「鬼談百景」

kidanhyaxtukei

映画ではなくWEB作品らしい「鬼談百景」。2015年の短編集。
読者投稿系のホラーはあまり好きではないので、熱がないレビューになります。
たぶん、文章で読んだら怖いと思う。ただ、映像で見るとムラがあります。そりゃあそうだ。

①追い越し

4人で肝試しをしている若者たち。イキって見えていないのに見えているようなフリをする。途中で黄色い服の女性を追い越すが、サイドミラーを見ると女が車にピタッとついてきている。

感想:どう車にひっついているのかわからないほどシュール。ダッシュしてきたほうが私は怖い。ダッシュするババアの都市伝説、怖いですよね。

②影男

孫を預かり、昼寝をさせるおばあちゃん。バンバンとドアを叩く音で目が覚め、様子を伺うおばあちゃん。影男が彼女の首をしめる。もみ合いになる2人だが、それは夢だった。娘から電話がかかってくるが、その瞬間鼻血が垂れる。
夜、娘からそのことを笑われるが、次の瞬間、バンバンとまたドアを叩く音がする。

感想:怖くなかった。

③尾けてくる

公園を通る女子高生。変な男と目が合う。傘を差していない彼に怯えるが、その男は既に首吊り自殺をしていた。走って帰る彼女だが、彼は家の横に立っている。
3年後、上京している彼女。また男を目撃するが、同じような作業着の普通のおっさんだった。だが、全く別のところから、彼が彼女を見つめている。

感想:奇妙な男=顔のインパクトがある人っていう印象。あと、「見間違い」がホントにヒドイレベルだと思った。身長も体格も違うけど、同じような作業服のおじさんってだけだもの。そして、違うところから覗いている男性の幽霊がおそらく合成なのでしょうが、縮尺がなんだかおかしいのも笑った。幽霊だから収縮自由なのかな。

④一緒に見ていた

ある高校の教師。階段で待っている女性を無視して、教室に入る。だが、次の瞬間、この女性事務員が自殺する。目を開く彼女に驚く先生たち(死後硬直ってことで片付ける)。
教師たちが通報して慌てている一方、教室で呆ける教師のそばに、自殺したはずの事務員が歩いてくる。片足は裸足だ。
彼は目をそらして窓の外を見るが、今度は外に彼女が立っているのが見える。後ろに下がると、彼女らしき何かにぶつかる彼。肩には、ずっと手が置かれている。
「1回やっただけだろうが!」
教師は怒鳴る。他の教員が彼を呼びに来るが、その肩に何度も手を置くj女性の幽霊。彼は、何度も肩から手を振り払う。

感想:これは好き。ヤリ捨てした女性に恨まれる教師なのですが、ブラックジョークのようにも感じられる「しつこさ」がいいですね。

⑤赤い女

学校に何度も登場する「赤い女」。体育館に出たり、階段を降りてきたり(しかも電気がつけっぱなしなのですが……)。

この赤い女の話は、転校生によってもたらされる。「この話をすると、実際に赤い女が現れるんだよ」と、転校生から聞かされる主人公。赤い女は、自分の話をする人間を襲うのだ。怯えるが、冗談だとはぐらかされる。
主人公と友達の手で、転校生の誕生日パーティが開催される。そして、主人公から再度、赤い女の話が語られる。
しかし、その話が終わってから電話がかかってくる。「やめろ、バカヤロー!」という大声。1人きりになった友人の女子は、ベランダにいた赤い女に脅かされる。

帰宅する転校生と主人公。転校生の口から、この話は誰かに話せば赤い女のターゲットにはならないのだと教えられる。
その頃、パーティの主催の女の子の家には、赤い服の女がダッシュで走り込んでくる(※マジです)。

次の瞬間、転校生のことを赤い女が襲う。「どうして……」
その日以降、街で赤い女が目撃されるようになった。

感想:赤い女の人の演技がいい。赤いコートというより、ピンクだったけど。しかし、バスケの練習をしている体育館の上(応援する人とかが立ったりするとこ)にフツーにグチョグチョの怪しい女がいるの、面白いなあ。フツーに学校の階段を下りてきて、男子生徒びびらせてるし。誕生日パーティがしょぼいのはご愛敬か!?
家に走り込んでくるのも怖い。ダッシュで階段上がってきて、そのまま飛びかかるんだもん。

⑥空きチャンネル

ラジオを聞いていた少年が、空きチャンネルで流れている女の恨みつらみトークに魅入られ、おかしくなる。友達はそれを止めようとするが、聞く耳を持たない。だが、彼の顔全体に黒い血管のようなものが浮き上がり、それが足元から地面に広がる。首には人間の顔が浮かび上がり、赤ちゃんの泣き声が聞こえる。
自分も聞いてみるが、怖くなってハマるまではいかない。友達は結局、自殺してしまう。

感想:フラれた女の恨みつらみトークに引き込まれていく過程がよくわからないから、何とも言えない話。首に顔が浮かび上がるのは気持ち悪い映像ですが、怖いかと言われると、はて?

⑦どこの子

残業している2人の教師。若い方の教師を怖がらせ、先輩教師は先に帰ってしまう。若い教師は学校の中にいる謎の少女(白いブラウスに赤いスカートのちびまるこちゃんスタイル)。彼女は廊下でバレエを踊る。少女を追いかける教師。
先に帰った教師も、用事を思い出して帰ってくる。だが、車の前方にぬるぬる動く影が見えるし、真っ黒な顔がどんどん張り付いてくる。
若い教師は少女に追いつくが、その顔は引っ張ったようにひきつれている。
逃げた若い教師は、呆然と地面にはいつくばっている先輩教師を見つける。かけよるが、その足元に影が広がっていく。

感想:なぜ、ちびまるこスタイルなのか。白塗りちびまるこがバレエを踊るという謎のシーンがシュールすぎます。さらに、先輩教師の車に迫る黒い影や顔がCGっぽすぎて、なんだか冷める。

⑧続きをしよう(内藤監督)

お墓で遊ぶ子供たち。だが、手をすりむいたり、倒れた墓石に足を挟んで爪が割れたり、太ももを切ったり、腕をケガしたり、鼻血を出したりと、次々と子供たちが抜けて行く。抜けて行く時、ほっとしたような顔をする子供。
残り3人。「続きをしよう」という声が聞こえる。その言葉通り、遊びが続行するが、灯篭に激突した少女が帰宅する。
残り2人。手を切った少年は、「じゃあ、帰っていい?」と帰宅する。
残された少年に「続きをしよう」と声がかけられる。そして、次の瞬間、全身血まみれの少年が、残された少年のもとに突進する!

少年は次の日登校したが、何も語ることはなかった。

感想:マジでびびった話。話だけなら「聞いたことあるかも」な感じもするのですが、ビジュアルインパクトとか、その瞬間の見せ方が好き。

⑨泥棒(内藤監督)

子だくさんの家庭の奥さん。急に腹が膨れ、さらにすぐに腹がぺったんこになる。
隣家に住んでいる主人公は、弟と共に見知らぬ少年がこの家の前にいるのを見かけ、話しかける。
「水の中に流れて行ったんだ」「オギャーッと」「溝に流したんだよ」
などと、わけのわからないことを話し続ける少年。

別日、回覧板を渡しに行った主人公だが、この少年の話をしても奥さんは微笑むだけ。だが、家の前の溝から赤ん坊の声がする。

感想:子供たちも不気味、奥さんも不気味。謎の仮面(薄くスライスした肉をつかんでぐちょぐちょにしたみたいな質感)をかぶった子供たちの遊んでいる姿も気持ち悪くていいですね。

⑩密閉(白石監督)

元カレと別れ話をしている女性。だが、クローゼットの隙間がふと気になる。閉めても閉めても、開いている。リボンできつくしばったら、クローゼットの内側からそれをひっぱり、ほどく何かに気が付いてしまう。それは、元カレが拾ってきた汚いスーツケースの中の何かがしたことだ。開いたスーツケースから女性の上半身が覗いていて、気が付いたそれはさっと中に引っ込んでしまう。

元カレに荷物を渡す際、そのスーツケースも渡す女性。元カレは興味本位でこじあけようとする。だが、急にそれは開き、男を中に吸い込んでしまう。女性はおそるおそる手を伸ばし、スーツケースの内側から出ている彼氏の手の指をはがしてしまう。すると、スーツケースはそのまま閉じる。
彼女はそれをそのまま粗大ゴミに捨て、呟く。「地獄に落ちろ」

感想:なんか、ちょっとしたディティールがいいなあと思う。クローゼットをギチギチに縛るリボンの感じ、それがするーっとほどけていく「コレだよ、コレ」という期待感。彼氏の指を引きはがす時の女性のねちっこさとか、全部がすんなりと怖い。

感想

・監督名を確認しないで見たのですが、白石監督と内藤監督の作品は突出して面白かった気がする。すごいなあ。あと、「一緒に見ていた」と「赤い女」の大畑創監督も面白かった!「へんげ」の監督さんか!「ABC・オブ・デス2」にも参加されてます。「へんげ」見ようかな。
・まあ、監督さんのテイストは完全に好みです。