「奴隷区 僕と23人の奴隷」

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「奴隷区 僕と23人の奴隷」を見ました。漫画原作だっけ?と思ったら小説なんだそうです。あら、某山田大先生の話かしら?と思ったら違いました。まあ、なんだろう。想像通りの話ですが、アイドル主演の低予算ホラーにありがちな展開や演出もさほどなく、けっこう予算がある映画なんだなあ……と思いながら見ました。走ってる電車、並走して撮ってるとことか。ホラー演出とは関係なく、独白の雰囲気はすごくよかったのは出演者の演技力のたまものか。監督は「東京ゾンビ」の人でした。

登場人物

荒川エイア:主人公のひとり。頭が良く、度胸がある。演じるは元AKB48の秋元才加。
大田ユウガ:エイアの双子の弟。何事にも冷めており、ゲームにエイアを引きずり込む。演じるは本郷奏多。
葛飾ジュリア:ネットで奴隷にされた姿を公表されている美少女。だが、その正体は……。
中央アタル:牧師。成績優秀だけど社会の矛盾に飽き飽きして牧師になったそうです。ジュリアの仲間で好意を抱いているらしいけど、別にそういうシーンがあるわけでもない。
新宿セイヤ:ホスト。ホントは仮面ライダーの中の人みたいですね。
杉並ルシエ:初体験でアキバ男に無理やりやられたことを根に持つ少女。演じるは杏さゆり。
足立シヲリ:女王様。かなりサディスティックな性格。演じるは元AKB48の折井あゆみ。
墨田ズシオウマル:ホームレスで、時には人肉も食べる(理由は不明だけど、調べたらSCMの実験台にされて頭おかしくなったんですって。そしてそのせいで犬化したんですって)。なぜかエイアに従う。
豊島アヤカ:セイヤに入れ込んでいたゴスロリ少女。彼の金蔓として騙されていた。
文教ゼンイチ:マッチョでコワモテだが、意外と弱い。演じるは黒石高大。
目黒マサカズ:ルシエを無理やり手籠めにした張本人。非常に情けない性格のアキバ系のニート。
板橋ゲッコウ:よくわからんがフルメイクして車イスのお嬢様に尽くしている男。お嬢様の奴隷になって大喜びするシーンしかセリフがない。演じるはかもめんたる。
(車イスのお嬢様は本当は伝説の歌姫で、ミュージシャン志望のゲッコウは彼女に近付いてコンタクトをとろうとしていたらしいよ)
中野タイジュ:映画監督。やっぱセリフない。演じるはかもめんたる。
渋谷サチ:シヲリのファンのマゾヒスト。無個性キャラだが、エイアとユウガの奴隷になるのでそこそこ映ってていい役ですね。関係ないけど、中の人は「花と蛇 ZERO」で主演しているらしい。
品川ゼロ:タイジュを奴隷にして、エキストラを脱しようとしている俳優志望の青年。
港タキオ:謎の「マスター」の直接の奴隷。最後にちょろっと出るだけ。
千代田マリヤ:車イスの少女。なんで車イスなのかは映画ではまったく説明なし。
(「下半身不随で、控えめな性格だが性欲は強い」とかいうスゲー設定)
江戸川リュウオウ:大勢の奴隷を操る謎の男。その正体は……。
北ミナミ:ある暴力団の孫娘。行方不明。
練馬ムオン:ある暴力団の組長。ミナミの祖父だが……。
世田谷ツバキ:女子校の理科教師だが、実はSCMの開発者。演じるはロン毛のカツラをかぶった斎藤洋介。
台東フジコ:「頭のおかしい人」役。演じるは鳥居みゆき

ちなみに、東京23区に関連してキャラの名前がつけられているのですが、途中までまっったく気付きませんでした。というように、グラドルからお笑い芸人まで出してるんですけど、意外とハマってるのも面白いもんです。「バトルロワイヤル」と比べるのもアレですが(レジェンドだから)、それぞれのキャラを押し出しつつもここまでまとめたんだからいいんじゃないの。とは思いました。ただ、原作ファンの人は何か思うところあるのかしら。

ルール

・SCMは他人を奴隷にできる
・SCMを使用するには、上の歯が10本なければならない(なんだコレ)
・SCMでの勝負方法はなんでもいいが、仕掛けられたほうが内容を決められる
・勝者が主人、敗者が奴隷になる
・奴隷は命令には絶対服従。ただし「死ね」という命令には従えない
・奴隷は主人に嘘はつけない
・主人が負けたら、その奴隷も相手の奴隷になる
・奴隷は別のSCM使用者に負けたら、新規の勝者のほうが優先されて主人となる
・主人が変わると、気持ち悪くなる

ネタバレ

集まっている人たち。奴隷から解放され、口から機械(SCM)を出して回収されるが「では、まだ奴隷でいたい者」という声に、全員が謎の男に向かって土下座をする。

双子のユウガとエイアは、それぞれの親に引き取られて以来、久しぶりの再会を果たしていた。2人ともフリーターでバイトをしながら生活している日々。だが、ユウガはエイアにSCMを使ったゲームの仲間になるよう、誘いをかけに来たのだ。

歌舞伎町。セイヤは客のアヤカを騙して、SCMで奴隷にしようとする。だが、彼女は反対にセイヤを奴隷にし返して、彼女への本音を引き出す。アヤカはセイヤに「私の傷だらけの股間を慰めろ」と命令するが、その命令を果たす前にユウガとエイアが現れる。

「いっせーのせ」(指をピコピコしながら上にあがった指の本数を当てるゲーム)で勝負をすることにする4人。セイヤとアヤカは示し合わせて勝利するが、実はエイアはゲームに参加しておらず(SCMをまだ装着していなかった)、先に早抜けしていたのはユウガだった。彼らは初ゲームに勝利する。

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因縁の中である女たらしのマサカズは、彼に無理やり関係を持たされたルシエに騙されてゲームをすることになる。にらめっこをして、マサカズはルシエの奴隷になってしまう。

召使のゲッコウは、マリヤの奴隷になるが、大喜びでそれを受け入れる。
ゼロは映画監督のタイジュに、自分を主役で起用するように迫っている。

女王様のシヲリに、女装して近付くユウガ。シヲリはサチを「金属早食べ競争」で負かしていた。彼女に美人対決を挑み、たまたま通りかかった男(実はユウガの奴隷のセイヤ)に判定させるユウガ。もちろん勝利し、シヲリは彼の奴隷になる。だが、そこに乱入したのがマッチョのゼンイチ。彼に乱暴されそうになり、ユウガは逃げ出してしまう。

助けてくれたのは、ジュリアとアタルだった。ネットで奴隷生活を公開されているジュリアを助けたいとSCMのゲームに参加したユウガだが、それは嘘だった。ユウガの奴隷のセイヤも、既に「リュウオウ」の奴隷に化していた。さらにユウガも、ジュリアとの戦いに負け、奴隷となってしまう。
(コイントスで、コインを張り付けられていると気付かず、負けてしまった)

と、ゼンイチと謎のホームレスのケンカ(というか、ゼンイチの腹を食ってるんだが……)を見つけるジュリアたち。ユウガは彼らを奴隷にしてくるように命令される。だが、そのピンチを救ったのがエイアだった。エイアはユウガにあっちむいてホイで勝ち、彼を奴隷にする。

ユウガとエイアは帰宅するが、その際、彼女は弟の本音を聞き出す。そして、ユウガの初恋の相手がエイア本人だと知ってしまう。

リュウオウは、失敗したジュリアにコンパスをかざし、お仕置きをする。ジュリアは恍惚とした表情でそれを受け入れる。

ゼンイチは怪我をした腹部をフジコに嬲られ、奴隷になる。
フジコはゼンイチ、アヤカ、マサカズ、ルシエを奴隷にして、マサカズを的にガラスでダーツを行う(巨大な扇風機にガラスを流し込んで、刺さるのをただ見てるだけ)。さらに、マサカズは(以前、ルシエを騙したことから)ゼンイチに罰として犯される。

キーパーソンである暴力団の孫・ミナミを捜すエイアは、女子校に潜入することにする。だが、そこで教師の世田谷ツバキに出会う。彼はSCMの開発者であり、既にミナミを奴隷化していた。それだけではなく、彼女の祖父の練馬も既に彼の奴隷であった。

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エイアは同じく潜入していたジュリアと共に対決をさせられる。1時間のうちに、体重をより増やせたほうが勝ち。結果、ジュリアが勝利(ただし、彼女は自分の体を刻んで理科室の分銅を隠していた)し、エイアは罰として床を舐めて掃除させられる羽目になる。

エイアとユウガは、ツバキと戦うことになる。

①エイア、ユウガ
奴隷:ズシオウマル(なんかしらんが仲間になった)、サチ(急遽仲間にするが、最後まで物語には絡まず)

②リュウオウ
奴隷:ジュリア、アタル、マリヤ、ゲッコウ、セイヤ、シヲリ、タイジュ、ゼロ

③フジコ
奴隷:マサカズ、ルミエ、アヤカ、ゼンイチ

④ツバキ
奴隷:ムオン、ミナミ(ほか、タキオなど第二段階にある大量の奴隷)

エイアとユウガ、リュウオウ、フジコはそれぞれ、ツバキと戦える権利をかけて、ゲームをすることになる。なお、リュウオウは少年だったことがここでわかる。さらに、SCMをつけ続けていると、第二段階に進み、港タキオのようにどんな状態でも主人の奴隷から抜け出せない、ということがわかる。

1)息止め対決
ユウガ、アタル、ゼンイチで対決。水槽に顔をつけての対決。ゼンイチはユウガのことを蹴り続け、彼を負けさせようとする。だが、リュウイチから念を押されたアタルが、失神しながらも息を止め続け、勝利。

2)骨折りゲーム
ズシオウマル、シヲリ、マサカズで対決。指を順番に折っていき、先に声を上げたら負け。マサカズは失神、ズシオウマルが最後まで耐えて勝利。いきなり喋れるようになって「勝ってください……」(ガク)とやりだす。

3)無理問答ゲーム
相手の話に反応したら負け(脈絡のない会話を続けなければならない)ゲーム。エイア、ジュリア、フジコで対決。フジコは早々に負ける。ジュリアは強いが、リュウオウに話しかけてほっぺにキスをしたエイアに、ジュリアは憤ってしまい、負けてしまう。エイアの勝利。

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最終的に、ユウガとツバキがオセロで対決になる。だが、ツバキが負けたら、奴隷になる前に、第二段階に進んだ奴隷たちにユウガたちを殺させると宣言される。ユウガは、エイアのサインを見ながらオセロを進めていく。
オセロが得意なエイアの手助けがおあって、ユウガは勝ちそうになる。だが、勝った瞬間彼は殺されるだろう。しかし、ズシオウマルが勝負がついた瞬間にツバキの喉を噛み潰し、ユウガが勝利する。

最後の勝負。ユウガとエイアの対決。冷凍庫の中で我慢比べをして、昔の話をする(どうでもいいので割愛)。エイアが勝利。
奴隷となっていた人たちを解放するために、ユウガとエイアは彼らを集める。だが、エイアは呟く。

「解放なんて、するもんですか」
彼女も闇に落ちたのか?

エイアはユウガだけは解放せず、海外ボランティアに行かせて見識を広めさせる。他の人間は解放して、彼らは帰宅する。リュウオウはジュリアに手を差し伸べるが、彼女はリュウオウを無視して去っていく。

地雷除去のボランティア(難易度高そう)に勤しむユウガだが、そこにSCMを持った誰かが現れる。ニヤリと微笑むユウガ。

エイアはまたアルバイトに戻っている(どうでもいいが、メイド喫茶でバイトしてんのか?)。だが、エイアの元カレがSCMを持って職場にやってくる。何とか彼女にSCMをつけさせ、奴隷にしようとする元カレ。だが、エイアは奴隷から回収したSCMは全て壊したはずだ。彼女の知らないところで、SCMはまだ存在している。しかも、おそらく大量に。どこかから
「僕と、勝負しませんか?」
という、ユウガの声が聞こえてくる。
「ドキドキしてきた」
エイアは、笑いながらSCMを口に入れる。

感想

・SCMつけたままカールとか食べたら、めちゃくちゃ詰まりそう。というか、アレは使いまわしなのでしょうか。誰かの口に入ってたのがグルグル巡っているのか?それ想像するだけで気持ち悪いですね。
・「人狼ゲーム」とか「ジョーカーゲーム」みたいに、駆け引き展開が盛り込めるから、否が応でも緩急がつくのがいいのでしょうが、頭脳プレイを見られるわけでもない。という、お約束。
・ただ、ちょこちょこ面白いんだよな。フォークをハサミで切ってそれを早食い対決とか。お腹痛くなりそう。
・双子の恋の話は別にいりませんでした。というより、「実は双子じゃないんだよね」という展開なのですが、二卵性双生児にしても似てなさすぎるだろうとは思った。
・「無理問答ゲーム」ってちょっとおもしろそうだと思った。やったらイライラしそうだけど。
・ズシオウマルは実はツバキの実験台になって、犬化したもののかすかな記憶を辿ってSCMをつけた人を追い、彼に復讐する機会をうかがっていた。だからこそ、SCMをなくして奴隷を開放を使用としているエイアとユウガに同調した。ということらしいのですが、映画内ではまっったく説明がないため(他にも、キャラ説明が非常に薄い)、こちらはえ?新井浩文?(※違います)と思いながら見ていた。
・斎藤洋介さんが黒幕なのですが、原作のキャラに寄せようとしすぎて、単なる変態にしか見えない。でもさすがの熱演。
・地雷除去のボランティアって、いきなり高校生くらいの子がいってできるものなのでしょうか。