「ウォーキング・デッド」シーズン7・第3話「囚われて」のネタバレ

wds71

第3話 囚われて(The Cell )

救世主に捕らわれたダリルは明かりのない部屋に閉じ込められ、与えられるのはドッグフードのみ。ニーガンの狙いはダリルを屈服させ部下に取り込むことだ。一度はニーガンの元から逃げ出し、森でダリルと遭遇したドワイトは、ニーガンに従うしかないと説得しようとするが、ダリルはやすやすとはひざまずかない、しかし軽快な音楽が大音量で繰り返し鳴り続け、ろくに眠ることもできず、肉体的にも精神的にも追い詰められていく。

ネタバレ

ビデオで再生されたような画質の映像が始まる。タイトルは“ボスは誰?”昔のドラマだ。
見ているのは、ドワイトだ。

♪平穏な暮らしなんて 俺達には訪れない
走り去るバスを追うな バラ色の日々はない
覚えのないことで謝るのもやめろ
時は短く人生は酷だが、変えるのは自分
悪意という名の街

ゲームをしているドワイト。女性とプレイしながら、失敗したほうが酒を飲んでいる。

廃れた牛乳配達車は 庭に放置されたまま
寂しい主婦たちが 牛乳瓶を胸に抱え
古いラブレターを 吊るして乾かす
涙に襲われ信じるのをやめてしまう
悪意という名の街

配給に並んでいる者たち。ドワイトはそれに割込み、大きなパンをとっていく。横では争っている男たちがおり、1人の男がボコボコに殴られている。
「39」というメモ。
彼は「39」の札が吊るされた共同のベッドルームで、荷物をいじっている。そこからマスタードやピクルスを取りだす彼を、2人の男女が背後からじっと見ている。パンにはマスタードが塗られ、ピクルスが乗る。

もがいてもがいて 何年も何年も
空気は氷のようで凍え死にそうだ
悪意という名の街

トマトやレタスをもぐドワイト。サンドイッチはさらに豪華になっていく。ドワイトと一緒にいる男が見える。

幸福な日曜のローストビーフ
それに対抗する生協
ビールと子供服、どっちを削る?
悪意という名の街

ドワイトは鳥小屋の前にいる。通りかかったニーガンの前で、皆が跪く。すぐに後を追いかけるドワイト。ドワイトの友人らしき男だけが、それを苦々しく見ている。
卵が焼き上がり、それを挟んだサンドイッチが出来上がる。
そして、ドワイトはそれにかぶりつく。

しかし、そのすぐ脇ではたくさんのウォーカーたちが塀にくくられている。そして、「F」「S」とオレンジスプレーで書かれた囚人服のようなものを着た男たちが、新しいウォーカーを連れてきて配置している。危険な仕事だ。彼らはおそらく、最下層の奴隷だろう。
ドワイトは立ち上がって、その様子を見ている。
ウォーカーたちはいつまでたっても死なない。房に突き刺さったまま、立ち上がってはまた座り込むウォーカーがいる。だが、彼はそれでもまた立ち上がっている。

パンにドッグフードを挟んだものが運ばれていく。ドワイトが独房にいる全裸のダリルに“エサ”を持って来たのだ。それにがっつくダリル。ドワイトは出て行くが、扉が閉まった瞬間、その独房は真っ暗になる。

♪何不自由ない暮らし とってもいい気分
ここにいればおいしいだけの世界
最高級のシャンパン 楽して稼げる
歌って暮らす毎日が 永遠に続く
太陽を浴びましょう 魔法は始まったばかり
お楽しみの時間 皆見に来て
何不自由ない暮らし ここが最前列
ここでの暮らしに勝るものはない

寝転がっているらしいダリルだが、大音量で楽しげな音楽が何度も流れている(寝させないため?)。ドアが開く。またパンが与えられる。立ったまま、パンをかじって目を閉じるダリル。
彼は憔悴している。うとうとしても、また音楽が始まるのだ。
音楽、暗闇、“エサ”の繰り返し。
だが、ドワイトが衣服が彼に投げつける。彼はそれを身に着ける。

ふと、外に連れ出されるダリル。彼のボウガンを持ったドワイトが、ダリルを追い立てる。
彼はドワイトに背中を突かれながら、ふらふらと歩み続ける。

医務室には、医師と女性がいる。ドワイトと一緒にいた女(ダリルを裏切り、一緒にドワイトと逃げた女性・シェリー)がいる。よそよそしい2人。シェリーはダリル(ちなみに「A」の文字が入った囚人服)に気が付くが、話しかけるなとドワイトは言う。
「陰性よ」
「次こそは」
ドワイトはぽつりと言う。
「残念だが、こればっかりは」
と医師が口を挟む。シェリーはダリルに話しかける。
「何を言われても、従って」
「話しかけるな」
ダリルに助言したシェリーを、またぴしゃりとはねのけるドワイト。2人の間に何があったのか?
「ドワイトが助ける、信じろ」
とダリルに言う医師。

廊下でニーガンと鉢合わせるドワイトと、むりやりしゃがませられるダリル。ダリルは廊下にある椅子に座らせられる。その椅子の前にある部屋は、キッチンや冷蔵庫、オーブンにソファ、テレビ、キレイなベッドも見える。これがニーガンの部屋だ。

ダリルは自分と同じ服を着た男たちが、塀にウォーカーを設置する仕事に四苦八苦しているのを見ている。ドワイトは奴隷たちをボウガンで助けてやるが、それが親切なのかはわからない。
ボウガンがうまくなったというドワイトだが、次の瞬間、ダリルの顔をフェンスにこすりつける。
「賢くなければ、お前もああなる。選択しろ。ああなるか、俺になるか、奴らか」

また独房に戻されるダリル。ニーガンはドアにもたれかかり、彼に助言する。
「難しく考えるな」
「跪かない」
「俺もそう言った」
「知ってる」
「ああ、そういうことだ。いずれ、跪く」
扉が閉まり、また曲が流れ出し、ダリルは耳を塞ぐ。逃げられないか調べるダリル。彼はひたすらドアを蹴り続ける。

ニーガンはドワイトのもとを訪れ、ダリルのことを話している。
「暴れまくってるな」
「ああ」
「お前はよくやってる、手こずっているようだが、物分かりが悪い者もいる」
「ああ、もうすぐだ」
「そうだな、お前の仕事ぶりをたたえ、昔の女と楽しませてやろう」
固まるドワイト。
「冗談だ、好きな女を選んでいい。おっと、まさか。下は大丈夫か?ペニスさ。あいつに踏まれたろ。それとも不能に?」
「健在さ。だが、女はいい」
「クールじゃないね。好きな女を自由に選べと言ってやったのに、断るとはな。クールじゃない」
「仕事の途中だ。まだ何も得ていない」
「得るためには働かないとな」
そこに無線で女性の声が入る。
「“オレンジ事態”」
ニーガンはそれを取り上げ、話し始める。どうやら、誰かが脱走したらしい。ニーガンは別の者に行かせようとするが、ドワイトは「(自分が)行きたいんだ」と主張する。ニーガンは微笑み、彼を子供のようにあやして褒める。

ダリルのバイクを使い、ドワイトは脱走者を追いかける。

ダリルにパンを渡すニーガンの手下の男。彼はそのまま出て行ってしまう。どうやら鍵はかかっていないようだ。そっとドアを押し開け、ダリルは廊下に出て行く。
廊下には誰もいない。静かに歩いていくダリル。様子を伺うが次々と男たちが通りかかり、適当に逃げるしかない。

道路にはウォーカーたちが倒れている。そこには、血だまりと引きずられたような跡がさんざんつき、体がちぎれたウォーカーが大量に寝ている。と、上の道路からだいぶしてきたウォーカーに、ドワイトは引きずり倒される!彼は路上のウォーカーに囲まれてしまう。

と、誰かがダリルの肩を叩く。振り向くが、そこにいるのはシェリーだ。
「戻れるうちに戻って。逃げられない。何をされたにせよ、終わりはない。終わりはないの。絶対に逃げられない。捕まったら、もっとひどい目に」
だが、ダリルは彼女のいうことを聞かないでドアに迫る。ドアからは、バイクが何台か見える。彼は走り出し、バイクに駆け寄る。だが、逃げる前に男たちが出てきてしまう。あっという間に囲まれ、そこにニーガンが登場する。
「まだちびってないか?」
「お前は誰だ?」
バットで適当な仲間を指すニーガン。
「ニーガン」
「じゃあお前は誰だ?」
「ニーガン」
他の男も、自分をニーガンだと言う。
「(お前たちは)誰だ?」
「ニーガン!」
全員が叫ぶ。
「わかったか?そこらじゅうに俺が。根本的な事実を理解したか、お前をテストしたんだ。だが、不合格。クールな人生を送れるとこだったのに、そうだろ?」
「その通り」
ダリルの足元を鉄網状付きのバットでつつくニーガン。
「ドワイトに聞いたろ、分かってない。もう1度、3つの選択肢を教えよう。1つ。死んで(塀にウォーカーとして)つながれ、俺の役に立つ。2つ、死んだほうがマシだと思う仕事をする。3つ、新品の靴を履いて俺のために働き、キングのように生きる。簡単な選択だろ。わかるよな、第4のドアなどない。選べ、道は1つだ」
黙りこくるダリル。
「いいさ」
殴りかかるニーガンだが、ダリルは動かない。顔をかばう動作すらない。
すげえ、全然びびらねえな。気に入った。だがルシールは機嫌が悪くなる。無礼な態度をとられるとな。幸運にも(ルシールは)今日は喉が乾いてないようだ。俺は違う。だから俺は何か飲むとしよう」
威圧的な態度をとった後に、すぐに満面の笑みを見せるニーガン。
ニーガンは去っていくが、男たちはダリルを捕まえ、ボコボコにしている。

バイクはボロボロになり、ホイールが曲がっている。それをひくドワイトと、殴られるダリルの映像が交差する。
と、ドワイトは誰かを見つける。ウォーカーにつかまれている男だ。彼に飛びかかるドワイト。

独房に戻されたダリル。誰かが、扉の前に立っている。
「ダリル」
シェリーだ。ドア越しに話しかけてくる彼女。
「たくさん後悔してるわ。まさかこうなるとは。あの森で― ティナを失った後、あなたのものを奪った時にこういったでしょ。“ごめんなさい”って。あなたは“後悔するぞ”って。その通りに」

ドワイトは、脱走した友人の横を歩きながら、コミュニティに戻るように説いている。
「俺のケガもバイクの破損も、お前のせいだ。代償は大きいぞ。満足か?」
「行かせてくれ」
「できない」
「なぜだ」
「黙れ」
「友達だったろ」
「黙れ」
「奴があんなこと……君と、君の奥さんに」
「彼女の話はよせ、妻じゃない」
「今はね」
「行くところはない。何もかもが彼のものになる」
「分かってる」
「歩け。歩けと言ってるんだ」
「いいよ」
「何だよ」
「やっていい、分かるよ。君にやってほしい」
「黙れ。歩くんだ」
「戻れない」
「戻るさ。それしか……」
「奴はそう言う。“ほかに選択肢はない”と。ニヤケ面でバットを持って、俺達は何もかも諦めた。相手は1人なのにビビって」
「現実を見ろ!失いかけたが、今は違う」
「何言ってる。俺とマリアは最初の数ヵ月を生き延びた。あの時は― 信じてた。怪物と闘えると」
銃を持つドワイトの前に跪く男。
「立つんだ」
「いいんだ、D」
「立て」
「戻る意味はない。跪くのはこれが最後だ」
「立て!」
「つらいだろ」
「立て」
「俺は覚えてる」
「お前が話した連中全員、目隠ししてクソサンドを食わせる。哀れで短い人生になるぞ。死んだ女房を掘り出し、カラスの餌にしてやる。いいのか?」
「分かった。お前の勝ちだ」
立ち上がる男。
「何も残っちゃいない」
そう言い、男はまた同じ方向へ歩き出す。ドワイトはフラフラとその後をついていきながら、彼に銃を向け、引き金を引く。彼は友を殺したのだ。

ドワイトは戻ってくるが、そこにはシェリーがいて、タバコを吸っている(非常階段だろうか?)。
「1本くれ」
彼女はそれを渡す。
「彼は優しい?」
「ええ」
「よかった」
「あなたは、幸せ?」
「ああ」
「よかった」
「これでいい。死ぬより、よっぽど」
「……そうね」
タバコを吸い続ける2人。

ダリルの独房の前では、また同じ曲が流れている。彼は静かにしているようだ。
扉が開き、パンが渡される。受け取らないダリルの足元に、パンを投げるドワイト。
「食え。……お前の仲間を殺した。こっちはティナ。お互い様ってもんだ」
パンをドワイトに投げつけるダリル。
「死んで当然。だが幸い、ニーガンのお気に入りだ。運がいいだけだ」
ドワイトは写真をダリルの前に貼り付け、去っていく。
「召し上がれ」
ダリルはそれを壁からはがし、床に投げる。だが、拾い上げ、裏返してみる。それは彼の仲間(グレンなのかエイブラハムなのかは判別できないが、服はエイブラハムのもののように見える。だが、そのシーンで写真を撮影されていたのはグレンだったので判別できません)の死体写真だ。ダリルは目を反らし、しばらくぼんやりする。だが、また曲が流れる。
今度はいつもと違うBGMだ。

♪しばらくは大丈夫だった しばらくは笑うこともできた
でも君は昨日の晩、僕の手を握りしめて立ち止まってあいさつしたんだ
“幸運を祈るわ”と
君は気付かなかっただろう
僕が君を思って泣いていたなんて
君を思って泣いていたんだ
君は“さよなら”といい、僕を残して行ってしまった
僕は独りで泣いていた 泣いて 泣いて
こんなにも泣いてしまうなんて
君の手が触れただけで涙が出てしまう

ダリルは泣き出してしまう(彼がはっきりと涙を流して号泣するシーンは、シーズンのなかでも初めてかもしれない)。 ドワイトも廊下の椅子に座ってこの曲を聴いていたが、そのまま立ち去っていく。

君のことは忘れたと思っていた でも本当は違ったんだ……

どのくらい時間が経ったのかわからない。
また扉が開く。独房の中で吐き戻しているダリル。倒れている。それを見ているドワイト。

ニーガンの部屋に連れてこられるダリル。
「何だよ、まったく。お前ひでえ姿だぜ。心配するな、カーソンが手当てする。喉が渇いてるだろ、ほら。忘れてた、口の中が腫れまくってるんだったな。ストローか?D、ストローを渡してやれ。てきぱき働くだろ、使える男なんだ。だが以前は、クールな関係じゃなかった。Dはポイントを稼いだんだ。彼のセクシーな女房と、彼女のセクシーな妹と。

その妹は薬が必要だった。調達は危険だから高くつくんだ。チャラにするため俺と結婚しろと言った。世話してやるし、健康でいさせてやると。俺は誠実だからな。彼女は“考える”といった。だがその結果、“オレンジ事態”に。このドワイト坊やが薬を盗み、セクシーな女房と俺のフィアンセ候補と逃げ出した。そこで部下に追わせた。そういうことは許されないからな。ルールってものがあるんだ。武器と人手を割かせたら、代償を払わなきゃな。ドワイト坊やは 逃げ出したんだ。だが、Dは光を見出した。勇気を出して戻り、許しを求めたんだ。見直したよ。彼を許す気になった。

だがルシールは……どんな子か知ってるよな。ルールにうるさくてね。ドワイトは、シェリーを殺すなと。感動したから、彼を殺すことに。すると彼女が、生かすなら俺と結婚するって。イカれた取引だよな。死んでなかったら妹と結婚してたんだから。シェリーは超セクシーだ。それが始まりだ。罰は受けさせる。ドワイトは焼かれた。女房は俺と結婚。元女房だな。そんなことがあっても彼はここにいる。今の彼を見ろ。バーン!参謀の1人だ。クールな関係だ。俺はお前も、そうなれると思う。そういう準備ができた。見回してみろ。ここが、全部、お前の。やるべきことは1つの簡単な質問に答えるだけ。
お前は誰だ?
感動しすぎて言葉も出ないか?もう一度聞く。
お前は誰だ?」
黙っていたダリルは口を開く。
「ダリル」
あくまで反抗するダリルを止めようとするドワイトを制止するニーガン。
「いいんだ。彼が決めたことだ。俺にとってはどうでもいい」

彼は独房に戻される。
「あの部屋(独房の間違い?それともニーガンの部屋?)で耐えるか、フェンスかだぞ」
「分かるぜ。なぜ屈したか。人のためだろ。だから俺はできない」
ドワイトはしばし彼を見つめるが、また出て行く。
そのまま、フラフラとフェンスのほうに出て行くドワイト。ビールを飲みながら、空き瓶をフェンスに投げる。男たちが、新しいウォーカーをフェンスにくくっていく。それは、ドワイトが先ほど殺した彼の友人だ。友人ウォーカーはまるで友人を見つけて興奮しているように、ドワイトに向かって虚ろに叫び続ける。
ドワイトはゆっくりと、建物の中に戻っていく。

感想

・待望のダリル回。そういえば前シーズンのダリルメインの回は、ドワイトとその嫁を救おうとして裏切られる話だったっけ。
・ダリルは拷問を受け続けるが、決して仲間を裏切らないという鉄板の展開であります。しかも号泣シーンつき。ドワイトの表情といい、このシーズンのなかでもとてもいい場面だと思います。
・ダリルって決してスタイル悪くないんだけど、ニーガンがモデル体型なので(推定身長180越え&超小顔)すごく小さく見えてしまう。顔がやつれているのは役者魂を感じてスゴイのですが、首のあたりに筋肉が詰まっているのか、全然痩せて見えないのもスゴイ。
・前シーズンではグレース、さらにグレンやエイブラハムを殺すことに加担したドワイトですが、実はニーガンに全て支配されているということがわかります。嫁を寝取られ、ニーガンの命令で人を殺し続ける。友人でさえも殺さなければならない。彼の苦悩がよく伝わってくる回。彼は果たして、その弱さを克服して、自分の心のままに動くことができるようになるのでしょうか?
・彼を救うのはやっぱりキャロルだったりするのだろうか?終着駅の時のように全部をひっくり返して皆を助けてほしい!
・ドワイトの嫁は現在ニーガンと結婚しているのですが、なかなか子どもができないというフラグが立っています。もしかしてリックの娘が彼にとられてしまう……なんて展開あるのかしら??
・順番でいうと、そろそろマギー回かサシャの回のような気がする。