深い森の中、謎のキューブに入って義手の美少女は時間を巻き戻す『黒い箱のアリス』

黒い箱のアリス

2017年の『黒い箱のアリス』を見ました。スペイン映画。

いやぁ、いい映画でした。SFの要素ありつつ、ラストに余韻が感じられるのが素敵。舞台となるのが山中で雰囲気のある素敵なお屋敷なのもいいし、出てくる人たち全員がどことなく不気味なのもいいな。主人公の女の子(子役にしても大人びていてスタイルがよすぎる)もすばらしかった。

義手をつけ、森の奥で父親と暮らす少女。その前に現れた奇妙な姉弟と、謎の立方体…

いわゆるタイムリープの設定も隠されているため、少しずつストーリーが歪んでいくような感じもたまらない。

登場人物は、まず主人公のアリス。右腕が義手なのですが、お話が進むにつれておそらく交通事故に家族で遭い、母親と腕を失ったんだろうなということがわかります。父親のアダムは何をしている人なんだかよくわからない。とりあえず大金持ちっぽい。で、この親子が飼っている犬が「ママ」。娘がママ恋しさにそう名付けたのでしょうが、自動翻訳機が首についているので会話をすることができます。えっ、犬かしこすぎない?人間の言葉をパーフェクトに理解してるけど…

そして謎の姉弟、エリカとポール。全然年齢がわからないけど、姉に恋人がいるから…16~7くらいか??ポールくんは東京リベンジャーズのマイキーみたいな髪型してますけど、イケメンで繊細そう。で、ポールのことがちょっと気になるアリスであります。

ストーリーはこんな感じ。

1 キューブ

義手をつけてリハビリ中のアリス。黒い箱がアリスの前に現れ「彼らを信用するな」とメッセージを残す。しかし、その筆跡はアリスと同じものであった。

2 見知らぬ姉弟

突然現れたエリカとポール。姉が恋人に乱暴されて逃げてきたという二人。ポールに恋心を抱くが、父になれなれしいエリカの態度にはめちゃくちゃ嫌悪感を抱くアリスであった。

3 聞こえてくる声

孤独なアリスに話しかけてくるキューブ。キューブは音声で話しかけてきて、姉弟を殺すように命令する。しかし、ポールにキスされて実行できないアリス。その夜、エリカの手引きで侵入した男に父とママ(犬)を殺されてしまう。

4 長い旅

翌朝、キューブに導かれて中に入ると姉弟が来る前の時間に戻ることができたアリス。彼女は侵入者の男がエリカをわざとボコり、傷付けているところを目撃して撮影する(ポールはこの間、顔を隠して嫌そうにしている)。そして今度こそ自分がポールを殺すが、反対にエリカに刺されてしまう。展開に驚くアダム。すると、もうひとりのアリスが出てきて父にすべてを伝える。

5 3本のシリンダー

父が殺される夜。犯人を待ち受けている父だが、その男はアリスが母を失った交通事故で両親を失った青年であった。だが、アリスは彼がすべてを言い終わる前に殺してしまう。

だが、これでいいわけがないと気付いた親子は事故の前まで時間を巻き戻すことを決める。アリスは車のキーを盗んで捨てるためにキューブに入る。

というところで終わりなんですね。つまり、青年は復讐のために姉弟を利用しただけ(ポールなんて相手を油断させるために利用されただけっぽい)。

アリスの義手の訓練シーンが執拗に描かれていたのは、ちゃんと手を動かせないと鍵が捨てられない=未来が変えられないから、ということ。でも未来が変わった瞬間、彼女はどうなるのか?腕は??母親は?そしてキューブはどうなるの?と、パラレルワールドに思いを馳せると止まらなくなりますね。

また、エリカのおっさんをたぶらかすようなシーンが、楳図かずお先生の『洗礼』を思い出してねぇ… わたしは雰囲気も含め好きな映画でした。犬のママもかわいかった。