「ホーンズ 容疑者と告白の角」

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2013年の映画、アメリカ/カナダで製作された「ホーンズ 容疑者と告白の角」。サスペンスであり、オカルトのようでもあり、狂気すらも感じられる映画。ビジュアルがとにかくキレイです。恋愛映画要素も多く、主演はダニエル・ラドクリフくんです。
なにより、今気付いたけどアレクサンドル・アジャ監督ではないですか!
(代表作:「ハイテンション」や「ヒルズ・ハブ・アイズ」リメイク、「ピラニア3D」)

※未見の方は、まず先にご覧になることをおすすめします!

あらすじ

巨匠スティーヴン・キングの息子ジョー・ヒルの長編2作目となるホラー小説『ホーンズ 角』を「ヒルズ・ハブ・アイズ」「ピラニア3D」のアレクサンドル・アジャ監督、「ハリー・ポッター」シリーズのダニエル・ラドクリフ主演で映画化した怪奇ファンタジー・ミステリー。恋人殺しの汚名を着せられた男が、突如生えてきた角の不思議な力を使って真犯人探しを繰り広げるさまを描く。共演はマックス・ミンゲラ、ジュノー・テンプル。

ある日、街のマドンナだった美女メリンが森の中で惨殺死体となって発見される。すぐに恋人のイグに疑いの目が向けられ、イグは住民の激しいバッシングやマスコミの執拗な追及に晒される。恋人を殺されたばかりか、濡れ衣まで着せられ、絶望の淵に立たされるイグ。そんなある日、目覚めると、彼の頭から2つの角が生えてきた。パニックに陥ったイグだったが、奇妙なことに、その角を見ても誰も驚かず、そればかりかイグに対して本音や秘密を自ら打ち明けてしまうのだった。この角に不思議な力があることに気づいたイグは、その力を使って真犯人を突き止めるべく事件の真相解明に乗り出すのだったが…。

http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=351518

登場人物

イグ:主人公。恋人・メリンを愛していた
メリン:イグの恋人。だが、彼女には秘密があるようで……
リー:イグの幼なじみであり、彼の弁護士も務めている
イグの兄:リーとも仲がいい。バンドマンであり、ドラッグに溺れている。
グレンナ:バーで働いており、イグたちの幼なじみ。つい誰とでも寝てしまい、利用されてしまうのがコンプレックス。

ネタバレ

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冒頭からイチャイチャしているイグとメリン。だが、その光景が地面を境に反転すると、1人で寝転んでいるイグの姿に変わる。
彼は恋人・メリンを殺した罪ええ容疑者となり、マスコミに追いかけまわされている。
貴重な証拠があったラボには不審な火事が起こり、死体に残っていた犯人の体液が燃えてしまった。しかも彼は、自白したことになっている。

森では、メリンのパパが追悼式を行っている。イグは当然、そこに参加できない。だが、木の上からそれを見守っている。

頭痛に悩むイグ。気が付けば額から角が生えてきている!
彼とグレンナは寝てしまうが、角の生えているイグのそばにいたグレンナは突然ドーナツを食べたがり、異様な食欲を見せる。

医者へ向かうイグ。しかし、そこでも不思議なことが怒る。待合室にいた女性は「娘を置いて出ていきたい」「ゴルフ講師と浮気したい」とべらべらしゃべり、温厚な受付女性は彼女と喧嘩を始める。

麻酔をかけられたイグは、子ども時代のことを思い出す。
かわいいメリンが街にやってきて、男の子たちは夢中になったこと。
花火を使った遊びをしていて、リーの指が吹っ飛んだこと。
メリンとの恋、リーとの友情。

イグは角をとるための手術をするはずが、目が覚めたら医師と看護師がセックスをしている。そのせいもあり、角をとることはできない。だが、そのことを相談しようとしたリーには、イグの角は見えない。角は、見える人間と見えない人間がいるのだ。

角には、人間から本音や本当にしたい行動を引き出す力があった。だがそのせいで、イグの母が息子をにくく思っており、縁を切りたいと感じていることを知る。父はラボに放火するように頼んだことを明かしてしまう。

だが、彼を追いかけまわすマスコミは欲望をむきだしにして、各メディアで殴り合いを始める。それだけは愉快そうに見ているイグ。

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角の力を持ち、事件の証言者を探すためにパブを訪れるイグ。証言者が誰か聞きだすが、オーナーはパブに火をつけ、客も「誰か殺したい」「誰かに股間を見せたい!」と騒ぎ出し、そのまま炎上してしまう。

かつての記憶。イグはリーや兄に、メリンにプロポーズしたいと相談する。リーはそれをやんわり止めるが。イグは決行する。
ダイナーでデートをしてプロポーズしようとしていたイグだが、メリンが別れたいと言い出して喧嘩になる。そして「そのまま、無理やり彼女を車に乗せていた」という証言がなされているが、イグはメリンを残してその場を立ち去り、車の中で酒を飲んで酔って寝てしまっていた。次の日の朝、彼はメリンが死んだことを知った。

ダイナーに聞きこみに行くイグだが、証言をしたウェイトレスは「注目されたかったから嘘をついた」とはっきり言う(角のせい)。

兄のもとへ行くイグ。グレンナには「(自分らしく生きたいなら)街を出ろ」と忠告をする。
そしてイグは真実を知る。メリンは兄と一緒に店を出たのだ。そして、兄は彼女を家まで送ろうとしていたが、メリンは森の中に逃げてしまう。そのまま待っているうちに寝てしまったが、起きたら彼女は死んでいた。自身が石を握っていたことから、犯人かもしれないと怯えた兄。本当のことを言わなかった兄を責めるイグ。

リーはメリンのネックレスをしている。メリンは、リーに心変わりをしていたのだろうか?

イグはメリンの父に会う。父は彼を撃とうとはしなかった。彼に怒りを感じているが、犯人だと心からは思えないのだろうか?

とうとうイグはキレる。ウェイトレスをヘビに襲わせ、やたらと絡んできた警察官(幼なじみ)のエリックに「なんならここで2人でしゃぶりあったら?」とゲイを隠してきたコンプレックスをつつき、解放させる。そのままパトカーの中でおっぱじめる警察官たち。
ヘビをまとった姿のまま、イグは家の中に現れる。兄さんにありったけのドラッグをやらせるイグ。オーバードーズで倒れる前、おかしくなる兄。部屋の中に草やツタが生え、自分を飲み込んでいく幻覚を見る。

今まで、イグの角が見えなかったリー。だが、メリンの十字架のネックレスが取れた瞬間、リーは角が見えるようになった。そして彼は話し出す。
「殺す気はなかった」

イグとは結婚できないと言っていたメリン。リーは彼女が心変わりしたんだと喜びキスしようとするが、彼女は怯えてそれを拒否する。だから、彼は彼女を殺したのだ。
リーはそのことを告白して、イグの乗った車に火をつけ、炎上させて海に落とす。

兄は、病院内でイグのことを反省している。

しかし、イグは生きていた。消し炭のようになりながらも、角の力で助かったのだ。海から上がってきた彼はメリンの父と遭遇して、彼女の十字架を手にする。と、ヤケドも角ももとに戻っていく。

実は、メリンは遺伝性のガンだった。だからプロポーズを断ったのだ。この顛末が書かれた手紙を見たイグは、リーに復讐を誓う。
そして森の中、イグとリーは改めて対決する。そこに兄が現れ「二度とお前を見捨てないと誓ったから」と加勢する。さらに、かつての幼なじみたちもイグに力を貸そうとするが(警官のエリックも登場する)、リーに撃たれ、次々倒れてしまう。
だが、イグは蛇を使ってリーを殺す。口から体内に蛇が入り込んでいくリー。
そしてイグも力を使いきり、兄の腕の中で石化してしまう。しかし、彼の脳内はメリンと過ごした幸せな日々で満たされていた。
ビジュアルが美しく、まさに女子が好きそうな甘ったるい恋愛要素と、汚い本音や裏切りが連続するハードな展開。そのハーモニーは珍妙すぎて、不思議なモヤモヤが心の中を占めていきます。