない内容、ドラッグの案内。なかには彼に引っかかる内容のものもある。電話番号を公開していないのに、ボイスメールで「振り子時計の中に女の霊がいる」と伝えてきているものだ。
だが、マイルズは学者、女霊媒師、企業家の3人に候補を絞っている。

まず学者と話をしに行き(心配した母もついてきたが)、彼がもっとも恐怖を感じる場所・中学校に出かけることにした3人。マイルズが通っていた学校では、生徒がロッカーの中で変死した事件が起きたのだ。その死体は夏中、ロッカーの中にあった。犯人は捕まらず、そこは「棺桶ロッカー」と呼ばれていた。夜、許可を得て学校に入り、ロッカーまで行くマイルズだが、そのロッカーの中には何もない。だが、扉を閉めたらそこには子供の幽霊がいる!
パニックを起こすマイルズ。だが、冷静な母親が見抜いた。それは生きている子供だったのだ。
学者は彼を騙していた。療法のつもりだったようだが、マイルズには効果がなかった。

次に、霊媒師のもとに向かうマイルズ。彼女は非常に貧しいようだ。
話を聞くが、様子がおかしい女霊媒師。ドラッグをやっているのかと疑うマイルズ。とにかく支離滅裂なのだ。
「ビルという男が首にロープを巻いている」と口走る女霊媒師だが、あまりの様子のおかしさに、親子はそこを立ち去る。だが、ビルというのはマイルズの父親と同じ名前だ。父は故人だが、もしかして……?

3人目の候補者の家に行く親子だが、昔の友人に出くわす。彼は特殊効果の会社を起こしており、企業家の自宅に何かを仕掛けにいったところだったらしい。マイルズは彼もニセモノだと知り、そのまま帰宅する。

だが、マイルズは編集中に気が付く。彼の編集している映像の中。振り子時計に、女の幽霊が映り込んでいる。
「霊を信じない?そこら中にいるさ。もう女性の霊を見ている、振り子時計の中に」
ボイスメールの声が蘇る。

その男に会いに行くマイルズだが、その相手・ネルソンは空港の滑走路で働いているようだ。LA空港の騒音のせいで、その周辺はゴーストタウンと化しているそうだ。ある廃墟に案内され、恐ろしい気配を感じながらもマイルズは中に入る。死霊に出会えるという予感があったからだ。だが、部屋の中ではある人が死んでいた。それは、ネルソン本人だった。転んでしまい、ネルソンの体から出ている粘液に突っ込んでしまうマイルズだが、死体のネルソンが突然手を掴み、「これで一緒だ」と彼に囁く。

慌てて逃げ出し、近くの公衆便所で顔を洗うマイルズ。やってきた掃除人にネルソンのことを伝えるが、その掃除人すら、そのまま掻き消えてしまう。

苦手な車に乗って逃げるマイルズだが、ラジオからは雑音が流れてくる。バスに乗り換えても、今度は女性の叫ぶ顔が突然目の前に浮かび上がる。

帰宅をしても、まぶたの裏におそろしいものが浮かんで離れない。母はマイルズがドラッグをしているのかと心配する。そして母から、父が首を吊ったという事実を知らされるマイルズ。
つまり、女霊媒師は彼の父親の霊を見て驚き、慌てていたのだ。嘘をついていた母に怒りを覚えつつ、霊媒師のジョセフィナのもとを改めて訪れるマイルズ。

ジョセフィナは、やはり父の霊を見ていた。
ネルソンは、「恋人のアリスを探してほしい」を彼に言っていた。マイルズとジョセフィナは、その言葉はアリスを殺せ、あの世に連れていけるように、という意味だと気が付く。

ネルソンの死体が見つかり、母もマイルズのいうことを信じる。母は、息子のためなら自分がアリスを殺してもいいという。

ネルソンの葬式で、アリスと鉢合わせるマイルズだが、彼女はネルソンを嫌っている。ドラッグをやめない彼に愛想をつかしていたのだ。「死んでよかった」とすら言う。
マイルズにはネルソンの姿が見えることを、アリスは気付く。だが、アリスに危害を加えないと約束するマイルズ。母は彼女を撃とうとするが、マイルズは既に銃から弾を抜いていた。

マイルズはネルソンや霊と折り合いをつけて生きて行こうとする。車の外にたくさんの手が張り付いても気にしない。ネルソンが喜ぶように空港に足を運び、飛行機を見せ、轟音を聞かせる。死者を見分けて、気持ちを落ち着かせる。
できるだけ平和に暮らそうとするけれど、それでも部屋の隅には父親の首吊り死体が見え、マイルズはおかしくなりそうになる。ふと、飛び降りそうになるマイルズ。ネルソンは彼を止める(死なれてしまったら、アリスを殺してもらうという目的が叶わない)。だが、彼はマグカップを落としただけで、そのまま引っ込む。

マイルズはジョセフィナにお礼として(広告に出していた賞金としての)小切手を渡す。
帰宅時、偶然アリスと会うマイルズ。だが、突然マイルズはアリスに撃たれてしまう。

ジョセフィナは自宅(もともとマイルズとは別で暮らしている)に戻ろうとしていた母親に連絡をして、「ビルがロープのあとを見せてくる」「マイルズに何かあった、引き返せ」と伝える。

アリスは実は、別の男との間に子供がいた。更生しないネルソンは邪魔でしかなく、彼をわざとドラッグに誘い、毒を混入したドラッグを渡して彼を殺したのだ。そして、自分が殺されないために、マイルズを撃った。
「地獄でやかれろ!」
「地獄は、ない……」

だが、マイルズは母とジョセフィナ、そして父のおかげで助かった。
無事に仕事に戻っており、外にも出られるようになっているマイルズ。だが、「unknown」から電話がかかっている。急に具合が悪くなったようにも見えるマイルズだが、突然笑う。その顔に、少年の頃の彼の顔(父と母がとにかくかわいがっていた=無邪気で万能だったともいえる頃の顔?)が重なる。

感想

・死霊を見せてくれる人を広告で募集するという展開、さんざん騙されつつも予期せぬ展開で死霊に苦しめられていき、だが、彼の善意が最終的に彼を救う。それでも押し寄せてくる悪意。でも、彼はそれに立ち向かう勇気を得たという、ホラー映画としてはハッピーエンドなのかもしれない。
・死霊の感じが、なんともいえずにリアル。ネルソンが本当に気持ち悪い感じでそばにずーっといるんですよね。なんとなくですが、ちょっとキングの映画的な感じもした。
・結論:アリスがクソだった。彼女が逮捕されたことで、ネルソンは満足したのか?それとも?最後の電話が悪霊のものなのか、それとも彼が「知らない人からの電話が怖い」対人恐怖症も患っているのか?はわかりませんが、この最後のマイルズのニヤッ、が図太くなっていて好ましい。
・最初、お母さんが実は幽霊なのかな?と思っていたのですが、生きてました。この映画のユニークなところは、キャストもそれぞれ有能なところですね。マイルズはもちろん、親子の演技もすごくナチュラルで、ユーモラスなところも含まれています。

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