「ABC・オブ・デス2」

abcobud2

2014年の映画「ABC・オブ・デス2」を見た。
・短編集
・世界各国の新進気鋭の監督作品が見られるので、結構楽しい
・「1」よりおすすめ(極端なハズレがない)

ネタバレ

※監督名の後に代表作を記しています。記載がない方は(DVDジャケ裏をそのまま転載したこともある)調べていません(名前のみ表記)。

OP:ABCの本のイラストが動き出し、ボール遊びをしている子どもが生首を投げ合ったり、腸でぶらんこしたり。最後、イラスト内の先生が子どもの生首の血でタイトルに「2」をつけくわえる。

A:「AMATEUR」(アマチュア)
監督:E・L・カッツ 「ポゼッション」(サム・ライミ製作の少女オカルト。アメブロで紹介済)

暗殺者の男。銃やドラッグ、女で楽しむ男を撃ち殺す。だが、通気口を逃げているが、途中に釘で手を刺してしまう。蜘蛛の巣だらけで埃だらけの通気口で苦しむ男。
3週間後。関係のないカップルが部屋のなかで「ニオイがひどい」と話をしている。掃除担当のスタッフは臭いのもとを捜しているうちに、男の死体が落ちてきて困惑する。しかも、口からうじが大量に出てくる。焦ったスタッフは死体をはねのけようとするが、その時に男の持っていた銃が暴発し、部屋にいたカップルの男を撃ち抜く。

B:「BADGER」(アナグマ)
監督:ジュリアン・バラット(俳優?)

アナグマの取材に来ているクルー。スタッフが高慢なリポーターに怒られている。しかし、凶暴なアナグマはリポーターを穴に引きずり込み、バラバラにして穴から放り出す。近くには原発が見える。

C:「CAPITAL PUNISHMENT」(死刑)
監督:ジュリアン・ギルビー 「クライムダウン」(登山中に少女誘拐事件に巻き込まれた男女の話。未見)

子どもを殺した男を、裁判にかけている人たち。処刑場に連れていき、首を切り落とす。だが、なかなかオノが切れず、首が落ちない。一方、彼が冤罪だとわかった村人が処刑人たちを追いかけるが、間に合わなかった。

D:「DELOUSED」(駆除)
監督:ロバート・モーガン

クレイアニメです。3人の男に囚われている主人公。男たちの顔には虫が這っている。主人公は殺されてしまうが、男たちが踏み潰した虫が彼の片手に噛みつき、主人公を復活させる。
「借りを返せ」「命は命で払え」
男の手がナイフになる。3人の男を殺す主人公。その生首を、巨大化した虫に開いた穴の中につっこむ。そのなかにはクマがおり、醜い歯を剥き出す。男たちの首を蒸しの中にいるクマに食べさせる主人公だが、自分も首を入れてしまう。そしてそのまま、首が伸びてしまう。男たちの死体が起き上がり、その首を切り落とす。
結局、全員が死んでしまった。虫だけ生き残り、あっという間に元のサイズに戻ってどこかに逃げていく。

E:「EQUILIBRIUM」(平衡)
監督:アレハンドロ・ブルゲス 「ゾンビ革命 ファン・オブ・ザ・デッド」(キューバ発のゾンビ映画。アメブロで紹介済)

無人島で生活している2人の男。排尿をしている缶の目線になる。
唐突に女がそこにやってくる。3人は最初は仲良く暮らしているが、女性が1人の男と仲良くなるにつれて、男たちは仲が悪くなる。喧嘩の結果、男の1人がなぜか女を殺してしまう。
彼らは元通りの無人島生活に戻るが、「救助求む」の文字が「ビール求む」に書き換えられている。

F:「FALLING」(落下)
監督:アロハン・ケシャレス/ナヴォト・パブシャド 「オオカミは嘘をつく」(イスラエルの監督。意欲作が多い。当ブログでも紹介済)

パラシュートが木に引っかかっている女。馬に乗った男が通りかかり、彼女を殺そうとする。彼らは対立した組織の人間なのだ。女は、「自分を殺すより捕まえるべき」「そのほうが他の人間に自慢できる」という。男は「黙れブス」と言いつつも、その通りだと思い、まずはロープを切る。すると、女は飛び降りて逃げる!飛び降りた時に、骨が足の皮膚を突き破るが、それでも逃げる。男は慌てて木から落ちてしまい、そのまま死んでしまう。だが、そこに男の仲間が車でやってくる。女は絶望する。

G:「GRANDDAD」(祖父)
監督:ジム・ホスキング

酒を飲んでいる祖父と孫(同じ髪型に同じ格好)。孫はじいさんのことをけなすが、その夜、ベッドに入ると何か気配がする。シーツの下からつついてきたのは、なんと、マットレスのなかにじいさんがいたのだ!(マットレスをわざわざ人型にくりぬいてある)
1年以上家に居座っている孫に怒り心頭のじいさんは、貝を開く道具で孫の首を刺す。そして、下ネタで祖父をからかった孫に「マ○かけるもんがあるか!?」とズボンを脱ぎ、股間を見せつける。

H:「HEAD GAME」(駆け引き)
監督:ビル・プリンプトン  「東京オンリーピック」(「スキージャンプ・ペア」真島監督の作品。コント風の短編集に参加。未見)

アニメ。
キスをしているカップルだが、彼女の口から血が出てきたことで、彼女が反撃。彼の歯を折る。戦争のように激しく攻撃しあう2人だが、お互いに顔が損壊してしまい、共倒れになる。

I:「INVINCIBLE」(無敵)
監督:エリック・マッティ 「牢獄処刑人」(フィリピンのアクション映画。監督としても新進気鋭らしいです。未見)

自分の母親を殺そうとしている4人の中年男女。だが、何をしても祖母は死なない。口の中にある石?をとればいいのだが、それこそが不老不死の肉体をもたらすらしい。娘や息子たちは絶対にそれに手を振れない。いくら乱暴されても、ガソリンで燃やされてもまだ生きている老婆。首を切っても、生首は元気におしゃべりする。
娘は母にとどめを刺そうと努力するが、口を開けた瞬間、石?が彼女の口に投げ込まれる。老婆は死に、娘以外の人間は遺産の相談を始める。

J:「JESUS」
監督:デニソン・ハマーリョ

同性愛者の男が、カメラでその様子を撮影されている。神父は、この男に悪魔祓いを行う。「お前の仲間はもう陥落したぞ!」神父たちが腐った禍々しいモンスターに見える男。自分の手のひらに穴が開いているようにも見える(磔にされたイエスを思い起こさせようとしている?)。
男はパニックに陥る。しかし、そこに謎の男が出てきて、神父たちをとっちめる。斧で打ちのめし、焼きゴテで神父を苦しめる謎の男。そして、拘束されている男を撫でる。撫でられた男の腕には、恋人の腕にあったタトゥー「愛は法なり」という文字が浮かび上がる。男は、謎の男と見つめ合う。

K:「KNELL」(凶兆)
監督:クリスティーナ・ブオジーテ /ブルーノ・サンペル  「ナイトメアは欲情する」(リトアニア、フランス、ベルギーで共同制作されたSFサスペンス。未見)

ネイルをしている女の子。ふと外を見ると、空に何かが浮いている。透明なボール状の中に、黒い液体がたぷたぷと満ちていくように見える。その液体は姿を変え続け、最後に弾けるようにして消える。その真下にある立派なビルから、声が上がる。ありとあらゆる窓の中で、殺人が行われているシルエットが見える。なかには、窓から人が転げ落ちている。そしてふと、ビルの中の人が彼女の視線に気付き、こちらを観察している。慌てて家の中に隠れる女の子。だが、誰かが家に来るようだ。扉から、液体が染み込んでくる。窓からも這いこんでくる液体。彼女を追い詰めるように。
彼女の股間から血が溢れて床に垂れ、それが謎の液体と出会い、混ざり合っていく。

L:「LEGACY」(遺物)
監督:ランスロット・オドゥワ・イマスエン

ある部族。無実の王子が権力粗そうで殺される。その恨みを晴らすべく、王子はネズミ男となって蘇る(殺される時に、ネズミを殺してその血を刀に塗られた)。
黒幕たちは困惑する。「どうするんですか」「うーん」
※これで終わりです。おそらく、アフリカで撮影されたのでCGも特殊メイクもチープ。でも頑張ってる!

M:「MASTICATE」(かみつき魔)
監督:ロバート・ブーチェック

白ブリーフの男が、街をひた走る。彼は男を殴り、女を引き倒す。カフェのテーブルもひっくり返す。もりもりゾンビとして人を食べる男。警官に殺される。
34分前、彼はドラッグをキメるぜ!と知り合いに宣言していた。

N:「NEXUS」(連鎖)
監督:ラリー・フェセンデン

ネットでつながっているカップル。自撮りを送り合っている。今日はハロウィンだ。仮装してデートをする。男はフランケンシュタインの格好で自転車に乗り、走り出す。女の子はたまたまあった男の子にお菓子をプレゼントする。タクシーで急いでいるキャリアウーマンもいる。
「ひとつに……ひとつに……」
その瞬間、タクシーはフランケン男の自転車と接触して、男と子どもを轢き殺す。

O:「OCHLOCRASY(MOB RULE)」(愚民政治)
監督:大畑創 「へんげ」(未見。体が変化していく男と、それを愛し続ける妻の話だそう。未見)

ゾンビの人間が理性を取り戻せる薬が発明され、ゾンビが社会復帰を果たしている世界。生き延びるため、ゾンビを殺した人間が次々裁判にかけられ、死刑にされていく。人間は少数派として迫害されている。
主人公の女は、ゾンビから逃げるために彼らを殺し、感染した娘を殺した罪に問われている。なんと、ゾンビ化して生き延びていた娘が証人として登場して、「ハハハゾンビを楽しんで殺していた」と証言する。
女は「お前らゾンビなんて、皆殺しておけばよかったのよ!」と絶叫しながら処刑される。その足元には、死体がずらりと並んでいる。だが、電気イスの接続のせいか、彼女はゾンビとして蘇る。ゾンビとなった人間たちは、ゾンビから人間に戻った元ゾンビたちを襲い出す。

P:「P-P-P-P SCRAY!」(ピ ピ PS怖い!)
監督:トッド・ローアル 「ハンナだけど、生きていく!」(青春コメディ。未見)

脱獄した囚人3人(背景はオールブラック、昔のホラー映画のような感じのモノクロ動画)。謎のおじさんと出会う。彼は「よく来たな!」と笑うが、電気が消えるたびに仲間が消え、死んでいく。おじさんは狂ったように笑う。

Q:「QUESTIONNAIRE」(アンケート)
監督:ロドニー・アッシャー 「ROOM237」(キング原作/キューブリック監督の「シャイニング」を徹底解析している映画。ドキュメンタリー好きにはたまりません!アメブロで紹介済)

無料知能テストにチャレンジしている男。次々に正解を出していく。「仕事をご紹介しましょう」とスタッフに誘われ、男はついていく。だが、彼は拘束されて脳を取り出され、それをゴリラに移植されてしまう。

R:「ROULETTE」(ルーレット)
監督:マーヴィン・クレン  「パラサイト・クリーチャーズ」 (オーストリアのホラー。未見)

ロシアンルーレットをしている男、女、老人。だが、最後の弾で男は妻である女を撃ってしまう。「誰かが来る!」老人は慌てている。
※生き残るためのロシアンルーレットではなく、追っ手からむごく殺されるよりは自死を選びたい人たち?

S:「SPLIT」(破局)
監督:フアン・マルティネス・モレノ  「人狼村 史上最悪の田舎」(人狼モノのなかではかなりおもしろいコメディ。このブログで紹介済のはず)

ホテルに宿泊している夫。家にいる妻と電話で話している。しかし、そこに侵入者が現れ、妻はハンマーでメッタうちにされる。それを電話で聞いている男。「赤ん坊はやめてくれ!」絶叫する。
犯人はこちらをゆっくり振り返るが、それは女だ。
「夫と話をさせて」
男は青ざめて、ホテルの部屋でベッドの中にいる裸の男(浮気相手)に電話を渡す。

T:「TPRTURE PORN」(残虐ポルノ)
ジェン・ソスカ /シルヴィア・ソスカ 「アメリカン・ドクターX」(闇の整形外科女医が、凌辱した男にリベンジするセクシーホラー。未見)

オーディション。スタッフたちは、美女にエッチな要求をする。彼女を脱がせ、胸を揉むスタッフ。しかし、スカートからペニスが出てきて、女性は彼らに襲いかかる。「私はペニスが好き」と、彼女は男の股間を食べる。スタッフの阿鼻叫喚の時間が始まる。

U:「UTOPIA」(ユートピア)
監督:ヴィンチェンゾ・ナタリ  「CUBE」(もちろん、あの「CUBE」です!)

「U」という文字の紙袋を持ち、美しいルックスに素晴らしいスタイルの人たちが行きかっているだが、ぽっちゃりとした男がバタバタとそこに通りかかる。彼は通報され、小さな車が男のもとにやってくる。車に捕まえられ、そのまま中に入れられ、焼かれてしまう男。それを見ながら、皆が拍手している。

V:「VACATION」(バカンス)
監督:ジェローム・サブル 「絶叫のオペラ座へようこそ」 (このブログでも紹介済。歌舞伎オペラホラーという衝撃内容)

アジアを旅行中の男。彼女がそこに電話をしてくる。男の友人がその通話(動画ありの電話なので、スカイプ?)に割り込んできて、その電話を奪う。ベランダに男を閉じ込め、男の友人は部屋の中を見せる。ドラッグ、酒、そして女。しかも、親子を買春していた。彼女は当然激怒する。
しかし、友人は突然むくりと起き上がった素っ裸の母に刺される。男も、ベランダから突き落とされる。娘のほうも母にすがりついて泣き叫ぶ。突然電話が切れる。

W:「WISH」(願い)
監督:スティーヴン・コスタンスキ 「マンボーグ」 (カナダのSF映画。未見)

大好きなおもちゃの世界に入り込んでしまった男の子たち。悪役が正義の味方たちを虐殺している。子どもたちは悪役たちに捕まり、敵のアジトに連れていかれる。男の子2人のうち、1人は殺されてしまう(溶けて骸骨になる)。そこに、ファンタジーマンを名乗る初老の男が現れる。プリンセス扱いされる男の子。袋に詰め込まれ、彼もどこかに連れ去られる。外の世界にも、死体がゴロゴロと落ちている。

X:「XYLOPHONE」(木琴)
監督:ジュリアン・モーリー /アレクサンドル・バスティロ 「屋敷女」(言わずと知れたフランスの名作ホラー。ぜひ見るべき。アメブロで紹介済)

木琴を弾く子どもと、それを見ている大人の女性。次の瞬間、子どもはべちゃべちゃに砕け、その女が子どもの肋骨を木琴代わりに弾いている。入ってきた大人(子どもの親)の男女も驚く。

Y:「YOUTH」(若さ)
監督:梅沢壮一  「暗殺教室」※特殊メイク担当

母と義理の父に不満を持つ女子高生。彼女は想像のなかで、親をいたぶる。義理の父は最終的にギターになり、母は最終的に爆発する。父には鉛筆が飛んできて刺さり、手がウジ虫になり、顔に消臭剤を吹きかけ、母には野菜の中からハンバーガーのお化けが出てきてポテトを体に撃ちこみ、体中にタマゴができ、その想像は目まぐるしく変わっていく。だが、現実はいつものままだ。
カミソリで自傷している娘。そのカミソリを捨て、彼女のスカートの中からは大きな手が出てきて「FUCK YOU」と中指を立てる。そして、彼女は襲いかかる。
「生」という文字が最後に出てくる。
※母親役で黒沢あすかさんも出ています。

Z:「ZYGOTE」(受精卵)
監督:クリス・ナッシュ

雪山。妊娠中の嫁をおいて、男は出かける。不安がる嫁。
春が来ているが、その腹は大きく膨れている。ウサギを捕まえて食べる嫁。嫁は置き去りにされないように、子どもをお腹の中に閉じ込めているのだ。
しかし、もう限界だ。嫁は倒れて、その顔は大きく蠢く。体も大きく歪み、口からは骨が飛び出す。
「ほら、これで余裕ができた」
子どもは母の体を“着て”、立ち上がる。そこに帰ってくる男。また子どもを作る約束をする2人。

感想:
・今回は、極端に「?」っていう話がなかったのでよかった。
・個人的には「J」、「K」、「S」、「V」、「Z」の話が好き。クレイアニメなんかもよかった