まるで格闘技を観戦しているような爽快ラストシーン。ホラーなのに。『クライモリ』(2021年版)

クライモリ2021

2021年版の『クライモリ』をみました。アメリカ/ドイツ/カナダ/イギリス製作。なんだこのグローバル感。

『クライモリ』。原作はよくある「大学生が旅行中に遭難して、現地のオカシイ家族に襲われる」という内容でしたが、私は以下の点ですき。

  • オカシイ家族のビジュアルがキツすぎる
  • 絶妙なスプラッター感
  • ホラー映画の肝である「なんで私がこんな目に遭わないといけないの」のさじ加減が絶妙

そう、ちょっとケレン味あるんだけど、ちょうどいい俗っぽさっていう感じ。嫌だあこんな目に遭いたくないよ~ヤダヤダ~という胸糞悪い系映画としてはかなりポイント高いんじゃないか。

しかし、続編が続くにつれ「アホな学生がアホな殺され方をする」映画となり、さらには「怖いんだか怖くないんだかもよくわからないダラダラドライブ映画」になり…

今更リメイクしてどうするんだ?と思いましたが、なかなかに予想外の展開もあり、予想外のラストが待ち受けており、うん、わりと後味悪い。胸糞も悪い。

それだけで「クライモリ」を冠している映画としてはよいのではないか。なんか、ムチャクチャなところもちょっと愛しいぞ。ただ、冷静になって考えればオリジナルとは別物だとも思う。

登場人物。

ジェン:就職に悩む学生。口がうまい。グループのなかではまともなほう。

ダリウス:環境問題系のNPOで働くジェンの恋人。わりと意識高い系。

ミア:ジェンの友達の医者。

アダム:このグループの諸悪の根源。アプリ開発をしているらしいが、わりと身勝手でワガママである。

ルイスとゲイリー:ゲイカップル。飲食店を経営している。ラブラブ。

ストーリー。

冒頭から娘のジェンを探すスコットの話から始まります。娘が失踪したのに警察は無能、田舎の人たちは不親切…

ということで話が巻き戻り、ジェンたちの話。

山登り&キャンプを楽しむ彼らですが、「ルートを外れるな」という忠告を無視して山に入り、突然転がり落ちてきた丸太に圧し潰されてゲイリーが脱落。

さらに次の日の朝にはミラが消えており、アダムも罠にはまって鎖が足に装着、そのまま引きずられて消えてしまいます。

ジェンとダリウス、ルイスは動物の骨の仮面をかぶった謎の人物たちに豚の丸焼きポーズで拉致されているアダムを発見・助けるも、謎の男を1人殺してしまいます。

しかしそこにまったり出てくるミア。彼女はトイレに行っていただけだった!つまり、勘違いで人殺しをしてしまったのです。

下山して逃げようとするも、まずルイスが捕まり、ミアは罠で死亡。アダムも主人公カップルも捕まってしまいます。

森の奥にある謎のコミュニティで裁判を受けることになった主人公たち。彼らの田舎での差別的な言動、蛮行(おっさんに酒瓶投げたレベルではあるが)、さらには人殺しの罪についても審議され、反抗したアダムはボッコボコのボコボコにされます。

彼らは闇の刑に処されることに。それは目を焼かれ、地下トンネルを永遠に彷徨うという刑。ルイスは処刑されますが、ここでジェスは自分たちを助けるとこんなにメリットがあるとプレゼン。それを受け入れてもらえます。そしてダリウスは環境保全の技術を、ジェンはその体を差し出すことに…

若くて美しい彼女は、グループのボスの嫁にさせられます。

で、話は現在に。娘を探すパパを気の毒に思ったホステルの女性オーナーが、親族の猟師を紹介してくれます。彼らの手引きで娘を目指すも、あっさりと罠で死んじゃう猟師と、サッと回避できるパパ(わりとご高齢なのに非常に敏捷である。今は建築系の仕事しているらしいけど、もしかして元軍人??)。

回避はできても捕まり、ようやく見つけた娘には射られ、翌朝処刑されることになるパパ。ですが、ジェンは父を助けるために演技していただけで、親子で逃げようと奮闘。しかしダリウスは「俺はここに生きる場所を見つけた!」とかアホーなことを言い出すので、おいていくことに。

地下トンネルから逃げる親子ですが、そこにはもそもそ食事中のルイスが…! 慈悲を与えるジェン。さらに追っ手もたくさんやってくるわ、狂ったアダムに遭遇して殺害&強〇されそうになるわで大変なのですが、親子はなんなく生き抜きます。

さらに、もう黙っていられない!と立ち上がった町の人たちに助けられて脱出に成功…

と思いきや…

お前は戻ってくる… みたいなことをグループのボスが言っていたので、「街じゃ刺激がなくて物足りないわ」「私は森に生きる!」と自主的に戻るのかと思うじゃん…?

普通に家に遊びに来るのよね。家に入ったらボスのジョン、いるのよね。若い嫁に執着おじさん…

一度は妄想シーン(いうことをきかないせいで義理母や弟を皆殺しにされる)を挟むのですが、そもそもジェンは妊娠している!???という衝撃もあります。いや、跡取り他にもいるやろ…

家族に手を出さないことを条件に帰りの車に乗るジェンですが、エンドロールでは車が突然事故り、車から逃げる人たちをジェンが皆殺しにしてコミュニティ唯一の良心・少女のルーシーと手をつないで血まみれ帰宅、というシーンで終わります。

このラストがいいよね。「いいぞ!やったれ!許す!ぶん殴れ!」と怒鳴りたいもん。横で。

ただ、ジェンも山奥のコミュニティの人たちも、洋服があるのに普段は毛皮を着ているのがなんだかジワった。いや、本当にそうやって暮らしている人たちについては何とも思いませんけど「山で暮らしているんだから毛皮着せないとネ」という製作陣による強制コスプレっていうのがなんとも…