「31」

31

ロブ・ゾンビ監督の新作「31」。意味があるのか?と思って調べたのですが、アメリカでは「13」は不吉な数字らしいですけど(「13日の金曜日」しかり)、「31」についてはよくわからない。まあ、意味なんてなくていいのだ!
ちなみに、この映画はハロウィンシーズンのお話です。ロブ・ゾンビはハロウィン好きなのか?そして相変わらず嫁が主演です。相変わらずベイビーは美人です。「マーダー・ライド・ショー」の頃とは違う、凄みのある色気がありますぞ。
「ロード・オブ・セイラム」はものすごく悪魔主義的な映画でしたが、今回は過去作のエッセンスをまた凝縮したような感じです。たぶん、ゾンビ監督は撮りたいものが変わらないんでしょうね。私は好きです。
音楽もいいし、フィルムの質感もいいし、80年代を意識したのだろうなという雰囲気も好き。「悪魔のいけにえ」とか好きなんでしょうねえ。知らんけど。

あらすじ

「マーダー・ライド・ショー」「ハロウィン」のロブ・ゾンビ監督が殺人ゲームをテーマに贈る戦慄のバイオレンス・ホラー。主演はシェリ・ムーン・ゾンビ、共演にジェフ・ダニエル・フィリップス、メグ・フォスター、マルコム・マクダウェル。
ハロウィン前夜。カーニバルで働く5人の男女が何者かに拉致され、出口をふさがれた巨大廃墟に監禁される。そして“31”と呼ばれる殺人ゲームに強制的に参加させられてしまう。ルールは1つ。それは、施設内に放たれた“ザ・ヘッズ”と呼ばれる狂気の殺人ピエロ集団から逃げ切るか、戦って勝つかして、12時間生き延びた者だけが自由になれるという、あまりにも過酷なものだった。
http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=358057

登場人物

チャーリー:主人公。スタイル抜群の美女。カーニバルの出し物でも中心的な存在らしい。
ロスコー:カーニバルの修理係。出し物をする側にまわるのが夢。
ヴィーナス:チャーリーを主人公にした出し物のプロデュースをしている。仲間の中でもリーダー格のおばあちゃん。
リヴォン:年配の黒人男性。パンダと仲がいい。
パンダ:黒人男性。リヴォンとは幼馴染のような関係。

「ドゥームヘッド」:殺人鬼のひとり。

ネタバレ

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(ポスターがカッコイイ……)

縛り付けている牧師に話をしている殺人鬼・ドゥームヘッド。牧師は妻や子供の身を案じているが、殺人鬼はダラダラと持論を話し、「知ってるか?地獄でもポップコーンが人気なんだぜ」という言葉と共に彼を殺してしまう。

1976年10月31日。
カーニバルで働く一団が、新しい開催地を目指してキャンピングカーで移動している。一座の看板娘のチャーリー、皆を取り仕切るヴィーナス、自分も演者にまわりたいロスコー、女の子とイチャイチャしているリヴォン、チャーリーを膝の上に乗せているパンダのほかにも、運転をしているでぶっちょのランディ、リヴォンに抱かれていた黒人の女の子、ロスコーにくっついている新人女などもいる。

彼らは給油でガソリンスタンドに立ち寄る。スタンドで働くじいさんをからかって遊ぶチャーリー。謎の女が近付いてきてヒッチハイクをねだるが、ロスコーはそれに乗っかるフリをして牽制する。

彼らは夜道を走っているが、道が塞がれていることに気が付く。ブードゥー教の案山子だと気が付いた面々だが、囚人服の男たちに襲われ、チャーリー、ロスコー、ヴィーナス、リヴォン、パンダ以外は殺されてしまう。

気が付いたら、彼らは縛られて謎の館の中にいた。フランス貴族のような格好をした老人と2人の老婆が、彼らがゲーム「31」に参加することを宣言する。
①パンダはオッズ50倍、②ヴィーナスは500倍、③ロスコーは100倍、④リヴォンは60倍、⑤チャーリーは500倍とオッズが発表される。彼らは12時間生き残らなければいけない。だが、凶暴なやり方で彼らを殺すため、さまざまな殺人鬼が招集されている。

最初の殺人鬼、シック・ハックはヒットラー風の扮装をした小人の殺人鬼だ。彼は両手のナイフをチラつかせながら、チャーリーたちに悪口を言う。
その後、彼らは謎の廃工場の中でバラバラに解放され、彷徨う。ロスコーとパンダが合流するが、そこには女性の死体が並べられ、殺人鬼の異常性がありありと伝わってきた。リヴォンはウサギの着ぐるみをかぶった殺人鬼と遭遇する。
トイレに隠れていたチャーリーはリヴォンと合流するも、彼が刺されてしまう。チャーリーは殺人鬼を殴りつけるが、仕留めそこね、また襲われてしまう。逃げたチャーリーはヴィーナスと合流し、殺人鬼を今度こそ殺すが、リヴォンは死んでしまう。
※なお、彼らはバールやパイプなどの弱めの武器は与えられています。

豪華な食事を与えられる生き残りの4人。パンダは彼らに復讐するためにがっついて食べ始める。ロスコーもそれに続くが、テーブルクロスをめくると、そこにはガラスのテーブルに収められたリヴォンの死体があった。彼らが食べていた豪華な食事は、リヴォンの肉でできていたのだ!ロスコーは慌てて吐き戻し、パンダは呆然とする。
パンダのオッズは50倍に、ロスコーは90倍に、ヴィーナスは300倍に、チャーリーは400倍に変更になる。

残り9時間。
次の殺人鬼はサイコ・ヘッドとスキッツォ・ヘッド。ピエロの顔の皮をかぶり、それぞれチェーンソーを持っている。サーカス小屋風の部屋に入っていく彼らだが、血だらけのダッチワイフの中に包まれている女性を見つける。
(彼女は冒頭の牧師の妻のようだが、そのことは明かされない)
彼女を自由にするかで、ヴィーナス(逃がすべきと主張)とロスコー(そのままにしておくべきと主張)は喧嘩になる。

ロスコーとヴィーナス、パンダとチャーリーで分断され、それぞれが敵と戦うことになってしまう。ロスコーは腕を噛みちぎられるものの、ヴィーナスと協力し、チェーンソーの上に倒れた殺人鬼をそのまま抑えつけて殺す。
パンダは腹を切られるがチェーンソーを奪い、「自分たちも無理強いされた」と泣き出した殺人鬼を殺して、首を斬る。

残り7時間。
パンダのオッズは40倍、大ケガをしたロスコーは100万倍、ヴィーナスとチャーリーは300倍になる。

次の殺人鬼は「SEX」と「DEATH」だ。小さな女性のSEX、大柄の男性のDEATHはカップルらしい。チュチュを着ていて、顔をベタベタに塗りたくっている。
彼らを出し抜こうとしたパンダは殴られる。ヴィーナスは殺人鬼から奪っておいたチェーンソーを使って、ロスコー以外の3人はDEATHに立ち向かう!
隠れていた血まみれのロスコーを襲ったのはSEXだ。彼女は、ガソリンスタンドで彼に話しかけた美女だった。彼女はクサリや刃物を使ってロスコーを襲う。だが、チャーリーが彼女に襲い掛かる。

パンダは死んでしまうが、チャーリーはSEXを人質にとり、ヴィーナスにDEATHを殺させ、SEXは自分で殺す。

賭けの胴元らしい(といっても、3人でこのゲームを主催して、賭けも楽しんでいるように見える)老人3人はこの結果に焦り、どの殺人鬼を招集するか悩む。彼らはドゥーム・ヘッドを電話で呼び出す。
彼はドラキュラ映画を見ながら、女性と激しいセックスをしている。だが、そこに電話かかってきて、彼は運営のもとに向かい、自らの顔を白く塗りたくる。そして、自分を鼓舞しながら自らの口から血を垂らし、それを口に運ぶ。

ヴィーナスを襲うピエロの殺人鬼。彼らは首を縫い合わされ、元通りになったようだ。チャーリーが人質になっているといい、彼女を襲う殺人鬼たち。だが、それは夢だった。
生き残っているロスコー、偵察に行っているチャーリー。ヴィーナスはチャーリーが単独行動をしていることに驚き、彼を追いかけようとするが、ドゥーム・ヘッドに刺されてしまう。
「人生は腐った連中の墓場に過ぎない」

殺人鬼に追われるチャーリーを逃がし、囮になるロスコー。速攻で殺されてしまう。
外に脱出したチャーリーだが、喜びの絶叫をする。何度も。
近くにあった廃屋に入る彼女だが、そこにはカーニバルの自動で動く人形劇セットがあった。ドゥーム・ヘッドに追いつかれ、殴られるチャーリー。だが、ここで12時間が終了する。ドゥーム・ヘッドはルールを守り、悔しいながらも戻るしかない。

3人の老人たちは扮装を解き、裕福で正常な人間たちに戻っていく。
(ちなみに、老人たちのひとりはマルコム・マクダウェルでした。「時計仕掛けのオレンジ」に出ていたころより、今のおじいちゃん顔のほうが私は馴染み深い。どうでもいいけど、すごく俳優としていい顔ですよね)

血まみれで歩いているチャーリー。
そこに、車がやってくる。ドゥーム・ヘッドだ。彼は扮装を解いておらず、チャーリーを殺す気満々だ。振り返ったチャーリーも、拳を握る。殺人鬼は両手のナイフをかざす。

ホームビデオ調の映像。彼らが楽しげに踊るさまが流れる。そして、走り続ける車の映像が続いていく。

感想

・キャラの濃い殺人鬼集団とは裏腹に、セットはすごくシンプル。ところどころ作り込まれているセットもあるのですが、基本は廃工場みたいな感じ。
・キーパーソンであるドゥーム・ヘッドは、ヴァンパイアをイメージしているのかな?と思ったのですが、武器や衣装はシンプル。ピュア100パーセントのキチって感じがすごい。プライベートの過ごし方が非常に下品なのもいいですね。
・ちなみに音楽もいいです。
・基本的には若者が全然いないように見えるけど、どうなんだろう。全員おじさんとおばさんなのが面白い。ティーンエイジャーを狩る映画ではなく、昔よくあったヒッピーを狩る映画ですね。
・先の読めなさやむごたらしさは最近のホラーでは珍しいほど血生臭い。とにかくむごい!そこを貫き通すことについて考えさせられる映画でもあります。