「ライチ☆光クラブ」

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2015年の映画「ライチ☆光クラブ」を見ました。
・お耽美!美少年!残虐!ロボ!秘密基地!
こういう感じの話です。内藤監督の仕事はいいですね。ホント、素晴らしいですね。

あらすじ

古屋兎丸がかつて衝撃を受けたというアングラ舞台を基に、思春期の少年たちの潔癖性と残虐性が暴走していくさまを猟奇的かつ耽美的に描き高い評価を受ける同名カルト漫画を、「先生を流産させる会」「パズル」の内藤瑛亮監督が映画化。出演は野村周平、古川雄輝、間宮祥太朗、中条あやみ。
 黒い煙と油にまみれた町、螢光町。とある廃墟に夜な夜な集結する9人の少年たち。そこは彼らの秘密基地“光クラブ”。強いカリスマ性を持ったゼラが他の8人を付き従え、醜い大人たちを否定する自分たちだけの世界を築き上げていく。そして、そのための兵器として、ライチの実を燃料として動くロボットの開発を行っていた。やがて“ライチ”と名付けられたロボットが起動すると、ゼラはライチに美少女を捕獲してくるよう命じるが…。
http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=353794

しかし、このインスパイアしたアングラ舞台とはなんなのだろう。月蝕歌劇団とか?まさかスタジオライフじゃあ……!?!?

登場人物

タミヤ:主人公。残虐な嗜好を持つゼラと対立する
ゼラ:クラブを支配している少年。残虐性が強い。あと目力も強い。
カノン:さらわれてきた美少女。ロボットのライチと心を通わせるようになる。
ジャイボ:ゼラにいつもくっついている少年。クラブよりも、ゼラそのものに固執する。
ニコ:ライチのため、片目を失った少年。ゼラに忠誠を誓っている。
雷蔵:オネエ。
デンタク:ライチを開発した少年。丸眼鏡がトレードマーク。
ダフ:タミヤの幼なじみ。ゼラに反抗的なタミヤを支持している。
カネダ:タミヤの幼なじみ。ゼラに怯えている。
ヤコブ:とぼけた顔をしている少年。雷蔵曰く「美しくない」。

ネタバレ

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少年がいる。彼の後ろには、ドロドロの肉人形が立っている。
「お前には黒い星がついている。喰われたくなきゃ、支配しろ」

時は流れ。少年たちは、秘密基地を見つけた女教師を処刑しようとしている。ゼラは、彼らから女の処刑方法を提案させる。おっぱいを出しつつ、内臓も出して事切れる女教師。ゼラは女教師の内臓を汚物だと断言する。

彼らはゼラの前で、ライチ光クラブの10箇条を唱える。
(基本的には美を肯定し、ゼラ二重中であるためのルールのようなもの)

デンタクはゼラのためにロボットを作り、他のものはそれを手伝っている。ただし、ジャイボだけは彼らを手伝わない。ジャイボはゼラにキスを迫り、ゼラはジャイボにライチをなすりつける(こんなん笑うわ……)。

ロボがとうとう完成した。ライチを燃料に動くロボは、「ライチ」と名付けられる。
(なお、ライチは美の食べ物だからこのクラブのモチーフ的な植物でもある)
ゼラは「ライチ ラライチ ララライチ」と言いながら満足げだ。
このセリフで「ラララライッ!ラララライッ!○○でエクササ~イズ♪」と思い出したのは私だけではないでしょう

ライチに、美少女をさらってくるように命じるゼラ。
だが、ライチは不完全だ。おばさんをさらってきたり、交通看板(飛び出し禁止みたいなやつ)、ホームレスすらさらってくる。デンタクは、ライチに美の概念について教える。
そして、あるプログラミングをしてしまう。「自分(ライチ)は人間だ」と。

タミヤはゼラの支配に飽き飽きしている。彼はゼラの悪口を言ってしまうが、それをゼラが聞いている。タミヤとダフ・カネダのチェス対決に割り込んでくるゼラ。ゼラは勝利する。
タミヤは昔のことを思い出す。タミヤ、ダフ、カネダが秘密基地を見つけ、自分たちの名前の一部を取って「光クラブ」を作った。だが、ゼラが現れ、彼らのクラブは支配されてしまったのだ。

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とうとう、ライチは美少女のカノンをさらってくる。興奮するクラブの面々(彼らは男子校に通っており、美少女とは縁遠い生活をしている。街にいるのも、おそらく水商売をしている女性だけ。なお、彼らの母親は誰も登場しない。父子家庭なの?)
雷蔵だけが彼女の身だしなみを整えるためカノンに触っていい(オネエだから)というルールを作り、「少女壱号」とするゼラ。その一方で、ゼラに心酔するニコは、彼らが捉えていた一般人を殺してしまい、タミヤはそれに胸を痛める。

タミヤはゼラと対立する。ゼラを裏切ろうと考えるタミヤ。カネダは彼をいさめるが、ダフはタミヤを支持する。彼らは3人仲良しの幼なじみだ。

少年たちの前では寝たままで動かないカノンだが、ライチの前で目を覚ます。彼女はライチを出し抜いて逃げようとするが、扉が固く閉ざされており、逃げられない。

タミヤは捕まっている一般人を逃がそうとする。ダフは協力的だが、カネダは彼を否定する。

その夜、ダフは深夜に秘密基地に戻ってくる。カノンにそっと触るダフ。歯止めがきかなくなり、彼はカノンを撫でまわしながら自慰行為に及ぶ。だが、彼はライチに吹っ飛ばされてしまう。

翌日、ゼラはタミヤを裏切り者だと責める。ライチはカネダを踏みつけており、彼が自白したことが明かされる(もちろん、無理やり言わされているだけ)。タミヤは無実を主張するが、ゼラはダフの処刑を命じる。カネダはライチに踏みつぶされ、タミヤはダフが求めるがままに彼を殺してしまう。

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その夜、カノンはライチに歌いかけ、人を殺してはいけないということを教える。

翌日、ゼラは、また裏切り者がいると言い出す。彼はカノンが起きないことにイライラしているのだ。
ニコはタミヤが裏切り者だと信じているが、逆にタミヤはニコに問う。この先、ゼラの言うとおりにしていて展望があるのか?自分たちは自然と大人になる。大人になることにいつまでも抗えないと。

一方、ゼラは動かないカノンに触れようとする。だが、そこにジャイボが現れて、彼に奉仕する。ニコはそれを目撃して、ひどくショックを受ける。
実は、ライチの右目はニコの目だった。彼はゼラに忠誠を誓い、自分の右目をライチに与えたのだ。

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そして、彼らが大切に守ってきたライチの木(ロボットのライチの燃料でもある)が放火される。
それを目撃したニコは消火をしようとし、大やけどを負う。だが、ゼラに冷たく見捨てられ、そのまま死んでしまう。
ゼラはタミヤを殺そうとするが、ライチはおかしくなる。カノンはライチの危機に、慌てて立ち上がってしまう。
カノンに興奮するゼラだが、彼女はゼラを否定する。あなたは最低よ!と言い、彼を拒否する理由として「醜いから」という理由をあげるカノン。ゼラは怒り狂う。

とうとう、ゼラはカノンを殺して機械の体にすることを決める。一方、ライチは再び動き出し、タミヤはカノンを心配している。タミヤを閉じ込めている檻の扉を開けるカノン。

タミヤ、カノン、ライチは脱出を試みるが、ライチは体が大きすぎて出口から出られない。そのため、カノンはライチと残ることを選ぶ。タミヤは、カノンに焼け残ったライチを一粒渡して出て行く。

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カノンとライチは、最後の夜を楽しく過ごす。

だが、ゼラが翌朝戻ってくる。ライチは再起動され、人間としての心を失う。古い浴槽にバラを浮かべ、そこに沈めて溺死させるという処刑法を考え出したゼラ。カノンはライチの手によって殺されてしまう。その様子を見ていたデンタクは、ライチのコントローラーを壊してしまう。ライチは正気を取り戻し、怒り狂う。

ヤコブはそのままライチに吹っ飛ばされ、壁にぶつかってトマトのように潰れてしまう。雷蔵はライチに、両手で自慢の顔を潰される。デンタクは上半身をもぎとられてしまう。

ゼラはそれを見て恐怖で放尿する。ライチは浴槽に沈んでいたカノンを抱き上げ、そのまま停止する。
そこにタミヤが戻って切る。
「返してもらいに来た、俺達の光クラブ」
タミヤは、ダフやカネダ、そしてタミヤ本人が裏切り者ではないと主張する。彼らがいたずらに捕まえていて、タミヤが逃がしたとされる一般人は既に焼却炉で発見された。ライチを燃やしたのも、人を殺したのも同じ人物。本当の犯人は?
と、タミヤは突然、刺される。彼を刺したのはジャイボだった。そのまま、ジャイボはカノンの顔に切りつける。ジャイボはゼラに夢中だった。だが、カノンに夢中になったゼラが許せなかったのだ。

カノンは一瞬目を開け、ライチに焼け残ったライチの粒を差し出す。そのライチはさらっと灰になるが、燃料が切れたロボットのライチは生き返る(ややこしいな!)。

ジャイボはライチに殺されてしまう。ゼラも、ライチのロケットパンチでライチ光クラブの玉座に突き刺さり、そのまま息絶える。彼の内臓がこぼれおち、ゼラはそれを見て「醜い」とまた絶望して死亡する。少年時代に彼の目の前に現れた赤い肉の人形がまた現れ、罵る。
そして、彼らが死んだ後、秘密基地の工場は少しずつ崩壊していく。

しかし、ライチはまだカノンを抱いている。目を覚ましたカノンは、自分を抱きかかえているライチと、赤いもの(血??)で満たされた秘密基地を見て呆然とする。

感想

・「ライチ ラライチ ララライチ」ってやっぱりラララライ体操に聞こえる。あと、バレーボールの中垣内選手を思い出した。
・耽美な世界観、ライチで動くロボット、大人になりたくない美少年たち、同性愛、拷問、救世主である美少女など、まあお腹いっぱいになる設定が続く。放尿するキャラクター見たのが「家なき子2」の榎本加奈子以来だ。これが脱糞だったらコメディなんですけどね。
・にしても、ライチと聞いてもこんにゃくゼリーしか思い浮かばない私……こんにゃく畑でフルーツと~れ~た~♪
・ゼラの少年時代が絶妙におでぶちゃん(しかも目つきが悪い)のがさもありなん。
・タミヤを演じているのが野村周平くんなのですが、今よりかわいらしい。ファンの人には申し訳ないですが、なんだか、顔が伸びた……?