姿を変えて家族を仲違いさせる悪魔との攻防戦『メタモルフォーゼ/変身』

メタモルフォーゼ

2019年の韓国映画『メタモルフォーゼ/変身』を見ました。韓国でも最近増えてきたような?悪魔祓いがテーマの話です。

主人公の神父の役を演じているのはペ・ソンウ。顔立ちが独特でちょっと気になる役者さんです。

悪魔の特性として「変身して人を惑わす」というものがありますが、この映画では家族に変身して暴力や暴言でその仲をかき乱し、命を奪おうとしてくる悪魔とある一家の対決を描いています。

主人公のジュンスは悪魔祓いの途中で若い女の子を死なせてしまった牧師。彼は悪魔に恨まれ、その兄一家が危険にさらされます。エリートっぽい父、優しい母、家族思いで物静かな姉・ソヌ、毒舌家でサバサバしている妹・ヒョンジュ、かわいい弟・ウジョンの5人はおじさんの不祥事(悪魔祓いの途中で投身自殺された)のせいで、競売物件へ引っ越してきます。

しかし隣人は明らかにおかしく、身の回りでは変なことが起き続けます。

ネコの死体がぶら下げられていたり、妹が倒れたり、騒音を出す隣人の家の中は動物の死骸でいっぱいだったり…

そして、家族はそれぞれ家族の姿を借りた悪魔に脅されます。なので一家は、海外に行こうとしていたジュンスに助けを求めることになります。

気になるのが悪魔を呼び込みやすい人についての説明。怒りを持つ人は悪魔につけこまれやすいという説は興味深い。悲しみとか、虚しさとかじゃないんですね。怒りの感情こそが悪魔を招き入れ、その感情を増幅させてその本人を破滅させる。そして悪魔がその器すらくいものにする。

怒りって人を破滅させる、という考えはなんだか妙に納得してしまう。

本筋に戻りますと、おかしな隣人は存在しておらず、隣の家は空き家で遺体のみ転がっています。ムカデがはいつくばり、ネズミに食われるドロドロの遺体。いやいや、ネズミでも腐食してヘドロになった遺体は食わないと思うんだが。え、食うのか!?

ジュンスは自分の上司(よくわからないけどえらいひと)に電話をして助けを求めることに。そして、悪魔がソヌに姿を変えて家族に紛れ込んでいると指摘します。空港にえらいひとを迎えに行くジュンス。一方、父は弟のアドバイスに従い、ソヌを見張ります。

ここからはひたすら悪魔との対決なのですが、えらいひとごとジュンスは交通事故に遭い、その間に妹のヒョンジュが地下室にあった炉?の中に引きずり込まれてこんがり焼かれる羽目に… 地下に焼却炉?暖炉?みたいなものがある物件、怖いですね。子供が入って事故になりそう。

で、戻ってきたおじさんはソヌを悪魔祓いしようとビッシビシ叩くのですが、実はこのおじさんこそ偽物で、本物が走って戻ってきます。最終的に、自分に悪魔を乗り移らせて兄に殺させるジュンス。ぼろぼろのソヌ、泣きじゃくるウジョン、喧嘩で父に頭を割られた母、そしてやはりぼろぼろの父はようやく安堵…

いや、妹こんがり焼けているんですけど… (主人公は十字架で胸を刺されているし) なんなら、この炉がアンパンマンのパン工場にある窯に見えてくるわ。ちょっと似ている。

実はヒョンジュは、冒頭の死んだ女の子を「私はあんな死に方はしたい」と鼻で笑っていたのですね。そのせいで天罰が下ったのだろうか。

しかし、常々こういうテイストの映画で海外からえらいひとがくる時、叶姉妹が連れているグッドルッキングガイみたいな外見の部下(日本ならギリギリ稲川素子事務所所属っぽい)を連れてくるのはアジア共通なんですね。