「アイズ」

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2015年「アイズ」。あれだけ既存で有名な映画があるのに(しかも同ジャンル)どうしてこういうタイトルにしたのでしょうか。
・原作はホラー小説ではおなじみの鈴木光司
・主演は乃木坂のまりかちゃん。意外にも演技がうまいのね。
・オカルトっぽいオカルトです。
想像していたところに着地するホラーです。ちなみにアプリ「助けて下さい」とコラボしてましたね。

あらすじ

人気ホラー作家・鈴木光司の短編集『アイズ』の中の一編『しるし』を乃木坂46の伊藤万理華主演で映画化したホラー・サスペンス。監督は「ほんとにあった!呪いのビデオ」シリーズの福田陽平。
家族とともにマンションに暮らす平凡な女子高生、山本由佳里。ある日、玄関の表札に何者かによって「F」の文字が書かれているのに気づく。これを境に、彼女の周りで不可解な事件が次々と起こり始めるが…。
http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=352224

ネタバレ

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主人公のユカリは父、母、弟と暮らしている。表札の横に入っている「F」の文字。母はヒステリックで、父は優しい。

友達のナホと待ち合わせをしていたユカリ。だが、バスに間に合わない。いじめられっ子のタイチがバスのなかで通せんぼしていた(彼は超デブ)のもあり、ナホはユカリを待つといい、1本バスを遅らせる。
だが、結局ユカリは間に合わない。ナホはバスを遅らせたせいで交通事故に遭って死んでしまう(運転手が急死→接触事故)。

※なお、キングオブコメディさんがそれぞれバスの運転手、担任教師役で出演しています……。

帰宅して頭痛に襲われるユカリ。表札には「A」の文字。母はナホの死で悲しむユカリに寄り添わない。父だけが彼女の味方だ。
ユカリはナホの葬式に出る。彼女は遺体が自分のほうを見つめているのに気が付く。さらに授業中、首が180度くらい回転するナホを目撃するユカリ。
クラスメートの遠藤(彼はナホと両想いだった?)がユカリを慰めてくれる。彼らはタイチが自殺しようとするのを目撃するが、阻止する。タイチもまた、自分のせいでナホが死んだのではないかと病んでいた。

父はユカリに表札のFはファミリー、Aはアンケート回答の有無のサインだと言う。
ユカリはさらに、少女の幽霊を目撃する。

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ナホの家に遺品を届けに行くユカリと遠藤。
さらに増えた「T」という文字に、ユカリは頭を悩ませる。

ユカリは冷蔵庫の中に頭部が入っているのを見てしまう。もちろん幻覚だ。

夢を見るユカリ。「危ない!」交通事故、倒れている女性、大笑いしている女。この記憶は?

また幽霊を見るユカリ。さらに、父が出て行くのを目撃する。追いかけるが、車に轢かれそうになる彼女。父を見失う。

表札には「F」の文字。父は「自分の人生を生きろ」とメッセージを残している。
ユカリは母を責めるが、母は服を着たままシャワーを浴びるなど、奇行が目立つ。弟は泣いている。母と病院に行くが、友達の事故のPTSDの影響だという診断を受けるユカリ。

もしかして、表札の文字は「FATE」(運命)?
ユカリは母と不毛な喧嘩を繰り返している(どうでもいいけど、お母さんの声がカスカスです)。
父は浮気をしていて、その浮気相手を妊娠させた。母はそれを目撃して詰め寄るが、その時に交通事故が起き、浮気相手は死産してしまったという。ショックを受けるユカリ。
さらに、母はマンションから飛び降り、自殺を図る。

ユカリと遠藤はタイチに協力を求め、父のパソコンのパスワードを解いてもらう。父は製薬会社のFATHの株を購入していた。「FATH」こそ、表札のメッセージと関係しているのか?(会社のマークは「目」である)
父の不倫相手は製薬会社の人間なのか?お腹の中にいた子供が幽霊となり、表札に文字を書いていたのか?あの交通事故で弟ではなく、お腹の中にいた女の子が死んだ。女の子は運命を変えて、改めて生まれてこようとしている。そう推測するユカリ。

ユカリは製薬会社に行き、父を出せと暴れる。だが、そこに車イスの女が出てくる。ユカリの前に立ちあがる女。ユカリは吐き戻してしまう。

そこに父が現れる。父は製薬会社に投資して大儲けをした。しかも、彼はこの会社に昔勤めていたのだ。現在、復職しているという父。
そもそも、不倫はしていない。母の勘違いだ。仕事のしすぎで妻とすれ違い、職場の女性を不倫相手と勘違いされてしまった。彼女は勘違いで揉め事に巻き込まれ、子供を亡くしたのだ。父はちゃんとした父親になるために家を出たというのだ。

遠藤とタイチはユカリを心配しているが、タイチはふと口にする。
「弟って、ホントにいるの?」

そう、弟は本当は存在しない。遠藤はユカリにそれを気付かせる。
弟は9年前から行方不明なのだ。「いる」「いない」で喧嘩になる2人。
ユカリにしか見えない弟は号泣しているが、「ボク、ズット、イッショ、ダヨ、オネー、チャン」と泣きながら繰り返し、消えてしまう。

精神科でも、ユカリの異常に気付いていた。彼女は自覚したが、母は狂ってしまった。
帰宅したユカリは、頭痛で顔をしかめる。
表札には「R」の文字。

ユカリは弟の姿をまた目撃する。だが、少年にがばっと覆いかぶさったのは、父の不倫相手だと言われた女性。女性は弟を捕まえて離さない。女性と揉み合うユカリは、いつの間にか少女の姿に戻っている。
ユカリは子供の頃、弟と一緒にいるところを女性に襲撃されたのだ。自宅のリビングで揉みあう人。だが、放り出された弟は打ち所が悪く、動かなくなってしまう。
「お前が殺した!」
責められるユカリ。だが、父がそこに帰宅する。

意識を失ったユカリが気が付くと、倒れていた弟も女もいない。父は「あそこに弟がいるんだよ」と、何もいない空間を指し、ユカリに言い聞かせる。母も帰宅するが、行方不明になった弟を捜すのでパニックになっている。

表札の文字が指し示していたのは「FATHER」(実は「E」の文字も途中で出てきています。)

ユカリの家の扉をノックする音。父が戻ってくる。「ただいま」

まとめ

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・父、多忙すぎて浮気を疑われる。母は職場の同僚を勘違いで襲撃(たまたま通りすがりの可能性もあるけど)し、その場で交通事故が起きてしまう。女性は助かるが、子供が死んでしまう。
・同時期に母のお腹の中にいた弟は無事出産。だが、数年後に女性が襲来し、ユカリの目の前で弟は死亡。父は弟の死体を隠し、女性を殺した?(女性が生きているかどうかの描写ははっきりされておらず。生霊の可能性もあるけど)(冷蔵庫に入っていた生首は、父が女性を殺して首を切断したというサイン?)
・ユカリはその時の父のすりこみで、弟の幻影を見続けていた。
・母はユカリが虚言を続けることに疲れ、距離を置いていた。父は後ろめたさから、ユカリに優しくしていた。
・だが、ユカリは死者を見ることができる能力があったのは事実だった?
そのため、死んだナホの姿も見ることができた(話には関係ないけど)。

感想

・主演のまりかちゃんが絶叫するシーンがうまかったのにビックリ。その代わり、お母さんが叫ぶシーンは喉がカスカスでした。心配になるレベル。
・弟が泣くシーンが頻繁に入っていたのですが、耳が悪い人間にはキツイ。
「オネー、チャン、ボク、ズット、イッショ、ダヨ」と泣きじゃくるシーンのオウム感(インコでも可)がすごい。どういう演技プランだったんだ。笑ったじゃないか。
・キングオブコメディを見て、なんとなく困る。
・タイチがいじめられててかわいそうと思ったのですが、パスワードを解いてくれるシーンではとても感じが悪かったので(ユカリの父ディスを繰り広げる)おお……と思いました。
勘違いで交通事故に巻き込んで死産させたんだからもっと謝れよ!とは思った。それとも、母の襲撃がなくとも交通事故には遭っていたのだろうか?にしても、もっと後悔するよなあ。
・「FATHER」って何のためのメッセージだったんだろう。『家なき子2』の殺人現場にあったメッセージ「M」が、「これはマネーじゃない!マザーのMだったんだ!」(キリッ)っていうの思い出した。