ゲームみがあるホラー映画って好きなんです。なんかエモい。揺さぶられる。
そんな私と同じ趣味の方におすすめ！
2022年の邦画『きさらぎ駅』を見ました。まぁまぁ低予算のニオイも感じさせつつ、それでもこんなに面白くなるのかぁという衝撃。映画ならではの映像演出もさることながら、脚本も好きです。
2ちゃんねる発祥（なのかもそもそもわからないが、掲示板の書き込みをもとに映画化したと冒頭に説明が入る）のホラー映画には飽き飽きしていましたが、いやはや、面白いのよ。
女優陣のキャスティングもよい。主演の恒松祐里は善人を装いながらも暴走し、自分かわいさに転落していくさまが見事だし、本田望結と佐藤江梨子がまたイイんですね。本田さんに関してはノーマークだったんですが（子役の頃の演技はもちろん知ってるけど）、予告編で「あれっ、いいな」と思いレンタル。結果、その直感は間違っておらず。サトエリはもちろん、こういう役やらせたらそりゃあ誰も勝てないよ！優勝！！としか言えない。
映画の構成がまず面白い。
前半は民俗学を学ぶ女子大生が、都市伝説「きさらぎ駅」に実際に行ったことがある女性の話を取材。
そして後半は、その女性がきさらぎ駅に迷い込んで…？という衝撃の展開。
面白いのが、タイムループ要素があるんですね。同じところから奇異な現象が始まり、攻略するためにいろいろやり方を変えてみるが…？ と、展開を知っているからこそのドキドキがたまらん。
登場人物についてですが、春奈が主人公。そして、きさらぎ駅の怪異に取り込まれてしまったのが6人。
女子高生の明日香、粗暴な青年・翔太、その彼女・美紀、翔太の子分のような存在・大輔、サラリーマンの花村、明日香の通う女子高の教師・葉山。葉山がただひとりの生存者として、春奈のインタビューに答えます。
取材中、葉山の口から語られるストーリーは彼女の主観で進行。奇怪なきさらぎ駅にいる間は、色味が青緑っぽくなっているのもユニーク。この視点も色味もゲームっぽくてエモいんですよ。ノベルゲーっぽいんですよね。チュンソフトっぽい。
以下、葉山の語った話を転載。
- ある条件を満たすと（いくつかの指定の電車を乗り継ぐ必要がある）、きさらぎ駅に行くことができる。
- 到着すると、1人ずつ襲われる。血液が浮き上がり、爆発するように死亡。最初の犠牲者は大輔。目が増えて死亡するなど、まぁ禍々しい。
- 線路沿いに逃げると、祭囃子が聞こえてくる。逃走中に花村の頭蓋骨が爆発して脱落。
- 「線路に入ったら危ないよ」おじさんが追いかけてくる。美紀が炎上して脱落。
- 明日香、葉山は助け合いながら逃げるが、翔太は2人を犠牲にしようと襲ってくる。なんとかトンネルにつき明日香を逃がそうとする葉山だが、翔太は彼女を殺そうとする。しかし、次の瞬間、停電で翔太は姿を消し、なぜが天井に張り付き状態になりプランプランして脱落。
- トンネルを抜けると、車に乗っていた男性が助けてくれる。しかし、それも罠であり、神社に逃げ込む明日香と葉山。
- 脱落した者たちが追いつき、彼女らを追い詰めるなか、透明な扉が現れる。明日香を先に行かせる葉山だが、次の瞬間気絶（というよりも彼女の頭が破裂？）してしまい、気が付いたら元の世界に戻っていた。何年もの月日が経過していた。明日香は失踪したままである。
という感じ。で、実際に春奈は同じように電車を辿り、きさらぎ駅に辿り着き…
しかし、目の前に現れたのはまだ襲われていない明日香たち5人。自分が葉山の立場になったことに気付いた春奈は、明日香を現世に返すために奔走することに…！
- まず、大輔ではなく翔太を最初の犠牲者にすることに成功（まあしようと思ってしたんじゃないようだが）
- 翔太の持っていた武器（ナイフ）を所持する春奈
- 線路上で死ぬはずだった花村と美紀を生存ルートへ導く（翔太の幽霊をおいかけてくるじじいにブン投げたのは強すぎると思った）
- トンネルも無事通過
- 通りかかった車の男を先に攻撃、車を奪って神社へ
- しかし！ここから展開が変わっていきます。
- 車の男が再度攻撃してきたため、花村が社内で脱落。
- 新スポット・謎の廃墟に到着し、大輔と美紀がすぐに襲われて脱落。なぜか壁をヌルンヌルンすり抜けてくる幽霊花村と車の男（真顔のおじさんが壁を透過してくるさまがあまりにシュールで笑ってしまった）。
- 脱出の鍵となる光る扉を見つけた明日香と春奈。「先に扉を通ったほう→世界に取り残される、扉を通らなかったほう→元の世界に戻る」というルールを思い出し、自分が先に通ってみせようとする春奈だが、やはり明日香を先に行かせることにする（自分が生き残りたいから）。
- しかし、明日香が扉に飛び込むと光は消えてしまい、春奈はきさらぎ駅に取り残されてしまう。彼女を見つめるのは、めちゃくちゃ大きな赤い眼球であった…（すごい充血してんなぁと思ってしまう）。
すべては葉山の仕組んだ罠であった。明日香をもとの世界に戻すために、身代わりとして春奈を選び、わざと違う情報を与えた（本当は優しい明日香がケガをしている葉山に先に扉をくぐらせたため、葉山だけが生存できた。たしかに、扉を通らなかったほうが生存ってルールわかりにくいもんね。）のだ。葉山はニンマリしながらきさらぎ駅の資料を処分し始める…
みたいな話でした。
たまにまた見たくなりそうな映画でありました。