「フリーキッチン」

フリーキッチン

2013年の邦画「フリーキッチン」。原作は福満しげゆきさんの「娘味」です。昔『ガロ』で連載されていた時にリアルタイムで読んだ思い出。
人肉を息子に食べさせる母の話です。不倫や愛人が絡んでくるので、その点は映像で見るとやや生臭いのですが、ホラーコメディというよりはホラーファンタジーに近い印象であります。

あらすじ

カルト的人気を誇る漫画家・福満しげゆきがカニバリズムをテーマに描いた初期短編『娘味』を実写映画化した異色のブラック・コメディ。中村研太郎監督が2000年に手がけた短編を自ら劇場長編映画としてリメイク。母がどこかから調達してくる人肉を食べさせられ続けた結果、食べただけで性別や素性を当てられるようになった青年の運命を描く。
http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=354123

ネタバレ

オーブンの中でミートローフがまわる(どうでもいいですが、最近のオーブンレンジはクルクルしないらしいですね)。母が用意した食事を食べる息子・ミツオ。それは人肉料理だ。彼はそのせいで、食べるとその肉の体格や年齢、性別がわかるという特技を持ってしまった。
いじめられっ子の息子のために、風呂場にイチゴを運ぶ母(なぜ風呂場に運んだかはわからないが、絶妙に気持ち悪い行動である)である。

タジン鍋の日には、モロッコ人の肉が使われている。

ミツオの父とその愛人が、最初の「肉」だった。父は横暴で、母を抑圧していた。しかも愛人を連れて帰ってきて、その若さを見せびらかす。父の命令で、愛人に料理を教えることになった母。

母はそれ以来、いろんな人を殺している。訪問販売の人間も上手に連れ込んで殺す。

ミツオはペットショップで、カメを眺めていたのをきっかけに店員の女性と仲良くなる。

歯医者の母は、オネエの患者を診ている。患者もまた、彼女のターゲットである。

女の子の店員とどんどん仲良くなるミツオ。

食欲がないミツオのために、風呂場にシチューを持ってくる母。「いじめられてるの?」とずばり聞かれる。

ペットショップの店員とデートをするミツオ。
「どんな味がするんだろう……?」
店員を「肉」として見ていた彼は、すぐさま後悔する。母は息子をいじめている少年とコンタクトをとる。

人肉料理に抵抗を持つようになるミツオ。その一方で母の行動はエスカレートしていき、いじめっ子をバラバラにしている。

ミツオは管理人の男に、母の所業をカミングアウトしてしまう。
彼は自分の心の中に人肉を食べたい気持ちがあることを自覚する。

ミツオは母に交際がバレてしまい、母は彼女を殺そうとする。
だが、彼女が反撃したことで、ミツオは何かに目覚め、彼女を殺そうとする母親を殺す。母の背中を交互に刺すミツオと彼女。

彼女は料理を作る。ミツオの母の肉を使って。
「うちのママはあっち行ってなさいって言ってたけど、実はこっそり見てたんだ。私」
彼女はカラアゲを出し、ミツオの誕生日をお祝いする(実は彼の誕生日だったのです)。
「それはまさに、僕のおふくろの味でした」

彼女は家に帰宅すると、そこには彼女の母が待っている。彼女の母は、以前財布を拾ってくれたミツオの母に言い寄り、家に連れ込もうとしていた(ミツオ母は警戒して断った)親切な女性だった。
夕食を食べてきたという母に、「今日は脂がのった男の生姜焼きだったのに」と残念がる母。