「スキン・コレクター」

スキンコレクター

ドイツ/カナダ映画の「スキン・コレクター」。2016年。
女の肌を“狩る”女の話。その理由とは?
サスペンスなのですが、主人公の部屋などのセット、さらに画面の作り込みなどは女の子が好きそうな感じもする。つまり、オシャレです。

ネタバレ

スキンコレクター1

「年をとりたくない、死にたくない、老いていく自分を見たくない」
そう呟く女性。シルエットだけで顔は見えない。廊下の奥は血に濡れている。女性は、これをやり抜かなければいけないと考えている。

夜。男をひっかけて、家にお持ち帰りされる女。彼女の名は、キラ・メイボン。
彼女は朝目覚めるが、男はベッドにいない。さらに、家を出て歩き続けていると、なぜか男のアパートに戻ってきてしまう。友達のマーサに電話するが、「あなたが男と寝るなんて、ありえない」と言われてしまう。

部屋に入ると、そこには女の子がいた!だが、すぐに消えてしまう。
家の中を調べているうちに、その家は、キラの持ち物だとわかる。なぜ?男の家だったはずなのに?しかも、彼女は記憶喪失になっている。

さらに、彼女の指は、突然、石化を始める。戸惑うキラ。

なぜか、老女たちが彼女の家を訪ねてくる。居留守を決め込むキラ。
同じアパートのソフィアと仲良くなるが、彼女は同性愛者のようだ。

皮膚病を心配し、予約していた皮膚科を訪れる。だが、クローバー女医の診察に不信感を抱くキラ。

セナカンドオピニオンとして、別の医師のもとを訪れるキラだが、死体置き場につい足を踏み入れ、美女の死体に見とれてしまう。だが、自分の皮膚がどんどんはがれていくことに気が付き、戦慄する。

女のバーテンダーを襲うキラ。彼女がすべって転ぶが、その時にできたキズから皮膚をはがし、自分の肌にはりつけると、キレイな肌に戻る(理由は不明)。

ソフィアとは喧嘩ばかりになるキラだが、その陰で殺人を重ねていく。クラブのトイレで女を殺し、風呂に誘拐した女を隠す。

肌はキレイになっても、すぐにはがれていく。
不審に思ったキラは、クローバーのオフィスからカルテを盗み出す。

そこには、キラが本当は64歳だと書かれていた。彼女は若返りの手術を受け、美しさを取り戻した。だが、そのせいで一時的に記憶を失ったのだ。
冒頭の男性・ジョナスは彼女の夫だったが、既に離婚している。さらに、娘や孫がいることもわかる。少女の幻覚は娘だったのだ。

キラは家を燃やし、同じ手術を受けた被験者のリストを見ながら訪問を始める。だが、彼女たちは姿を消していた。
つい、娘の家も訪れるキラだが、孫が彼女の皮膚病を怖がり、キラは逃げ出してしまう。

逃亡を続けるキラだが、実はソフィアはクローバーの部下だった。彼女はラボに連れ戻される。

キラは、クローバー医師のプロジェクトの唯一の成功例だった。彼女はどんどん皮膚が崩れていく。
ソフィアは彼女を心配して様子を見に来て、キラとともに脱出しようとする。本当に彼女を愛してしまったのだ。
だが、ソフィアはクローバーに注射を刺されてしまう。その代わり、キラはクローバーをボコボコにして、足で踏んで窒息死させる(すごい脚力)。
ソフィアが催促をしても、キラはクローバーのもとを離れない。彼女は逃亡よりも、自分の美に執着しているように見える。

ソフィアを隠し、看護師や警備員たちを惨殺し続けるキラ。
「自分のエゴで人を殺している」と言われたキラだが、その言葉は響かない。
ソフィアのもとにもどってきたキラは、美しい看護師の皮をかぶっている(ホクロでわかる)。

薬を注射され、息も絶え絶えのソフィア。キラの首に、銃を突きつける。
「あなたを愛しすぎた」
そして、キラを殺してしまう。

感想

中盤はとてもいいのですが、前半は伏線が張り巡らされているので、後から考えると「あーそういうことか」とは思えるものの、わけのわからない場面が多い。
ジョナスと出会い、結婚→彼の家に一緒に住む→出産、離婚→娘は結婚して出産→老女となったキラ、若返りの手術を受けて記憶を失うという流れ。だから、途中で様子を見に来たおばあちゃんたちこそ、本当のキラの友達(マーサ)なのでしょう。

後半こそ、わけがわからない。
・謎の放火(なぜ家を燃やしたんだ……)
・ソフィアがキラを愛していたのに彼女を拉致してラボにつれていき、なのに一緒に逃亡しようとする。こいつ、考えがコロコロ変わりすぎだろ
・美貌にこだわるキラらしいが、そのわりに普段の服装やメイクは無頓着なんですよね。ソフィアのほうがよっぽどキレイ。
・キラはピアニストらしいけれど、全然ピアノ弾かないのね。

とはいえ、ラスト、看護師の皮をかぶって戻ってくるシーンは強烈な闇を感じました。