「ウェイワード・パインズ 出口のない街」前篇・第1話のネタバレ

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第1話 偽りの理想郷(Where Paradise is Home)

シークレット・サービスのイーサン・バークは、捜査に向かう途中、自動車事故に遭う。彼が目を覚ますと、そこはウェイワード・パインズという街の病院だった。しかし自分の持ち物はすべてなくなっていて、病院にはパムという看護師しか見当たらない。不審に思ったイーサンは病院を出ていく。こうして街へ出たイーサンだが、家や職場に連絡をしても、なぜかつながらない。しだいに街全体の異様さに気づくイーサンだったが…。
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登場人物

イーサン:シークレット・サービスの捜査官。以前、自分の判断ミスで釈放した男が爆破事件を起こしたことから、大きなトラウマと戦っている。そのせいで相棒のケイトと不倫をしてしまい、妻と子どもを傷付けた。

テレサ:イーサンの妻。自身も捜査官として経験を積んでいたものの、イーサンと結婚して家庭に入る。そのため、ケイトとも面識あり。

ベン:イーサンの息子。ギターが好き。どことなく孤独である。

ケイト:イーサンの元同僚。失踪数日後にイーサンが彼女を見つけ出すが、なぜか彼女は老いていた。結果、ウェイワード・パインズで12年間も過ごしていることがわかる。

ビバリー:親切な女性バーテンダー。イーサンに唯一協力的である。

パム:看護師。イーサンに挑戦的であり、いかにも裏がありそうである。

ドクター・ジェンキンス:親切な紳士であり、イーサンに助言をもたらすことも多い。

ネタバレ

男が目を開けると、そこは深い森の中だった。

回想。カウンセラーと話をしている男。彼はある出来事について、妻に内緒にしている。男は爆破事件の犯人を釈放してしまい、そのせいで大きな事故が起きた。だが、仕事の規定上、家族にそれを告白できない。

ショックのせいで、彼は幻想を見ているのだろうか。森の中にある街に出る彼。「ウェイワード・パインズ」という街にいるということを、彼はコーヒーショップの店員から聞き、その直後に昏倒する。

目を覚ますと、男は病院にいる。看護師のパムという年配の女性が、かいがいしく彼を世話する。

回想。同僚・スターリングスと共に、元カノ(不倫相手)の女性捜査官・ケイトを捜索している彼。だが、会話中に交通事故に遭ってしまう。

男の名前はイーサン・バーグ。携帯電話や財布もなく、電話もかけさせてもらえない。どうやら私物は保安官事務所にあるようだ。

彼の職場では、スターリングスの死体が発見されたと一報が入っている。だが、イーサンは行方不明だ。

妻のテレサと息子のベンは、夫の不在を心配している。ベンは繊細で勘が鋭い子供のようだ。イーサンの同僚のアダムから、妻のもとにイーサンが事故に遭ったと電話がかかる。

イーサンはイライラしている。医者もいないし、電話もかけられない。彼はこっそり病室から抜け出すことにする。だが、それをパムに見つかってしまう。振り切って出ていくイーサン。
彼は保安官事務所に着くが、鍵がかかっている。

母の不安そうな様子を見抜くベン。混乱している2人だが、テレサは必死に息子を励ます。

バーで電話を借りることにしたイーサンは、親切な女性バーテンダー・ビバリーに助けられる。彼女は朗らかで優しく、イーサンはこの街で初めて普通の人間に会えたと安堵する。妻の携帯電話の留守電にメッセージを残すイーサン。失踪したケイトともうひとりの捜査官について聞きこみをするが、何も手掛かりが得られない。
ビバリーは一文無しのイーサンに自分の住所をメモして渡してくれる。
「俺を信じてくれるんだな」
「“ずっと”信じてた」
メモの裏には、「この街にはコオロギはいない」と書かれている。
店の外に出たイーサンは、ふと茂みに目をやる。そこからはコオロギの声がするが、探ってみたらそれは機械で再生された声であることがわかる。

翌日、ホテルの部屋で目を覚ますイーサン。彼は金がないため、慇懃無礼な支配人にホテルを追い出される。

ビバリーのメモの住所を訪れる彼。だが、そこには廃屋しかない。おそるおそる中に入っていくと、そこには手足をそれぞれベッドに縛り付けられ、無残な姿で死んでいる男の死体がある。男の死体には、たくさんの虫がたかっている。その男こそ、ケイトと一緒に失踪した捜査官・エヴァンスだった。

保安官事務所を訪れるイーサン。アイスクリームをしゃぶりながらそっくり返っているアーノルド・ポープ保安官と初めて会う。イーサンは死体を見つけたことを話し出すが、保安官はラムレーズンのアイスに夢中だ。電話を借りようとするイーサンだが、何度も話を遮られる。保安官はイーサンをどことなく敵視しているようだ。

交通事故の現場ではイーサンの乗っていた車が発見されるが、車からGPSが取り外されている。そして、イーサンが車に乗っていたという痕跡も消されてしまっている。

彼はまた妻に電話を入れ、職場にも電話をかけるが、両方ともつながらない。交換手の女は、どうしても彼の上司を電話に出そうとしない。

バーを訪れてビバリーを探すが、「この店には女のバーテンダーはいない」と言われてしまう。混乱するイーサン。ビバリーの名前を呼び、興奮するイーサンをバーテンダーの男が後ろから殴りつけ、どこかに連絡している。

回想。息子の誕生日を祝うイーサンとテレサ。公園でバースデーケーキを出して、そのロウソクを吹き消させる。ベンは「両親が離婚しないように」と願い、夫婦はそれを微笑みながら見ている。

目を覚ますと、今度はドクター・ジェンキンスという小太りの小さな老人が目の前にいる。彼はイーサンの精神が不安定であり、交通事故の脳出血のせいで幻覚を見ているのだと指摘する。イーサンは自分はおかしくないと主張する。
「おかしいのは、この街だ」
「いや、ここは普通の街だよ」
博士は脳の手術を受けることを勧める。イーサンは抵抗をする。暴れるイーサンに鎮痛剤を打つ看護師のパム。しかし、そこにビバリーが現れ、彼の乗った担架を押して拘束を解かれる。

鎮痛剤が効くまで、残り5分。それまでに脱出しなければならない。追ってくるパムから逃れるため、2人はバラバラに隠れる。鎮痛剤の注射器を見せびらかすようにしながら、パムはイーサンを追い詰める。だが、雨でびしょ濡れのビバリーから滴った水滴がパムを欺き、イーサンは彼女を襲うことに成功する。

ビバリーに支えられながら逃げるイーサン。廃屋に逃げ込む。
・ビバリーは本当はバーで働いており、実在する
・エヴァンスは逃げようとして殺された
・ビバリーも交通事故を機に、この街に閉じ込められている。だが、彼女が交通事故に遭ったのは1999年。そこから時間はほとんど経過していないと主張する。だが、今は2014年(※ドラマ内)のはずなのに……?
ことがわかる。

アダムとテレサは会って話している。だが、イーサンは行方不明であること以外、何も判明していないとアダムは熱弁をふるう。

イーサンはビバリーが用意した私服を身に着け、街を彷徨う。ふと公園でバーベキューをしているグループを見て、驚愕するイーサン。そこには探していたケイトがいる。彼女は27歳なのに、だいぶ年をとっているように見える。

回想。爆破事件のことで落ち込むイーサンを、ケイトは慰める。相棒だったはずの2人だが、いつしかキスをしている。

彼女にはハロルドという夫もいるようだ。帰宅する2人を尾行するイーサンは、ケイトと接触することに成功する。最初は知らんぷりをしている彼女だが、イーサンに「監視されてる」と告げる。街のいたるところに、監視カメラや盗聴器が隠されているようだ。

ケイトはこの街に12年間住んでいると明かす。そして、あまり余計なことを話すとケイトと夫・ハロルドの安全が危ないと明かす。わざと大声で、「ここなら幸せになれる」と言い出すケイト。
「夢のような生活よ」
「まさか俺は……再発したってことか?」
イーサンは混乱している。

ケイトの家の前の車を盗むイーサン。そのまま乗り込み、街を出ようとする。森を走り抜けるが、なぜかまたウェイワード・パインズに戻ってきてしまう彼。途中で車を止め、森を歩きだす。

アダムは誰かを待っている。現れたのは、ドクター・ジェンキンス。「中止したい」というアダムを遮り、彼は全てうまくいっていると微笑む。

テレサはギターを弾いているベンを見守っている。夫からの伝言メッセージは……彼女の携帯に残されていない。

すっかり日が暮れた。歩き続けたイーサンは、森の中で電気が流れている大きな壁を見つける。そこには「この先に行けば命はない」という看板も掲げられている。壁はどこまでも続き、街全体をすっぽり覆っている。

車に戻ったイーサンのところに現れたのは、保安官だ。
「残念だったな」
「この街を出たい」
「諦めろ」