「アナベル 死霊館の人形」

anbl4

今回は、2014年の映画「アナベル 死霊館の人形」について。いや、この映画は何なのでしょうか。
「母が娘を悪霊から守る」「呪われた人形が動き出す」みたいな、さんっざんやりつくされた感があるテーマ。さんざんしゃぶりつくされた骨を「まだ食べられるよ」と差し出されたような気がする。
前作の「死霊館」はジャガー横田さんのようなママが悪霊にとりつかれてブンブンブーンされた時点でとても面白かったのですが、今回は笑いどころナシ!レンタルスタートと同時に借りなくてもよかったかもしれない。

anbl

あらすじ

2013年、全米でサプライズ大ヒットとなったジェームズ・ワン監督ホラー「死霊館」に登場した呪われた人形“アナベル”をフィーチャーし、その知られざる誕生の物語を描いたオカルト・ホラー。ジェームズ・ワンは製作に回り、監督は「死霊館」で撮影監督を務めたジョン・R・レオネッティが担当。

仲睦まじい夫婦ジョンとミア。ジョンは出産を控えたミアにビンテージの人形をプレゼントする。我が子の誕生を待ちわび、幸せな日々を送る2人だったが、思いも寄らぬ事件に巻き込まれる。ある日、隣家の老夫婦がカルト信者の男女に惨殺される事件が発生し、犯人がミアにも襲いかかってきたのだ。間一髪で男は警官に射殺され、女のほうはミアの人形を抱いて自殺した。以来、夫婦は次々と不可解な出来事に見舞われる。無事に女の子が生まれた夫婦は、忌まわしい記憶の残る家を後にし、新天地へ引っ越すことに。ところが、新しい家で荷物を整理していた2人の前に、なぜか捨てたはずの人形が出てきて…。
http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=350895

ネタバレ

anbl4

冒頭から「昔から、人形は儀式に使われてきた」など、ダラダラと「知っとるわい」というような話が続きます。この人形のなかにはアナベル・ヒギンスという少女の霊がとりついており、その人形を手に入れた女の子とその友人が誰か(おそらく「死霊館」の登場人物?)に不安を打ち明けているシーンから始まるのです。
ただ、前作の面白いとこしか覚えてないので、誰だっけ?としか思えない。
つまり、この映画からシリーズを見た人にはけっこう不親切であり、この映画を覚えていない人は「うっ、私が忘れっぽいせいね」と涙を浮かべながら自分を呪うしかないのです。

さて、この映画はかなり前の昔の話です。
医者を目指す青年・ジョンと、奥さんのミア。ミアは妊婦ですが、趣味で人形を集めています。
このヴィンテージの人形が「アナベル」の人形なわけですが、まぁ~顔が怖い。アンティークにしても怖い。ジョンはミアにこの人形をプレゼントして、大喜びする妻。

しかしこのプレゼントがあった日の夜、隣の家の仲良し夫婦が殺されます。そしてその犯人のカルト信者の男女が、続けてジョンとミアの家にも入ってきて、ミアの腹をぶっ刺します。もちろん犯人は射殺されるのですが(ホラーですから)、女性のほうの信者は子供部屋でアナベルの人形を抱きしめて死亡。血で染まる人形。

妻もお腹の子も助かりますが、この日から不思議な出来事が起こるようになります。
・ミシンが勝手に動く
・清掃をいれたはずの子ども部屋から、血まみれのアナベル人形が出てくる
・作りかけのポップコーンを乗せたコンロに勝手に火が付き、家事になる

この火事のせいで子どもが生まれちゃいます。しかし引っ越しを余儀なくされ(ちゅうか、殺人事件があった物件に住み続けるのはどうかと……)、マンションに住むようになった夫婦。女の子は元気なのですが、ミアは外に出るのが怖くて家で過ごしています。顔が青白い娘・リア。もう悪魔に乗っ取られたのかと思いきや、そんなことありませんでした。
しかも、捨てたはずのアナベル人形が段ボールから出てきてジョンはびっくり!ミアは「捨てたほうがいい」というジョンの声を無視して、人形を保存することにします。なんでや。

anbl2

そしてまた起こるようになる、不思議な出来事。

・子どもが描いたような絵がマンションの通路や階段に落ちているが、ミアの子が死ぬ絵である
・家の中に小学生ぐらいの女の子がいて、笑いながら駆け抜ける
しかも、女の子がミアのほうに走ってくるのですが、一瞬ドアが閉まって見えなくなった後、またドアが開いたらカルト教団の女になっており、彼女がつかみかかってくる幻覚を見ます。

かなり怖かったシーン。このマンションは地下に荷物置き場があるんですね。
簡易的な、金網でスペースが分けてあるようなものなのですが、そこで赤ちゃんの泣き声が聞こえてきてびっくりするミア。視線の先にはアンティークのベビーカー。
ミアは逃げようとしますが、エレベーターが稼働しません。そこで非常階段を使って逃げることに。と、これだけなんですけどね。

ミアは殺人事件の時にお世話になった刑事と再会しますが、犯人のカルト信者女の娘が、家に現れた女の子だったことも判明します。

娘をなくした経験がある親切な黒人女性・エブリンと知り合ったミア。
しかし怪奇現象は止まらない!
勝手に乳母車が動いてトラックに引かれたり、部屋のドアが開かなくなって子どもだけ閉じ込められたり。しかも、女の子のまわりにドサドサ本が落ちてきます。その光景を見つめながら悲鳴を上げるミア。
しかし、彼女が覗きこんでいた下の隙間に、突然アナベル人形が落ちてきて目が合います。これは怖い。劇場で見てたらビックリするかもしれない。ただ、それだけなんだけど。

anbl3

そしてミアはなくなった人形を探してウロウロしていたら、空中に浮いているアナベル人形と、それを操る何かを目撃して悲鳴を上げるのです。

ジョンは憔悴するミアを心配しますが、こういうオカルトにありがちな「お前がおかしいんだ!」という理論には発展しないのがイイ。あんまり出番のない彼はミアを信じて、まずは知り合いの神父に相談します。

神父にアナベル人形を預けて安心する夫婦ですが、新婦の車のなかでみるみる目を血走らせる人形。神父は教会に人形を運びこもうとしますが、扉を開けた瞬間何かに弾き飛ばされ、道路にドスーンと落ちます。落っこちた人形を拾ってどこかに立ち去る人影。この人影とは……?

ミアはエヴリンに励まされながらも過ごしていたのですが、なんだかまたまた様子がおかしい。
誰かが尋ねてきたのでミアが応対しますが、そこに立っているのが入院したはずの神父。 しかし、神父の目はアナベル人形のそれ(血走った青い瞳)であり、神父の姿をしたものは「神は汝の罪を許したもーう!」と絶叫。
すみません、ここで笑ってしまいました。「アダモちゃーん!」と同じイントネーションだったから。

anbl1

そして
・謎の黒い塊が天井からドーン
・見えない力で部屋から追い出されるエブリン
・天井一面に赤いクレヨンで文字が書かれている「her soul」(彼女の魂)
・ベビーベッドにアナベル人形があった
・ミアが窓を見ると、そこには「your soul」と書かれており、静かに窓が開く

「悪霊は承諾がなければ魂は奪えない」「しかし、赤ん坊ならば承諾をしなくても奪える」という、まるで悪徳商法のようなつけこみ方をしてくる悪霊。
ミアは赤ちゃんの命を守るため、自分の魂を悪魔にあげることに。しかし、そこでジョンがタックルしてきて「子どものことを考えろ!」とお説教。そうこうしているうちに、エヴリンが「私が犠牲になればいいのよ!」とアナベル人形を抱えて自殺しちゃいました。

そして、その後。元気になった神父と夫婦が再会し、アナベル人形の行方を心配しています。
この人形をちゃんと、しかるべき手段で処理しないまま見失ってしまった彼らですが「次の持ち主がちゃんとしてくれていればいいんだけどね」で終わり。
エ、エヴリンは……??

結局、その人形はアンティークショップに置かれており、老婦人が「プレゼントに」と買っていきます。
いや、プレゼントに傷だらけで血まみれの人形をあげちゃダメだろと思ったのですが、これで冒頭に話がつながり、ラストにケースにしまわれている人形とテロップが出て終わり。
「ウォーレン夫婦(「死霊館」の主人公夫婦)が現在は人形を補完、神父が月に2回清めている」という説明が入り、そのまま動かない人形が映し出されます。

ちょいちょい怖いかもと思うシーンもあるのですが「……わっ!!!……びっくりした?」というような感じの驚かし方なので、ホラー映画を見慣れてしまうとどうということもないのが悲しい。
しかし、人形のホラーといえば「チャイルド・プレイ」が有名ですけれども(他にも「パペットマスター」とか「ドールズ」とか、大好きなホラーはたくさんあるんだけど)、もともとかわいい人形のなかに、悪魔のような男の幽霊が入り込んでしまったことでその表情が醜く歪んでしまうというところにも独特の怖さがあります。
ただ、この人形はもともとが顔が怖いんですよね。
だから「こんな人形を買う方が悪い!」と思ってしまうのであります。