2015年のイギリス映画「ザ・シェフ 悪魔のレシピ」。カニバリズムをテーマにしているのかと思いきや、差別や不当な暴力などに苦しめられる主人公の姿を真っ向から描いています。人肉系の映画って、とにかく暗くて湿っていてメッセージ性が強いもの(「肉」など)とコメディ要素が強いもの(「地獄のモーテル」を入れていいのだろうか?あと、「モーガン・ブラザーズ」など)、とにかく美しく作り上げたもの(「カニバル」など)いろいろありますが、外れがあまりないのが嬉しい。もちろん実際にやったらダメですけどね!
ネタバレ
冒頭、監禁されている男がいる。
9「絶好調なヤツ」
サウス・コースト。入院した父に代わり、ケバブ屋をやりながら卒論を仕上げようとしているサラール。だが、ケバブ屋は予想以上に大変だった。クラブ帰りの客はガラが悪いし、ケンカもよく起こる。警察もまったく焼きに立たない。
2.7「学位なし」
父が退院するも、やはりケバブ屋はうまくいかない。チンピラが店に来て、無理やり入ろうとする。父がそれを追い出すが、揉みあいの末、父は死んでしまう。殺されたのに立件もできない。破産を勧められるサラール。
4.4「明暗」
相変わらず客に苦しめられるサラール。酔った客が勝手に厨房に入り、ポテトを揚げたことでまた喧嘩になる。喧嘩の末、油につっこむ客。ちょうど肉の搬入もなく、材料不足に悩んでいたサラールは脚を切り刻み、そのままケバブの材料にすることにする。客にケバブを出すも、すごく褒められるサラール。海に服を捨てに行く。
5.2「人間への借り」
殺した客、スコットは酔って溺死したことになっている。
論文締め切りまで、あと1日。
だが、店内で酔って喧嘩をしていた女性が、サラールのパソコンを壊してしまう(客のスペースに置いていたから)。店を追い出された女は、ガラス越しにマスター○ーションを見せつけ、その指をガラスになする。卒論が台無しになって怒る彼はこのシャンテルを拘束し、殺そうとするサラール。だが、彼氏のことで彼女と喧嘩していた友達が戻ってきて、彼女の携帯の着信音が店の奥から聞こえてくるのに気が付く。彼女も殺されてしまう。
6.9「7年経過」
卒業を諦めたサラールの店はファーストフードランキングで1位を獲得するほど人気店になっている。その一方で、失踪者も増えていることがわかる。殺人は続いており、サラールはアヒルの服を着たヤクの売人を殺してしまう。
7.1「ホテルの客」
店で暴れた男を追いかけ、外で殴り合いになるサラール。彼をしつこく追いかける。ホテルにおいかけるも、サラという女性スタッフと知り合いになる。彼女も優秀な女性で、サラのことが気になるサラールだが、この喧嘩を地元のチンピラに目撃されていた。
歴史ある教会がクラブになるというニュースが報道されている。
8「父親ゆずり」
殴り合いを目撃していたチンピラは、彼に興味をもってバイト先にやってくる。結局、彼を短気で雇うことにする。
9「絶好調なヤツ」
セントジェームズ教会をクラブにすることが決まり、ブラウンという実業家がそのプランを進めている。
サラがサラールの店にやってくるが、酔っ払いが暴れ、放尿したことでサラは帰ってしまう。
サラールは男を襲い、抱えて持ち帰る。それを見ているバイトくん。
サラールは彼が悪名高い「スラッシュ」(これもブラウンが経営している)の客だと気が付く。
「おめでとう、やっとここに来た」
男に酒を勧めるサラール。強い薬に酒を混ぜて飲ませる。
その日の朝、海で釣りをしているサラールだが、彼を殺さなかったようだ。
10「すぐに殺す」
捨てていた骨が発見されてしまうサラール。しかも、クラブが新しくできるせいで通りに防犯カメラが設置されることになる。
男はまだ生かされている。
ブラウンを殺すべきだと考えたサラールは彼をつけるが、彼は車の中で女性に口で奉仕させている。
アヒルの着ぐるみを着ていたヤクの売人になりすますため、わざわざその服を着て登場したさらーるだが、用心棒と殴り合いになり、戻ってくるしかない。だが、このいざこざをバイトくんやその友達に目撃される。
11「忙しい夜」
サラールが殺した3人の骨が発見され、特定されてしまう。
ブラウンは店に来て、ヤクの売人(サラールが殺害済)を探していること、店を飼いたいことを申し出る。サラールはそれを断り、ブラウンは目の前で挑発的にケバブを捨てていく。
こそこそ嗅ぎまわるバイトくんを解雇し、サラと食事をするサラール。
ずっと監禁していた男の父が死にそうだと知り、父の思い出を語られたサラールは彼を許して愛豊してしまう。男も「自業自得だった」と謝る。
12「勝つか負けるか」
男は逃げていき、バイトくんは地下室のドアをこじあける。
ブラウンのクラブの暗証番号をヤクの売人の携帯電話から入手したサラールは、侵入する。
地下室に戻ってきた彼に、バイトくんは自分もこれを手伝いたいと申し出る。だが、サラールはそれを断り「もう終わりだ!」と叫ぶ。
13「新年の幕開け」
用心棒に殴りこまれるサラール。それはバイトくんとその友達が密告したからだった。
ブラウンに監禁されるサラール。ブラウンは嫉妬で彼がこんなことをしたと思い込んでおり、それを告げられたサラールは大笑いする。見張りが姿を消したタイミングで、ブラウンを醜いと煽るサラール。
彼はブラウンに刺されてしまう。
その後、クラブで薬が流通していたこと、ブラウンがスキャンダルで逮捕されたことが報道される。これはサラールが侵入して撮影した画像、アヒルコスプレで彼と接触した時に撮影した卑猥な映像がきっかけだった。
サラールはクラブに入ろうとするが喧嘩になる。
刺されていたナイフを抜いて呆然とするサラールだが、彼は自分が殺した男の幻影を見る。そして、道端でサラールはうずくまり、倒れる。
感想
・エピソード毎に数字がつくのですが、この数字が何なのかよくわからない。日にちなのかな?
・人肉ケバブを食べさせて復讐する話かと思いきや、めくるめく不幸エピが悲しすぎる。しかも移民のサラールは常に差別され、からかわれ、不当な扱いを受け続けています。
・最初はしっかりカニバリズムが描かれますが、人肉ケバブを本当に、どこまで、誰に売っていたのかは描かれません。そこまで連続して殺していないようです。
・ブラウンに復讐する方法がオシャレですよね。ホラー映画なのに。