原作と全然違うけどどうしよう…笑えばいいと思うよ。『ブレイブ -群青戦記-』

ファンのみんな、怒っていいぞ。いや、怒る気になんてなれないよ。面白い。面白すぎる。

2021年の邦画『ブレイブ -群青戦記-』を見ました。「漂流教室」が大好きな私はこの原作もかなり好きなので楽しみにしていたのですが、いやー、すごい。オラ、笑ったよ。

ストーリーはスポーツ強豪校に通う高校生たちが戦国時代にタイムスリップして合戦に参加する… みたいな内容なのですが。原作のおいしいところをつまんでつなぎ合わせた結果、ムチャクチャになったなあという感じ。

演技も、三浦春馬の声のハリと松山ケンイチの圧を前にすると非常にツラいものを感じる… でも、モブで号泣していた女の子たちは演技うまかったなあ。

野武士たちがタイムスリップした学校に忍び込むシーンは緊迫感があって原作でもかなり面白く読んだのですが(生徒を守る先生の姿なんかは泣ける)、映画では順応性が高くてすぐに戦い始め、部活の道具でみんな対抗。ここがちょっと面白いのがイヤね。まさにフジテレビのコントっぽい。

また、改変がかなりすさまじく、主人公の親友の孝太が志半ばで倒れるのが攻め落とす城に着く前だし、よくわからないけど埋葬してるし(遠征中に何で穴掘ったんだろ)、墓の前で泣いている主人公のところにスッと徳川家康が現れたりして、ナニコレ?私は何を見せられているの?という気持ちになる演出もありました。家康が主人公を見込むところのシーンも「フーン、面白いヤツ…」みたいな、少女漫画的なノリを感じなくもない。

そう!原作ではかなり長い時間をかけてお話が進むのですが、この話では2~3日くらいで現実に戻れるんですね。その現実に戻る仕組みを見た目から『バック・トゥ・ザ・フューチャー』に寄せるのは説明いらずで頭いいとは思いました。残念ながらセンスいいとは思わないけど…。

あと、木下藤吉郎を演じていた俳優さんが途中まで長友だと思っていた。違ったわ。長友選手のわけないね。

ついでに不破さん役の俳優さんはカッコイイのですが、やたらと厨二病みたいなノリのセリフばかりなので「コイツに付き合うの大変そうだな…」という哀れみしかわかない。

死亡するキャラクターも原作とは微妙に変えられていて、ナンダカナーという感じでした。亡くなるシーンは悲しいんですけどね。原作ではまだ生きてるやんけ!というムカムカのほうが先立ってね。

ラストは生き残った者たちがなおも戦うシーンもありますが、この辺は俳優さんもすごく頑張っています。一方で、丸太で戦う奴が出てきて「彼岸島じゃないのか…」と思ってしまう彼岸島脳の私。いや、でも丸太で戦うのつらそうでしたけど。残念ながら豚汁は出てきませんでした。

逆に人に勧めたくなる映画ですね。未見の方はぜひ。わりとグロいシーン多めなので、デートで見ると凍りそう。