「誕生日が同じ」にそこまで運命感じるか?謎すぎる因縁ミステリー『ザ・メッセージ』

ザ・メッセージ

2018年のアメリカ映画『ザ・メッセージ』を見ました。なんという埋もれやすそうなタイトル… そしてDVDのジャケットもなんともいえない感じ… 女優さん美人なんですけどね。

主人公を演じるのはディズニーチャンネルの某番組でブレイクしたベラ・ゾーン。高校生に見えないほど大人っぽいですね。

わりとユニークな設定だと感じたのは、幽霊と人間が共存している世界観。幽霊というよりも、生きていた当時の姿がそのまま残像のように残っているので、映画内では残存者と呼ばれています。このゴロの悪さ。ざんぞんしゃ、って言いにくいですね。

主人公のロニーは父親を事故で失い、母とはギクシャクしながら高校生活をやり過ごしています。しかし、彼女は突然現れた謎の残存者(本来は意思もなく、喋ることもできない)に「逃げろ」と言われ…!?

残存者に詳しいという転校生・カークの協力を借り、メッセージをよこした残存者について調べ始めるロニー。突然「ブライアン」と名前が頭に浮かんだ… というシーンでは、もしかして記憶操作をされているのでは?と勘繰ったのですが、そんなことはありませんでした。

冒頭だけ見るとオカルトっぽいけど、これはミステリーです。謎解き要素が多少あります。しかしそれ以前に「この怪しくなさ、逆に怪しすぎる」というキャラクターがウロチョロするので、謎を解くまでもありません。

そもそも、若い女性の連続殺人事件が続いているこの土地。ロニーにメッセージをよこしたブライアンこそ連続殺人犯!彼の言葉は脅しのメッセージだ!と思い込んでしまうロニーとカークですが、カーク自身も謎の多い転校生として怪しげに描かれています(彼に注意した校長が殺されたり)。

しかし、なぜか残存者が協力してくれるような素振りを見せ(ロニーの父も残存者ですが、彼の持っている新聞にヒントが写し出される)、なんだかんだで残存者が大量発生する原因となった爆心地に向かうことになったロニーとカーク。

そこは立ち入り禁止ながら、絵に描いたようなならず者たちがうろつくスポットでもありました。このあたりのシーンの残存者たちのビジュアルはとてもかっこいい。女性が人魚のように空中を泳いでいたり、廃墟のなかでバレエを踊っていたり…

そして爆心地の研究所で諸悪の根源である実験をしていたスタイナー博士からブライアンの情報を聞き出したロニー。彼女自身が狙われているのは、犠牲になったブライアンの恋人と誕生日が一緒だから。要は誕生日が同じ(そしておそらく性別も同じ)人を利用すれば、死んだはずの人をこの世に戻せるみたいな理論が存在するのですね。めちゃくちゃですけど。誕生日が同じだけで何がつながるの…??

スタイナー博士は結局自殺し、学校に戻ったロニーとカーク。しかしカークが拳銃の不法所持で逮捕され、ロニーが頼れるのは親切なビットナー先生のみに…

大方の予想通り、このイケオジ先生・ビットナーが連続殺人犯であり、彼は娘を取り戻すために少女たちを手にかけていたのでありました。そして同時に、スタイナー博士やブライアンと同じチームにいた研究者でもあったのです。そんな経歴で高校教師になるもんかね…?? そして彼の娘もロニーと同じ誕生日だったんですね。すごい偶然だ。

と、ここら辺のなりゆきに困惑することしきりなのですが、カークはビットナーによって地中に埋められ、ロニーは湖に落とされ… ともう絶体絶命に。

ここからのシーンがとても素敵でした。今まで登場したキーパーソンの残存者たちが意思を持ち、2人を助けてくれるのです。カークは自分の父親である残存者(冒頭でちょこっと出てきたものの、ここでカークの父親と判明)に助けられ、ロニーも父親やブライアン、他の被害者たちに助けられるのであります。

最終的に助かったロニーは明るく元気になり、カークともラブラブ。しかしビットナーは残存者として残り続け… というちょっと不吉な感じのラストでした。

ハッピーエンドだし、ビジュアル強いし、わかりやすいストーリーではあるし(若者が家族の死を乗り越えて強く生きるというのがテーマだと思う)、怖すぎないし、ディズニー配給だと言われても信じるレベル。下品なシーンも残虐なシーンもないしね。

ただ誕生日の件にマジで納得いかないわ。わたしジャイアント馬場と同じ誕生日だし。