「セル」

セル

2016年の映画「セル」。キング原作のうえ、脚本も彼が手掛けている(ということになっているけど、共同執筆だからどこまでやってるんだろ)そうです。
・携帯電話を通じて、支配されてしまう人々。凶暴化した人間は、人間を襲い続ける……!
・ジョン・キューザックとサミュエルLジャクソンのロードムービー
・ニコラス・ケイジの「ノウイング」に通じる衝撃のラスト
前半がかなりいい感じなのに、終盤がわりあいしょうもないのはキング映画あるあるという感じ。

あらすじ

スティーヴン・キングの同名ベストセラーをジョン・キューザックとサミュエル・L・ジャクソンの共演で映画化したホラー・サスペンス。携帯電話で謎の電波に感染した人々が次々と凶暴化していくパニック状態の世界で決死のサバイバルを繰り広げる主人公たちの運命を描く。監督は「ドア・イン・ザ・フロア」「パラノーマル・アクティビティ2」のトッド・ウィリアムズ。
ボストンの空港で別居中の妻子に電話をかけるコミック作家のクレイだったが、途中で電池切れになってしまう。しばらくすると、携帯電話で話していた人々が一斉に凶暴化する。一瞬にしてパニック状態となった空港から地下鉄に逃げ込んだクレイは、車掌のトムと自宅アパートの階上に住む少女アリスと協力しあいながら、妻子のいるニューハンプシャーを目指すのだったが…。
http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=359023

ネタバレ

クレイ:妻子と別れた漫画家。その原因は彼の産脇にあるらしいが、現在はひとり。心優しい男。
トム:空港でクレイと知り合った電車の運転士。元軍人で、かなりたくましい。ゲイらしい。
アリス:クレイと同じマンションに住んでいた女子。彼らと行動を共にする。
ジョーダン:旅の途中で出会った少年。クレイを慕う。

ネタバレ

大きな仕事が決まり、空港に着いたクレイ。別れた妻と子に電話をするが、拒絶される。携帯の電池が切れるも、そこで空港にパニックが起こる。空港で携帯を使っていた人たちが、おかしくなったのだ。泡を吹いて倒れた彼らは、そのまま人間を襲い始める。クレイは襲われている人を助けようとして、男を殺してしまう。彼の脳みそを見てショックを受けるクレイ(あんたがやったんだよ!)。
警察に連絡をしようとした女子も、突然おかしくなってしまい、柱に頭を打ちつけて笑いながらどこかに去っていく。その顔は歯が抜け落ちて、狂人そのものだ。検査官は犬を食べているし、シェフはナイフで人を刺しまくっている。

しかもそこに飛行機が突っ込む。地下鉄に逃げ込んだクレイだが、そこには生存者たちがいる。その一方で、追ってきた人間たちは倒れて動けなくなっている(圏外だから??)。
線路を歩いて逃げるべきだと、運転士のトムは皆に告げるが、多くの人は救助を待つと残る。トムとクレイ、若い青年のマイクだけが脱出する。
(地下鉄も24時間で地下水が溢れて水没するため、整備口から外に逃げたほうがいいという設定)

だが、出口には既に狂人たちがいる。マイクは彼らに殺され、クレイとトムは命からがら逃げる。

クレイの家に逃げる2人。そこに、上の住人のアリスがやってくる。彼女はママを殺してパニックになっているのだ。クレイは彼女に優しく接する。
クレイは自分の家族を探しに行くつもりだ。

朝、彼らは家から脱出する。集団で行動する狂人の群れを見かけるが、そこにバイクが突っ込み、襲われているのを見る。
(食べ物を口から垂らしたままの人間もいる)
※関係ないですが、ジョン・キューザックがなかなか足が遅いのも見どころかもしれない。なんだかしらないが、やたらと走るのおそいんだよな。

銃があるらしい家に入る3人。銃をたくさん手に入れることができる。しかし、家の裏庭に犬を抱いている人がいる。声をかけたら、やはりそれは狂人だった。しかも銃声に寄って来る彼ら。
森を走る3人だが、ガンガン追いかけてくる狂人。パンツ一丁の者もいる。木の幹にガツンとぶつかる者までいる(コント?)。
ボートの下に隠れてやり過ごすが、夕暮れになると、狂人たちは口から「キリキリキリ……」という騒音を出す。そして、どこかに帰っていく。彼らは独自のパルスで通じ合い、情報共有しているのか。

夜。ある寄宿学校にたどり着き、唯一無事だったらしい生徒・ジョーンズくんと校長に助けられ、食事をごちそうになる。生徒たちは校庭で倒れ、眠っている。彼らは連動して口から音楽を流しており、息をしていない。本人たちがトランスミッターになっているのだと推測する大人たち。
「あれは人間の進化だ」
彼らはソフトウェアを更新している状態なのだ。

寝ている生徒たちを焼き払うことになり、散布車にガソリンを入れてまくことになる。生徒たちの上を、車でガンガン引き潰しながら通るクレイとトム。
その後、火を放つが、生徒たちは次々起き上がって絶叫する。車にも引火して爆発し、校長が死んでしまう(距離とれよ……)。その後、残った4人は脱出することになる。

ダイナーで眠る4人。クレイはトイレに赤いフードつきパーカーの男がおり、妻を襲っている夢を見る。だが、その夢を見ていたのは彼だけではない。皆、その男の出てくる悪夢を見ていた。しかも、その男はクレイが作り出したグラフィックノベルのキャラクターなのだ。彼の役割は「この世の終わりを予言する」というものだった。
彼らが外に出ると、携帯電話を焼いた大きな塊がある。非通知でその場にいた全員に電話がかかってくるが、彼らは当然出ない。

パブにたどりついた4人。なかには酔った男女がいる。「カシュワク=ノー・フォン」という看板について尋ねるクレイやトムだが、カシュワクというエリアは避難が可能なところであり、パルスにやられなかった人間たちが逃げ込んでいるということがわかる。パプの彼らも、そこに避難するつもりなのだ。
クレイやトムはひさしぶりに酔い、楽しむ。

アリスはクレイに、彼が息子をかわいがっていたことに好感を持っていた(たまたま見かけたらしい)というが、その後に浮気をして家庭を壊したことに苛立っていたと告白する。
クレイは彼女に絵をかいてあげる。

その夜、みんなが寝静まった頃。パブにいたおばあさんは何かの音を聞いて起き上がり、ドアに耳を寄せる。だが、そこから感染が広まっていく。彼らは進化し、口から出したパルスですら感染を広げることができるようになっているのだ。アリスはクレイを助けようとしてばあさんに殴られ、死んでしまう。
クレイ、トム、そしてジョーダンは3人になってしまう。
彼らは、殺しをやめて「勧誘」にシフトしたのだ。仲間を増やすために。そして、パルスを口から発して感染を広げられる。もう、携帯はいらない。

だが、森の中でさっそくキャンピングカーを見つけたクレイたちは、そこにいたレイとデニースに話しかける。デニースは妊婦だ。彼らは狂人たちを殺してまわっているらしい。
カシュワクにも、実は携帯の中継塔があるから避難は無理だというデニース。そして、赤いフードの男の夢を彼らも見ていると知るクレイ。
彼らは頭の中を読む。だから、レイはずっと起きていて群れに近寄らないようにしているのだ。

レイとデニースには「カナリア」がいる。デニースの兄だ。
実は群れからはぐれると彼らも動けなくなる。その代わり、近付いてくると騒ぎ出す。それを利用して、兄を飼っているのだ。だが、兄に食事を与えるなど、デニースはなかなか優しい。
しかし、デニースの兄が突然息子の声でしゃべりだしたことで、彼は殺されてしまう。

しかも、居場所がバレたらしいので彼らは全員で逃げることにする。レイの車(アイスクリームカー)に乗り込む面々。だが、レイは途中で「彼らが頭の中に入ってきた」といって車を停め、森の中に入っていく。追いかけるクレイ。
「奴らが望むのは君、息子は手遅れだ」「バトンを渡す」
と言い、携帯を渡すレイ。「時がきたらかけろ!」と叫び、レイは自分の首にかけていた爆弾を爆破する。

クレイは妻の家に着くが、息子のジョナサンはママは奴らになった、カシュワクにいると冷蔵庫にメモがある。妻に襲われるクレイ。彼女を撃退して殺す。携帯をかけようとするが、彼は押し留まる。

クレイは、レイの車にC4爆弾があることに気が付く。
彼は妻の車の鍵をトム、ジョーダン、デニースに渡して、自分はカシュワクに行くと言い出す。ジョーダンに「目印を頼む」というが、少年は泣いてしまう。

オルフェウスは冥界に向かった。彼は愛する者を取りもどそうとしたのだ。

トムとクレイも、握手を交わす。

クレイはカシュワクに向かう。ヒッチハイカーを無視して、携帯の電波塔にたどり着くものの、狂人たちはそのまわりをひたすらグルグルまわっている。車でその行列に割り込み(とはいえ、彼らは襲ってこないのですが)、赤いフードの男を轢くクレイ。と、子供の声が聞こえる。そこに息子が現れる。しかし、息子は既に感染していて、赤いフードの男も生きている。パルスを発する息子を抱きしめながら、携帯電話を起動させるクレイ。爆発ですべてが吹っ飛ぶ。

クレイは息子とカナダに向かって歩いていく。トムのあとを追いかけているのだ。

だがそれは夢で、現実の世界では、クレイは電波塔のまわりを巡っている狂人たちの仲間入りをしている。息子はいないし、赤いフードの男もいない。爆弾も爆発していない。

感想

結局、赤いフードの男は何だったの?狂人たちは何に、なんで支配されているの?息子は利用されたにしても、どうなったの?など、とにかく「なんだこの話」感がすごすぎる。原作を買えってことかい。
・ロードムービーで脱落したり加わったり過程を丁寧に描いているところはいいなあと思った。ジョーダンくんもかわいかったし。しかし、フラグの立て方が一辺倒すぎるので、死ぬ人がだいたい予想できたぞ。