「ディストピア パンドラの少女」

ディストピアパンドラの少女

イギリス/アメリカ映画「ディストピア パンドラの少女」を見ました。
原作はベストセラーになったゾンビ小説らしい。パンデミックで凶暴化した感染者=ハングリーズが彷徨う近未来、感染した母から生まれた少年少女たちを対象に研究が続けられています。ですが、基地が陥落し、軍曹や博士、教師が彼女と共に協力しながら逃亡することに。果たして、彼女たちはどうなるのか?

ちなみに、ハングリーズは思考能力がない代わりに異常に体力はあり、走るのも早いです。臭いを感知するので、ジェルを体に塗ると感知されにくくなります。また、生きている肉を好むため、ネコや犬・鳥も食べます。
そして、主人公である少女のように、感染者から生まれた子供たちはある程度の高い知性を持ちますが、ハングリーズとしての本能もあり、ニオイを嗅ぐと我を忘れて捕食をしてしまうという癖もあります。

登場人物

メラニー:ハングリーズの少女。高い知性と好奇心を持ち、心優しいジャスティノー先生を愛している。
ジャスティノー先生:若い女性教師。ハングリーズの子供たちに勉強を教えている。非常に心優しく、ハングリーズの子供たちの味方。
パークス軍曹:ジャスティノー先生の天敵。時には感染した仲間を撃つこともある冷酷さもあるが、人間が生き残るための道を模索し続けている。
コールドウェル博士:ワクチンを開発するために、メラニーを解剖しようとする。ハングリーズの生態の解明に興味津々。

ネタバレ

ディストピアパンドラの少女1

独房のなか、自ら歩いて車イスに座るメラニー。彼女は兵士たちに連れられ、教室に向かう。そこには車イスに同じように拘束され、頭と手足を縛られている子供たちがいる。

優しいジャスティノー先生、夜になると質問にやってくるコールドウェル博士、先生を否定するパークス軍曹。メラニーに触れたジャスティノーを、パークス軍曹は怒鳴りつける。ジェルで臭いを消していたとしても、彼女が噛まれない保証はない。
実際にメラニーを助けようとして、ジャスティノーは噛まれかけてしまう。

先生を襲おうとしたことを恥じたメラニーは、コールドウェル博士に自分が選ばれるように仕向ける。彼女は好きな数字を聞かれていたが、その数字が割り当てられた子供が解剖の対象にされていたのだ。

翌日、メラニーは博士の元に連れていかれるが、建物の外に初めて出る。基地のフェンスには、大量のハングリーズがへばりついている。

コールドウェル博士のもとで、彼女は解剖されることになる。だが、ジャスティノーはそれを止めにきて警備に連れていかれる。しかし、フェンスが破られ、ハングリーズがなだれ込んでくる。
博士の助手が噛まれてしまうが、博士は実験室を守る(ハングリーズの頭を殴ってへこませ、ガラスで頭を突き刺す)。感染した助手が今度は博士を襲うが、メラニーは拘束をメスで切り、外へ出る。

先生を捕まえている警備に噛みつき、メラニーはそのまま倒れてしまう。基地はもうぐちゃぐちゃだ。パークス軍曹たちは車で避難を始め、ジャスティノー先生とメラニーもその車に逃げ込む。中には博士もいる。
先生はメラニーを逃がそうとするが、初めて見る外の世界に驚き、彼女はへたりこんでしまう。

結局、車の外にメラニーを拘束し、車は走っていく。

しかし、水汲み中に襲われる彼ら。パークス軍曹の部下のひとりが噛まれ、殺されてしまう。

ハングリーズの原因は、タイワンアリ茸という植物(食べ物?)から広まったらしい。

車がダメになり、彼らは歩くしかない。群れの中をこっそり歩いていくしかないのだが、博士がベビーカーゾンビにかまったせいで、一部のハングリーズに気付かれてしまう。

博士は、ハングリーズから生まれた赤ちゃんには思考能力があると教える。それはメラニーのことに他ならないが、赤ん坊たちは体内からは母を食べていたと聞かされ、彼女はショックを受ける。

偵察に行ったメラニーは、衝動的にネコを食べてしまう。家の中に侵入した彼女は、犬を見つける。その犬を抱いて、ハングリーズの前で放つメラニー。彼らは犬を追いかけていく。

そのままメラニーたちが進むと、病原体の次の段階が見えてくる。ハングリーズは大量に集まると、そこから芽を出し、大きな木のような形になるのだ(脳にも根がある)。

博士は最新の技術が集まる実験室を搭載した移動式車両を見つける。だが、それに乗っていた兵士たちは見えない。
メラニーはひとりで外に行き、鳩を食べる。すると、ハングリーズの子供たち(野生)を見つける。彼らはパークス部軍曹の部下・キーランを襲うようだ。キーランは彼らを助けようとして、襲われて食べられてしまう。死体を見つけたメラニー、パークス、ジャスティノーだが、それも子供たちの罠だった。
しかし、メラニーは子供たちと喧嘩をして勝ち、軍曹や先生が自分たちの獲物だというフリをする。

返ってきた軍曹たちは、博士のガスによって昏倒する。彼女はワクチンを完成させるために、どうしてもメラニーを解剖したい。しかし、メラニーはなぜ自分が人間のために犠牲にならなければいけないのか、本当にわからない。彼女は逃げてしまう。
博士はメラニーを追いかけて外に出て、ハングリーズの子供たちに食べられてしまう(ちなみに、彼らはジェルの耐性ができてしまっている)。

メラニーは感情のまま、ハングリーズの木を燃やしてしまう。その木を燃やせば、種が飛び散り、その空気を吸った人間もハングリーズになってしまう。

パークス軍曹は彼女を探しに来て、それを吸ってしまう。メラニーは自分の行動を後悔する。
(彼はぶっきらぼうで残酷だが、博士ほど彼女をモノ扱いしなかった)
軍曹は感染したことを知り、絶望する。そして、メラニーに自分を殺すように命じる。

唯一助かったジャスティノー先生。彼女はひとり生き残ったことに絶望する。

その後。先生はひとりで、建物の中に避難したまま暮らしている。そして、ビニール越しにメラニーが集めてきたらしいハングリーズの子供たちに授業を始めている。

感想

このラストが恐ろしい。メラニーは大好きな先生を独占して、嫌いな人間たちを排除したようにも覚える。全ては彼女の思い通りになってしまったというのが、なんだか薄気味悪い。
全体的に生存者のキャスティングが素晴らしく、セットも手が込んでいる。
ですが、まあ、怖くはないです。SFとしての印象の方が強い。これ、たぶん小説が面白いんでしょうね。ドラマの長尺で見たら間違いなく面白いのですが、2時間じゃやや物足りない。

しかし、この後味の悪さは素晴らしいですね。