「リアル鬼ごっこ」1~5を見返してみた

リアル鬼ごっこ2007

無駄にリアル鬼ごっこをぶっ続けで見た話。

「リアル鬼ごっこ」は1~2が続きもの、3・4・5は並行世界を描いているため、続編というよりも……なんていうんだろう。全部がつながっている感じ。
その後、「リアル鬼ごっこ ORIGIN」というドラマ版と、園監督の「リアル鬼ごっこ」、それに付随する短編作品集などなどがあります。

今回は、1~5までを一気に見ました。なかなかの拷問であります。

「リアル鬼ごっこ」

リアル鬼ごっこ2007

2007年の作品。
まず、特筆すべきは全員の演技がすごくヘタなのですが、主演の石田卓也のまっすぐに突っ走る感じが妙にハマっているので、嫌いになれない作品。とはいえ、「怖くない」という大きな欠点を抱えています。鬼の造形は怖いといえば怖いけれど、そこは掘り下げられません。あまり普段ホラーをご覧にならない方は怖いかもしれないですが、どちらかというとアクション要素が強い。突然背後に出てきて驚かすようなベタベタ描写すらありません。
ただ、鬼の造形や宣伝ポスターを見ると、「暗殺教室」っぽい。別に「パクリ!」「インスパイアされた!」とかは思わないけど、微妙に似ていて面白い。

なんとなくのあらすじ

パラレルワールドに飛ばされた翼が、家族や親友を守るために鬼ごっこから逃げ続け、走り続ける!

・医者役の柄本明にセクハラされる主人公の妹役・谷村美月
・パラレルワールドに飛んでしまう主人公・翼。さっそく、上半身と下半身が分断され、下半身だけがこちらに走ってくる女性と遭遇する。
捕まった人が乗せられているのが普通の黒ワゴン車。せめて軽トラにしたほうがいいのでは。たくさん捕まえたらどうすんだ。膝に乗せるのか?
・超能力を持つ妹が、主人公をパラレルワールドに飛ばしていた。なお、彼の死んだ母も能力者であり、主人公には超能力は遺伝していないが、完全オリジナルであり、パラレルワールドには主人公は存在しない。
(厨二心をくすぐる「俺だけオリジナル」設定)
妹・愛や親友・洋、なぜか協力してくれるテレビレポーター・かをり(この人は鈴木じゃない)と共に、王様を倒すために奔走する主人公。
・翼の父親はあっさり死亡。
・妹は人質になる。
・ギリシャの彫像っぽくしようとして埴輪っぽくなった王様、喋り方でソッコー正体がバレる。なんと柄本明が黒幕だったんだよ!ナンダッテー!
・主人公の本当の父親は王様だったという驚きの展開!壮大な親子喧嘩ですね。
・鬼が弱すぎて怖くない。
・ラストはさらなるパラレルワールドに飛ばされ、さらに別世界の妹、親友たちと協力して反政府組織を作るというオチ。「バトルロワイヤル」のテイストも感じられる。

個人的には、おちゃめな三浦涼介が見られるという点でお買い得かもしれない。
親友役は大東俊介、ヒロインは谷村美月と松本莉緒。

「リアル鬼ごっこ2」

リアル鬼ごっこ2010

2010年の作品。
主役の石田卓也だけはそのまま、親友役・妹役も総入れ替え。そして、パラレルワールドのボスはなんと「将軍」。将軍って……なんか、怖くないですね。将軍が襲ってくるって言われても。「戦じゃ~」感がスゴイだけで。
1の親友は前回生き残ったはずなのですが、今回は別の親友って設定なのか、たしか面識がないという設定になっております。じゃあ妹が変わったのはどう説明するのか。

なんとなくのあらすじ

前回、パラレルワールドで王様を無事に倒した翼だが、今度はまた別のパラレルワールドへ。だが、突然最初にいた世界に戻ってしまう。しかも、鬼を引き連れて―今度の敵は将軍だ!

・1の最後に飛ばされた、将軍がボスの世界から、1で最初にいた世界に戻ってきた主人公・翼。だが、鬼を引き連れて戻ってきてしまったため、元の世界で普通に暮らしている反政府派の鈴木たち(パラレルワールドなので、直接関連はない)が殺されていく。
・ひたすら、追いかけっこ。見ているこっちが乳酸が溜まりそう。
・今度の黒幕は刑事。実は元の世界とパラレルワールドで黒幕が一度入れ替わっていたらしいけれど、それがなんなのか。
・ヒロインは犠牲になり、妹と親友は生き残る。と思いきや、また飛ばされた江戸時代風のパラレルワールドで彼女は生きていた。

親友・洋役は三浦翔平、ヒロインは阿部純子と霧島れいか。
前回の敵は柄本明でしたが、今回の敵は永島敏行。わかりやすい黒幕ですね。

非常にわかりにくいですが、
A)元の世界。支配者はいない。主人公はここで生まれる。妹はこの世界では力の影響で、喋ることもできない。
B)王様に支配され、鬼と追いかけっこをする世界。1で主人公が飛ばされた。
C)将軍に反発する鈴木たちがテロリストのように生活している世界。この世界にも、なぜかBの世界と同じ鬼がおり、鈴木たちを襲っている。ただし、Bの世界のように人をすぐに殺すのではなく、なぜか大量に監禁している。非常に交配している。
D)江戸時代風の近未来世界。主人公の妹、親友、ヒロインが指名手配されている。
主人公が1の終わりでB→Cに飛び、2ではC→Aに戻り、ラストでDに飛んだ。ということですね。わかりにくっ!
いや、映像でみると非常にシンプルな「パラレルワールドオチ」なのですが。

さて、1と2はタテでつながっている(いわゆる続編)ですが、3~5は全部横の線でつながっており、同時に鬼に追いかけられている群像劇を切り分けた感じ。全部2012年公開。
監督は安里麻里。

前作までとかなり異なるのは、
・鬼ごっこの対象は鈴木ではなく、B型の人間を対象にしている
・王様が最初から顔出ししている(しかもコスプレ感満載。アホ王子風)
・チープ感が増す。予算の都合なのでしょうか。
・鬼が武器を所有するようになる。頭に電流を流し、その場で殺す(例外もある)。

「リアル鬼ごっこ3」

ちなみに主演は山崎賢人。

なんとなくのあらすじ

スグルは学校での3日間の鬼ごっこに巻きこまれる。仲間と協力し、生き残れることはできるのか。

・王様に支配されていることに、何の疑問も抱かない世界(金髪のバカ殿みたいな支配者に疑問を抱かない時点で狂っているが)。B型の主人公・スグルは3日間学校に閉じ込められ、逃げ続けることになる。ちなみに他の血液型の者はフツーに帰宅する。
・あることをきっかけに仲が悪くなった元親友・オンジ、地味な少女・リノが仲間になる。
・逃げ回り、籠城するB型たち。体育館にたてこもるも、簡単に突破される。
・生き残りの者たちは少なくなるが、主人公の友達(B型ではない)・コダマがこっそり戻ってきて、監視カメラをしかけ、逃げるB型たちにこっそり指示を出してくれることになるという胸が熱くなる展開。
・この学校で、そして屋外で、そして他の高校や会社でも鬼ごっこが起こっている。
ちなみに、建物の中での鬼ごっこは休み時間がありますが、屋外は時間制限がありません。なので、常に逃げ続けなきゃいけないですが、逃げる自由度は高めかも。にしても、鬼の側の負担すごそう。
・屋内の鬼ごっこは1時間限定(なぜか休憩時間&死体回収タイムに入る)。この時間限定な理由が不明。シフト制なのか?追われるほうを翻弄しているのか(にしても、そこに何の楽しみがあるかわからないけど)?
なんですが、1時間の鬼ごっこが終わった後にもう1時間、すぐに鬼ごっこが始まる。監視カメラの電力が切れ、コダマも無残に死亡する。
・主人公とヒロインは外に逃げる。実は陸上部のエースだったスグルだが、持病で走ると息切れがするようになっていた模様。でも、もう迷わないぜ!
・オンジが死亡。夜明けまで延長戦が決定し、スグルとリノは逃げ続ける。

リンク内容

主人公の父が、「5」にも登場する。
学校を脱出した問題児は、「4」の主人公の相手役となる。

ヒロインは山谷花純。名前がかわいい、この人。演技も好き。
ワーキャー逃げ惑う感じは、一番「鬼ごっこ」らしい。ああ、今回は限定された建物内で逃げ惑うのかしら?と思っていたら、その思い込みが4でさっそく覆されます。

「リアル鬼ごっこ4」

こちらはなんと相楽樹が主演で、未来穂香が助演。朝ドラ出演者、多いですね。
意地悪な友達は前田希美が演じています。

なんとなくのあらすじ

ツカサは後輩のユイ、途中で出会ったマサハルと共に逃げ続ける。彼女の「人を見捨てない」という姿勢は、皆を変えるのか―?

・男勝りのヒロイン・ツカサと、おっとり不思議ちゃん系の後輩・ユイ。そして対立する女王様タイプのいじめっこ・マユリ。そんな登場人物たちが通う女子校も、鬼ごっこの対象になります。
・こっそり、フェンスの穴から逃げるツカサたち。ガバガバ警備すぎる。
・「3」に登場していた問題児風金髪イケメンと・マサハル一緒に逃げることに。
クールで冷めた彼とたびたび価値観が対立するツカサ。
・廃倉庫みたいなところで、他の生き残りと立てこもる3人。
だが、鬼たちがやってくる。しかし、謎のおっちゃん(5で「マエストロ」というあだ名だと判明)がマサハルがいい目をしている……!みたいな曖昧な理由で、お手製の爆弾をくれる。
だが、多くの人が犠牲になる。
ツカサは「私は人を見捨てない!」と鼻息を荒くする。
・女子校に戻るツカサとユイだが、そこはマユリに支配されていた。
彼女たちは生贄を選び、それを鬼に差し出して時間稼ぎしていたのだ。
・だが、マサハルが助けてくれ、地下通路から脱出する3人。
なんだかんだで他の生徒たちは襲われ、見捨てられたマユリも合わせて4人で逃げることに。
・マユリとマサハルが犠牲になり、2人は逃げきる。マサハルなんて、爆弾で自爆します。壮絶すぎる死に方。
マユリがどうしてユイを嫌いまくっていたのか、いじめっこだったのかはあまり語られない。ツカサとマユリには深い因縁がありそうなのですが、そこはストーリーにはあまり反映されません。
・ってことで、普通の日常が戻ってくる。ええええっ!?戻ってくるの!?

リンク内容

爆弾をくれるおじさんは、「5」のキーパーソンである。
マサハルは「3」で、学校を脱出している。

ということで、犠牲を出しつつ平穏エンドになったので驚く。1作だけ見るとしたら、これが一番よくわからない話かもしれない。あと、ユイがほんっとーになにもしていないのでイライラする。ヒロイン属性が高いのはどちらかというとユイです。

「リアル鬼ごっこ5」

バラバラで見てもいいのですが、一応この話でなぜこんなことが起きたのか?がわかります。
主演は井上正大。ライダー俳優なのかな?
(この映画の男性陣は特撮出身の人が多い)
ヒロインは仲間リサという女優さんですが、現在は映像作品にほとんど出ていません。一番有名なのは、友達役の浅利陽介か。

なんとなくのあらすじ

・主人公はステレオタイプのオタク・大地。会社のマドンナ・月野さんに恋をしているが、相手には恋人がいる。
月野って聞くとセーラームーンを思い出しますね。
・パソコンがほとんどないオフィスで、全然仕事をしていない女性陣。どういう会社?
・この会社も閉鎖され、B型の人間だけが閉じ込められる。実はこの会社は製薬会社であり、B型の人間に投与された薬を作っていた。その薬のせいで、鬼たちはB型が感知できるらしい。謎システム。
・大地と友達の浩太、清掃員のマエストロおじさんは会社から脱出。
・「2」の主人公たちがいる廃倉庫に共に立てこもるが、鬼に襲われてしまう。だが、おっさんが爆弾を爆発させ、助かる。あ、あぶない。
・どうしても月野さんを助けたい大地。実は彼はA型だった!
・月野さんのことが好きすぎて、雨の日にこっそり傘を席に置いていく大地。なんの疑いもなく使う女も女だが、全体的に行動が気持ち悪い主人公である。
・おっさん、みんなを助けるために犠牲になる。
・大地を助けるため、月野さんは急にキス→エレベーターに彼を押し込み、自分が犠牲になる
「知ってる?B型って、好きになったら一途なの」   ( ゚д゚)
・実は月野さんは拉致されただけでまだ死んでいない!王様のいる城まで突入するダイチ。
・月野さんは都合よく仮死状態。
・王様は血液の病気で、B型の血を求めていた。だから、B型を片っ端から殺して血を集めたらしい。いや、だったら強制的に献血させるとか、あるじゃん……。
・倒れたダイチの血をさっそく自分の体に注入する欲しがりな王様。だが大地の血はA型なので、当然苦しんで死亡。おつきのものもどうでもよくなっており、別に殺されたりもしない。

・王様が死に、平和な日々が戻ってきた。植物状態だったダイチも、月野さんの愛ある看護のおかげで意識を取り戻す。

リンク内容

・「3」のスグルの父が、大地の上司(けっこう意地悪な印象)
・逃げたところで、「4」のヒロイン・ツカサもちらっと出てきた気がする
・マエストロおじさんは「4」にも出演。爆弾じじい。

血液が欲しい→よし、殺すぞ!って思考、現実なら怖いけどホラー映画だと怖くないのはなんでだろう。

ということで、リアル鬼ごっこを振り返ってみましたが、見終わっても男の感想もわかない。
園監督の「リアル鬼ごっこ」はグロくて狂っていて最高ですが、血も出なけりゃゴア描写も、精神的に追い詰められる場面もなし。どちらかというと青春アクション映画っぽいので、非常にズレてる作品のような気もする。
だが、ホラー映画として売り出すより、こういう方向性のほうが見やすいのでしょうね。
それにしても、そんなに何度もリメイクされたりシリーズ化されるほど、この原作は面白いのでしょうか。私の中では「サラダ記念日」とかと同じ棚に入ってるんですけど。