アクの強すぎる殺人ソファを巡るドタバタホラーコメディ『キラーソファ』

キラーソファ

2019年のニュージーランド映画『キラーソファ』を見ました。前半はコントみたいに楽しんでいたのですが、後半はオカルト色が濃ゆ~くなってもたれてきました。わりと説明セリフが多いので、見る時には集中してみるべし。

ストーリーはそのまんま、人を襲うソファの話。といっても、ある美女に執着しており、その美女に近付く男にしか攻撃してきません。

主人公のフランチェスカは超美人のダンサーで、なぜか子供の頃から男性に執着されるタイプ。ストーカーされまくりの人生を送ってきており、支えは親友のマキシのみ。今は自分のことが好きではない(隠れゲイの)彼氏・TJと付き合っています。

そのフランチェスカの元ストーカー、フレデリコの体の一部が発見されたことで、警察が彼女に接触。事件が始まります。

マキシのおじいちゃんは霊感があり、たまたまフランチェスカに配送される予定のソファを触ってしまい、それが「ディブク」だと見抜きます。「ディブク」とは現実にもあるワードで、悪魔付きを行う悪霊だそう。それに触ると操られてしまう、具合が悪くなるという特徴があります。

そんなことに気付かず、やたらとエロい格好でソファでまったりするフランチェスカ。この女優さん、非常にムチムチしていてセクシーです。朝起きたら、花とチョコレートとクッキー(焼きたて)とコーヒーがソファに用意されています。か、かわいいなソファ。まぁ彼氏が食うんだけど。

しかし、敵とみなされたTJはスプリングで刺され、実家にまで追いかけてこられてバラバラにされて殺されます(お母さんが掃除機で眼球を吸い込むという恐ろしすぎるシーンがある。どんだけガバガバの吸い込み口なのか)。

フランチェスカのことも追い込むソファ。彼女が夜に目を覚ますと、ソファの足元にライトアップされたパ、パンティが…!! スポットライトがあたっているパンティ…

だんだんと追い詰められていく彼女に、新しいストーカー・ラルフが接触。コイツもフランチェスカの家を監視し、盗撮し、さらには家に侵入してベッドに帽子と下着を置いて布団をかぶりスーハースーハーした挙句に「たまらねぇぜ!」と絶叫していました。昔、ブラッド・ピットの家のファンが侵入した時、ベッドで寝て待っていたっていうエピソードを思い出したじゃねぇか…

しかし、ラルフくんはなぜ帽子までセッティングしたんだ。帽子フェチ??

有能なマキシはフランチェスカをモーテルに避難させ、自分で家の様子を見に来ますが、ソファがラルフを殺したところを目撃し、追いかけられ、家の上階窓から通りに落下。ゴミ箱(海外特有のデカいゴミ箱)の中に落ちたため、1日近く誰にも気付かれず…!

マキシが戻ってこないことで心配したフランチェスカは警察とともに家に戻りますが、ラルフの遺体が見つかってショックを受けます。

マキシのおじいちゃんを頼った彼女は、この事件がなぜ起きたのかを知ることに。以下、うろ覚え。

  • ソファはヴァレリーという女性を求めている
  • ヴァレリーとその夫・ジェラールは中世?にいた魔術が使える夫婦。周囲の人々を魅了できた
  • しかし、その魔性のせいで人々に追われ、ジェラールが自殺。それを目撃したのがフランチェスカのおばあちゃんのマリー。
  • マリーは彼らと接触したせいで人を魅了する性分になり、修道院に入って晩年を終えた
  • ディブクは箱に入れて燃やしてしまおう

ソファと対決するフランチェスカ。ここからソファがしゃべったり、立ったりします。ちょっとダンボーみたいでかわいい。しかし、衝撃の事実が発覚。フレデリコはブードゥー教にかぶれていたらしいのですが、彼はなんと!自分の足を切ってソファに入っていたのだ!!(「人間椅子」ですね) しかも獣医に頼んで切ってもらったらしいですが、そんなもんどんな借りがあっても断るだろ。なんで切ってあげたんだ…

ディブクを箱に入れようとするフランチェスカですが、「箱に入れ!箱に入れ!」と叫んで箱をソファに蹴りつけるだけで役に立たず。

射殺されたフレデリコですが、唐突にフランチェスカはヴァレリーに憑依されて別人格に。生きていたマキシはゴミ箱から出てきます。

彼女を助けているうちにすっかり魅了されていた男刑事はヴァレリーと化したフランチェスカに薬を盛られ、ジェラールを宿すことに。

「フレデリコが実はかなり前に死んでいて、動くはずはなかった」と聞いた男刑事の相棒が追いかけてくるのですが、彼女はあっけなく殺されてしまいます。通報しようとする目撃者・マキシですが、ソファを見ているうちに縫い付けられたボタン(目のような位置にある)に魅入られて動けなくなり…!

という、結局誰がどこに宿っていてソファはなんだったのか大混乱して終わる映画。丁寧に見たらわかるのかもしれませんが、申し訳ないがじっくり見るほど知力と体力に余裕がなかったもので… 

まぁ、フレデリコはジェラールに利用されただけで、フランチェスカの家系はずっとヴァレリーの器として狙われていたのかな?

霊能力があるおじいちゃんに一番ヒロイン感がありましたね。あと、出てくる男が全員ペラいハンサムだったのもちょっと面白かった。

というように、キャラクターがけっこう魅力的で、フランチェスカが「私は男にモテてモテて…」と何度も淡々と言っているのもなんだかすごかった。わりと他人事感が強いフランチェスカちゃん、マキシが家の様子を見に行くときに「あっ、わたしは妹の誕生日だから電話かけなきゃー」とか言ってて、こいつマジか?とは思いました。

マキシはじいさんが「あいつは強いから死なないよ、心配いらない」と途中で死亡フラグを回収していたのも新しかった。あと、頑丈すぎてすごい。落下して1日意識不明だったのに歩いて戻ってくるんだもの。

しかし、ソファーは超能力を使うのではなく地味に動いているようで、だったら夜中にゴソゴソとコーヒー淹れてクッキー焼いてお花用意したのかソファ。その力を何か別に活かせたら平和だったね。