美女を脅かす殺人鬼の正体はまさかの…裏切りがお見事すぎる『ベター・ウォッチ・アウト クリスマスの侵略者』

ベターウォッチアウト

2016年の『ベター・ウォッチ・アウト クリスマスの侵略者』を見ました。アメリカ/オーストラリア映画。

主演のオリヴィア・デヨングは子役出身で、『ヴィジット』に出演していた姉妹の片割れ。あっ、〇〇〇を顔になすりつけられた子だっけ…??

タイトルから侵略…ってことはSF映画??それとも…犯罪者が入ってきて逃げ惑うような展開…??

とか思うじゃない?でもR+15なんですよこの映画。

かわいいけれど恋に悩むベビーシッター・アシュリーに、彼女に恋する12歳の少年・ルーク。「君のことは僕が守る!」とガンバル少年。

でも

実はすべて

少年の計画だった…

という恐ろしい展開。

ルークは友達のギャレットに協力してもらい、彼女の気を引くために強盗をでっち上げたのです。しかも、彼女の恋人、さらには元カレまで呼び出して全員血祭りにあげようと画策(恋人はペンキ缶を頭蓋骨に落とし、元カレは自殺に見せかけて首を吊り上げて殺害)。その暴走ぶりに引いてアシュリーを助けようとしたギャレットも殺してしまい、最後にはアシュリーまで手にかけ、自分は「何も知らないかわいそうな少年」を装うのですが…!?

途中まではアシュリーに肩入れして見ているのですが、ルークの正体がバレて証拠隠滅をひたすら行うシーンではけっこうハラハラ。

ラスト。ルークの思い通りになりそうだったけれど、アシュリーの粘り勝ち(自分で止血していた)で生存ルート確定というところで、「ガーン」みたいな顔するルークがマジで怖い。

このような「子供がサイコパス殺人鬼で主人公(およびその一家)を翻弄する」という映画は、マコーレー・カルキン主演『危険な遊び』が非常に印象深いですが、その後も『エスター』のスマッシュヒット(まぁエスターは厳密にはこの分類には当てはまらないのだが)に伴い、2010年前後にもチラホラ見られましたね。

ただ、この手の映画で描かれるのは「ステップファミリー」(家族の絆・無償の母の愛)がほとんどであり、少年が恋心(というよりほぼ性的欲求)から殺人に走る映画ってなかったかも。12歳の男の子がニヤニヤとお胸を揉んだり、下品な話に興じたりするのは非常に生々しい。演じるリーヴァイ・ミラーは『PAN』でピーターパン演じていた子です。演技のふり幅すごいな。

あ、でも『ハードキャンディ』はロリコンをごりごりに罰する少女の話だから前例がないわけではないか。これも少し特殊ですが。

面白かったよ。アシュリーの彼氏、めちゃくちゃいい奴なんだよ。でもルークの冒頭の会話のシーンで印象操作され、当初はすごく粗暴で嫌な奴かと思わせられていた。こういう細かい裏切りが詰まっているのもいいなぁ。