奇行と妄言ばかりが際立っていく『君と世界が終わる日に』第2話の感想(ネタばれあり)

「君と世界が終わる日に」については、主人公のキャラクターがあまりにも漫画チックすぎる・脚本がご都合主義すぎるという感想が99パーセントなのですが(残りの1パーセントは一応期待を残している)、2回目にしてやはり凄まじいセリフの応酬が続くのであります。

(そういえば、1話の感想をまとめた後にタイトルに『君と世界が終わる前に』と入れてしまいましたが、誤変換による誤りでした。失礼しました。どんだけ自分このドラマに興味ないんだ)

子供の時に『家なき子』やら『銀狼怪奇ファイル』やら『金田一少年の事件簿』を見て、ナンダコリャ展開に釘付けになったあの日を思い出す。あと『フードファイト』とか『歓迎!!ダンジキ御一行様』とか。設定も演技もわりと狂ってるやつ。あー『フードファイト』見たいなぁ。配信してくれないかな。

この日本テレビ土曜ドラマ枠からは『ごくせん』や『ギャルサー』『すいか』『女王の教室』『野ブタ。をプロデュース』など、今でも記憶に新しい名作ドラマを輩出した一方で、ものすごくアクが強くて奇想天外なドラマもやっていたんだよなあ(このドラマは日曜放送ですが)。まあ、最近でも『地獄先生ぬ~べ~』とかやってたけど。きっとこのドラマも伝説になるぞ。さあ、どっちの意味でしょうか。

2話はグループの中から感染者が出るところからスタート。小説家のおじいちゃん(演じるは笹野高史)が避難所でゾンビの群れに襲われたときに噛まれてしまったのですが、それに気付いていない主人公・響たちは自衛隊に保護されたらしい彼女の来美を追って駐屯地に向かうことに。ちなみにグループの韓国人青年のお姉さんがワクチン開発に携わっているらしいということがわかります。

ここで響のスキル・自動車整備が活き、車を修理します。といっても、この2話でも車に乗るシーンはなく響たちはずっと徒歩なんですけど…(密になるからか??) たしかにウォーキング・デッドなどの海外ドラマだと、終末世界でも車の配線を引っ張り出してつなげてキーなしでガンガン運転してますし、ただ日本だと整備工が車を修理してくれるくらいの設定のほうが無理ないんですかね…

しかしじいちゃんの感染がバレ、連れていくかこの場で殺すかでみんなは大喧嘩。しかし、ここで響が「おれが守るッ!」と言い切り、じいちゃんを連れていくとごねます。じいちゃんは逆ギレして捨て鉢になりますが、それすらも優しく包み込む響。

私はこの手の展開で「さっさと始末しろよ」みたいな意見は好きではないのですが、無鉄砲に「俺が守るんで」と言われても「この無責任野郎」としか思えない。共感できるキャラクターが全然いないんだよなあ…

ちなみに、来美ちゃんは自衛隊に保護されていました。でも事故で車に同乗していた兄妹のお兄ちゃんがケガをしてしまい、その手術を手伝うことに。で、手術しに来た医師が案の定、響の仲間の韓国人青年のお姉ちゃんというわけです。ただこのお姉ちゃん、来美へのあたりが異常に強く「実績がないなら素人同然ね」と口汚い(来美は研修医です)。手伝ってもらえるならよくないか。看護師もいない環境で…

しかし来美ちゃんは手術から逃げることはしない。

「アイツは逃げないと思うから!」

そう言われて来美ちゃんの顔をチラッと見る医師のお姉ちゃん。そら見るわ。「アイツって誰…?なんで私に言うの?」って悶々とするわ。それ以上に、シンプルに怖い。

一方、響の仲間の引っ越し業者のおじさん(演じるはマキタスポーツ)と刑事(演じるは大谷良平)は車のガソリンを集めている途中、手術の血液の匂いに引き寄せられて集まってくるゾンビと応戦する自衛隊と出くわし、刑事が彼らを助けることに… とはいえ、来美ちゃんとは会うことなく帰路につきます。来美ちゃんが手伝っていた手術は無事成功。しかしその直後にゾンビに襲われた来美ちゃん。なんとゾンビをぶん投げて頭にハサミをぶっ刺します。彼女のほうが響より強いんじゃないか。

ここらへんでイライラしてくる。このドラマのゾンビって何なのよ。どんな嗅覚してるんだ。そもそも女性には月経があるからすぐ死ぬのでは?? ケガをすると命取り!ということはわかるものの、嗅覚が発達してるのに視覚もあって、走るのも早くて、とわりとムチャクチャなんですよね。弱点が「太陽が眩しい時間帯には出てこない(ただし曇りなど天気が悪いと元気になる)」くらい。雨の日は鼻が利かなくなるのか??

などと考えているうちに、響たちの潜伏先の老人ホームにゾンビがなだれ込んできます。響はじいちゃんを背負って逃げるものの、結局じじいは自分を犠牲にしてみんなを逃がすことに。わざわざ出入り口を施錠し、そのままゾンビに食われて死亡。

といっても仕切りがフェンスなので全部見えているのですが、感染者が既に感染が進行していてしかも死にかけている人間(しかも老人)を集中して襲うものかね?とか、フェンスの鍵しまるならそこで犠牲にならなくてもよくない?とか、いろんな考えが脳裏を駆け抜けていく。

響は自分の選択が正しかったのか(といっても助ける以前の話だったけど)悩みますが、女子大生の佳奈恵ちゃんに「殺すほうを選んでいたら皆が後悔していたと思う」と慰められます。

そしてここからが問題のシーンであります。無線のトランシーバーを握りしめる響、なんと1人になってから彼女と無線がつながっているつもりでトランシーバーに語りかけます。ヒョエー!

ガードレールにもたれかかり、空を見上げながら顔を歪ませる響。アンタ、その演出は『あぶない刑事』とかその時代のヤツ(私ですら世代じゃないよ)!っていうか、現代なら狩野英孝ぐらいしかやらねーよ!と思ったら、来美ちゃんもトランシーバーを取り出して響に語りかけます。

「会いたいよ。会いたいよ、響」

みたいなことをいない相手に呟く来美。お前もかーい!

しかも、この妄言を廊下にいた研究者(演じるは滝藤賢一さん)に聞かれており

「(メッセージの相手は)大好きな人ですか?」

というコメント(野次?)を飛ばされる。はぁ、共感性羞恥で苦しい。

しかし、研究者は「私にも大好きな人がいて」とかいう気になるコメントを残しているので、ゾンビ化した誰かを戻すためにもしかして人体実験をしているのかなぁとか推測。まさか「俺がこの世界の支配者になる!」とかいうわけでもなかろう… まさかねぇ?

ラスト、響たちも駐屯地に到着するのですが、最前列で「オーイ」と手を振る刑事が突然射殺されて…!?!?衝撃の展開ですね。で、響たちは三浦を徘徊するしかなくなるわけ(そう、このドラマの舞台は三浦なのだ)。

そしてこの日最大の衝撃シーンはここからだ。

エンディングは毎回、響と来美のラブラブが挿入されるということがわかるのですが(前回は交際のきっかけとなる弓道部時代の寸劇だった。中条あやみがかわいいだけでしょうもなかった)、今回は記念日ディナーであります。

ディナーのために肉を焼く響。ここで私がめちゃくちゃ気になったのが肉が少ないということ。骨つきラム肉?が5本しか確認できなかった。偶数焼けよ!お前3本食うだろ絶対!!!

さらに、ベランダに出て来美をバックハグする響。

響「(手をニギニギしながら)この手で、これからもたくさんの命を救うんだよな」

来美「(ほほえみ、握られた響の手を眺めながら)この手で、私たち、幸せを掴むんだね」

響「そうだよ」 そして次回予告へー

で、この会話はなんなんだ。なにいってんだ。出川哲郎さんの「ねぇ~バカなの?(頭を指さしながら)」を思い出す。はらわたがよじれるほど笑った。でもその後、空しくなった。心が下痢をした。トイレットペーパーがこびりついてるよ、心に。

いや、ゾンビどうこうは置いといて、この人たち度を超えたバカップルだよね。それを微笑ましいとしてみるか、「お、おう…」という気持ちで見るかはあなた次第です。

ドラマの唯一の良心であった大谷良平さん(わりと演技もキャラも落ち着いていて見やすかった)が退場しちゃって、暑苦しい演技のキャストばかりが残っていく。これからどうなるんでしょうか。個人的には『岸部露伴は動かない』でいい演技をしていた飯豊さんに注目していきたいと思っています。