湿度の高さが恐怖を高める!深夜の高校で真実が解かれたら何が起こる?『返校 言葉が消えた日』

返校

台湾の映画『返校 言葉が消えた日』を見ました。2019年。

すごく気になっていた。原作のホラーゲームは未プレイですが、雰囲気があって怖いというのは知っていたので期待大です。戒厳令下の昔の台湾を舞台に「自由に本を読みたい」と願った少年少女たちの行く末、さらに彼らを見守っていた優等生ファン・レイシンを中心に物語は描かれます。

主人公のファン・レイシンは両親の不和に心を痛め、生徒指導のチャン先生に恋する女子高生。チャン先生も彼女のことを大切に思っているのですが…?

そして、もうひとりの主人公がウェイ・ジョンティン。当時読むことを禁止されていた本を「読書会」を開いて閲覧していたのですが、そのことが密告されて…?

この2人が気が付いたら、夜の学校の中で目を覚まします。どうして?他の人たちはどうしたの?少しずつ明らかになる真実。そして怪異が2人を襲い…!?

という感じのストーリーですね。まず、ビジュアルが素晴らしい。主人公たちを追いかけてくるランタンを持った巨大な男?が、もうめっちゃくちゃ怖い。六尺様ぐらいでかそう。

また、たまに幻覚として登場する人たちも怖い。闇の使い方がすごくうまいんですよね。

そもそも、ウェイ・ジョンティンの参加していた読書会を密告したのは誰だったのか?ちょっと頼りない友達ションジェが自分たちを売ったのか?

悩むウェイですが、ある部屋のなかで待ち受けている読書会のメンバー。照明が揺れるたびに人が消え、代わりに壁に写真が増えていきます(=遺影。つまり、死を意図している)。そして彼らが告発したのは… ファン・レイシンが裏切り者だということ!ウェイはファンのことがほんのり気になっていたようで、それだけにショック!

しかし、ファンが密告したのにも理由がありました。

まず、連行された父を解放してもらうため(父親も暴力的だが、母も狂うほど父を憎んでいて、どちらが正常なのかわからない)。そして、読書会のメンバーのひとりであったイン先生(チャン先生の同僚)がファンとチャン先生の仲を見咎めていたのです。

イン先生が読書会のリーダーだと告発すれば彼女は消えるし、父親も戻るし一石二鳥だわ!と思ったファンですが、もちろんチャン先生も逮捕されてしまい、彼女のしたことは最悪の結果を招くことに。しかも、自分に好意を持つウェイを利用して禁則本を貸してもらい、証拠として提出していたのです。

もちろんそのまま生活できるわけもなく、たくさんの同級生まで巻き込んだファンは自分を責めて責めて責めまくり、最後は生徒たちの前で罪を告白して首を吊って自殺した… という、壮絶な話でした。

つまりファンは既に死んでおり、ウェイはかろうじてまだ生きている(拷問の途中で気絶している)という状態。高校から彼だけを脱出させたファンは、自分だけが高校に残ると告げ、ウェイは生きるためにすべてを白状します。「生きて覚えていて」というファンの言葉を守るために…

そして年をとったウェイ。彼は高校を訪れ、チャン先生の遺品を女子高生の姿のままのファンに渡します。「来世では縁がありますように」というようなチャン先生の遺言を見て、嬉しそうにするファン…

という、ミステリー要素の強い(謎解きゲームだから)映画でした。

三角関係のせいで密告されたとは意外でしたが、好きなシーンはいくつもあります。

延々とランタン男に追いかけられるシーンや、用務員のおじさんが襲われている時に隠れているシーン。そして、ファンが自分の幻覚を見ているシーン。読書会のメンバーが揺れる照明とともに消えていくシーン。

雨が降る夜中の高校が舞台というのもいい。湿度が高いのってホラー度高まりますよね。キャピキャピしていないのも好みでした。夜の高校が舞台だと、邦画ホラーの場合にはおとなしい主人公(ヒロイン)、彼女に恋するイケメン高校生、横恋慕する恋のライバル、ギャル、明るいバカ男、マジメな学級委員長がギャンギャン騒ぎながら襲われるじゃないですか。ただ襲われることが目的なのではなく、物語の軸がきちんとあると見やすいですね。

すごく考えさせられる力を持つ映画であると同時に、フツーに怖いです。

ちなみにネットフリックスにも同タイトルのドラマがありますけど、同じゲーム原作?調べてすらいない。ネトフリ、韓国系のホラードラマが多すぎて追い切れていません!

こちとら「フィアー・ザ・ウォーキング・デッド」すら追えてないんだよ!あのシリーズ主人公の主婦、むちゃくちゃだから気持ちが落ち着いている時に見たいわ。