「セルラー」

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どうにもこうにも、電話×監禁映画というのは動きがなさそうだとか、話のテンポが悪そうとかいろいろ考えてしまうわけですが、個人的には見て大正解だった映画!
それが「セルラー」です。
2004年の映画「セルラー」。
キム・ベイシンガーが主演なのですが、やっぱり演技がうまいなあ。しかし、今だとこういう役はジュリアン・ムーアがやるイメージがあります。あと、キム・ベイシンガーはもっとギラギラ美人だったような気がするのですが、これって「L.A.コンフィデンシャル」で見たイメージがそのまま残っているのですかね。
もうひとつ、クリス・エヴァンスが出演している点も見逃せない。キャプテン・アメリカ役を演じていることもあまりにも有名ですが、「スノーピアサー」での好演も素晴らしかったなあ。この当時もクソイケメンである。今もクソイケメンだけど。
また、悪役でジェイソン・ステイタムが出ているというところも面白い。
というように、現在ブレイクしている俳優が共演しているのもみどころのひとつかも。

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あらすじ

見知らぬ男性の携帯へ繋がったSOSの電話を唯一の命綱に繰り広げられるサスペンス・スリラー。監禁された女性に迫り来る危機と、彼女からの電話を受けた青年が救出へ向け奔走する姿を緊迫感溢れるタッチで描く。監督は「デッドコースター」のデヴィッド・R・エリス。主演は「L.A.コンフィデンシャル」「8 Mile」のキム・ベイシンガー。

夫と息子の3人で幸せな毎日を送っていた高校の生物教師ジェシカ。だがそんなある日、いつものように息子を学校へ送り届け帰宅した彼女を、突然侵入してきた数人の男たちが乱暴に連れ去ってゆく。そのまま、どこかの家の屋根裏に監禁されるジェシカ。リーダー格の男イーサンは部屋にあった電話をハンマーで叩き壊すと、彼女を残し立ち去るのだった。男たちの正体も誘拐の目的も分からないジェシカだったが、いずれ確実に殺されると悟った彼女は理系の知識を活かして壊された電話のコードを接触させ、外への連絡を試みる。やがてそれは、ライアンという青年のケータイに繋がるのだが…。
http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=321510

ネタバレ

高校の生物教師、ジェシカ。彼女は突然家にいるところを拉致され、廃屋に監禁されます。理由がわからないまま、とりあえず壊れた電話を組み立てて通話を試みるのですが、ダイヤル部分も壊れているので、誰にかかっているのかはジェシカにもわからない状態。
ようやくつながったのが、ライアンです。

ライアンはチャラチャラ男で、別れた彼女に未練タラタラ。友人と一緒にビーチに繰り出しているのですが、彼女と再会してヨリを戻してくれるように頼みます。
でも、「あなた、子どもっぽすぎる」「責任感がない」とけんもほろろ。
しかしいいところを見せようと彼女の頼まれごとを聞いているところに、ジェシカから電話がかかってきます。
最初はジェシカの言うことを信用しないライアン。とりあえず携帯電話を警察に持っていきますが、忙しい警察は関わってくれません。
ただし、ここで最初に応対してくれたムーニー巡査部長はジェシカの名前をメモします。

「強盗殺人課」に向かうライアンですが、その途中でイーサン(ジェイソン・ステイタム)にボコられるジェシカの声を聞いて、本当の事件に巻き込まれたことを知るのです。
強盗殺人課に行こうとするも、電話が圏外になってしまう。ヤバイ!と、通報を諦めるライアン。それよりも、危機が迫るジェシカの息子の学校へ急ぎます!

なんと「リッキー・マーティン」という名前の息子(一応ギャグらしいです。もう知らない人もいるのかもしれんが、郷ひろみがカバーした大ヒット曲の歌手)を探しに学校へ。
でも一足先に息子はさらわれてしまい、ライアンは警備会社の車を盗んで追いかけることになります。

と、指示するジェシカと指示されるライアン、ジェシカの家族を次々捕えていく悪人たち。追いかけたり追いかけられたりのカーチェイスが楽しめるので、意外と爽快。

この後の展開
・ライアン、携帯の充電が切れそうになって充電器を強盗
(といっても、レジに割り込みしただけでお金はちゃんと払いました)
・通話中に音楽をガンガン鳴らしている車が横を通り、たまたまイーサンがジェシカの監禁部屋に入ってきて電話のことがバレかける。ライアン、ミュートにしてごまかす!

巡査部長のムーニーはジェシカのことが気がかりで、わざわざ彼女の家に行きます。
するとそこには知らない女性がいて……??この女性は誰なのか??

ちなみに、ライアンは電話が混線したうえ車が壊れたので、ムカつく弁護士おじさん(混線相手)のスポーツカーを盗んで走り出します。

今度は旦那を助けようとするライアン。
・空港でイーサンたちと遭遇するライアン。なんと、彼らが警察官だということを知りアセアセ
旦那を見つけて確保するも、人違い。ドジっ子ライアン★
・本当の旦那は連れ去られる

旦那と対面するジェシカ。ジェシカを守るために、旦那は銀行にあるものを預けていることを白状します。
そもそも、旦那はなぜこの悪人たちと関係をもったのか?
と、謎が増していきます。

銀行に行く旦那とイーサン。もちろん通話中なので、情報を得たライアンも先回りしています。
旦那は助けられなかったものの(とはいえ生きてます)、貸金庫に遭った荷物だけは持って逃げることができたライアン。しかし、携帯電話は壊れちゃいます。

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とりあえずカメラを再生するライアン。
するとそこには警察官たちの汚職場面が記録されていました。
旦那は不動産業で、物件紹介のビデオを撮影していたところにたまたま横で殺人事件が起こっちゃったということらしい(警官が内通していた麻薬の売人を殺していた)。
つまり、旦那は悪くなかったのでホッ。

やはり気になるムーニーはジェシカに電話したところ、さきほどの留守番電話の声と家にいた女の声が違うことに気が付き、ムムムとなって再訪。
するとこの謎の女(というか、本当は警官)が撃ってきて撃ちあいに!しかし、ムーニーさんも負けちゃいないので、この女警官を射殺します。

携帯が壊れてアワワとなるライアンですが、混線した携帯電話のことを思い出し、もう一度車を盗みにレッカー場へ。
そこで車と携帯電話をまとめて盗んで、ジェシカと連絡をとろうと頑張るのであります!

しかし、イーサンではない見張りの男に電話がバレ(親機のボタンが点灯したため)ボコられるジェシカ。冷静にこの男の腕の血管を切り裂き、大量出血させて逃げます。せ、生物教師ってすごいんだなあ……。

さて、呑気なムーニーさんですが、実はこの男の同僚の刑事(強盗殺人課)が黒幕なのであります。ライアンの顔を知っているのはムーニーだけなので、この黒幕はムーニーに協力を願い、何もしらない彼はOK。彼らもビーチへ向かいます。

ここでひとつ整理しておきたいのが、この時代はまだ携帯電話が珍しかったということと、サービスが今とはかなり違うということ。
だから、ライアンが自分のものではない携帯電話(車を盗んだイヤミ男のもの)を使い、なぜか自分の着信履歴を呼び出してイーサンに電話してきたのも、当時の携帯のシステムなのかもしれない。
(他の携帯からでも、自分の着信履歴のデータを請求できた??)
ただ、今見ると全然わかんねぇなコレ状態ですけど。ただ、そういうことになっているのでどうにもできない。

ビーチで待ち合わせして、問題の映像とジェシカ一家を交換しようとするライアン。しかし、敵もさるもので、ライアンをこっそり探しています。この時点では顔を隠して群衆に紛れているライアンが圧倒的に有利なのですが、残念なことに元カノに見つかって「私の頼んだもの持ってきてないじゃん!」とブチギレられているところをムーニーに見つかり、彼は確保されます。
元カノを巻き込まないために、彼女を知らないフリするライアン。ちょっとさびしそうな「えっ」という顔をする元カノ。このやりとりがカッコイイよなあ。彼はもう責任をとれないガキじゃない!というわけです。

捕まえられつつもまたまた逃げるライアン。しかし、意外と簡単に逃げられる悪党軍団であります。逃げられすぎじゃない?
しかし大事なデータの入ったテープはバラバラに!
一方、車のなかで見張りの運転手を手錠の鎖で絞殺しようとするジェシカ。この人、本当はCIAなんじゃないだろうか。たぶん夫はさらに拘束されているから手も足も出ないのでしょうが、全然役に立たない。子どもに「(ママのしていることを)見ちゃだめだ!」としか言いません。なんだこいつ。

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サーフボードで追っ手をボコボコにするも、ムキムキマッチョのイーサンに追い詰められて絶対絶命のライアン。
たしかにジェイソン・ステイタムに追いかけられたら絶体絶命感がハンパないですね。
ここで唐突にムーニーが登場し、ライアンを助けてくれます。撃ちあいの末、姿を隠したイーサンの携帯電話にライアンがコール。それでイーサンの位置がバレたのでカッコよく仕留めるムーニーさん!ジェシカ一家もライアンが助けます。奥さんはず~っと首絞めてたのですが、手下が逆襲しそうな雰囲気になったところ、ライアンが運転席の窓から撃破。一家は無事に助かります。

黒幕上司は「俺は関係ねぇ!」とわめいていましたが、ライアンが 「今の携帯電話は動画もとれるんだぜ」 と、映像を録画していたデータを見せて、黒幕はお縄に(死語)なります。

最後に
ジェシカ「私たちにできることはないかしら」
ライアン「ひとつだけあるよ。もう電話してこないで」
と言いながらハグする2人。シャレてるねぇ!

ということで、携帯電話の機能をこれでもかと使っているこの映画。なにより、生物教師はバラバラの電話も組み立てられて殺人術にも長けていてすごいということがわかりましたね。この頃の携帯電話のシステムがよくわからないので、あんまりピンと来ない場面もありましたが、それを差し引いても面白い映画です。なにより、ガラスをぶち破って侵入してくるジェイソン・ステイタムが一番怖いのである。