「ヴィジョン/暗闇の来訪者」

ヴィジョン暗闇の来訪者

2015年のアメリカ映画「ヴィジョン/暗闇の来訪者」。ワイン農園を舞台にしていることから、なんとなくヨーロッパの映画かと思っていたのですが、アメリカの映画でした。
妊婦の女性が田舎で苦しむ話、と聞いていたので悪魔の赤ちゃんを身籠る話?と思っていたのですが、そんなことありませんでした。非常にスリリングで、悲しく、そして怖い。裏切りもある。「ロスト・ボディ」という映画にも似た、「ああ、そういうわけか」とゾッとさせられるお話。

登場人物

イヴリー:デザイナー。交通事故にあって以来、精神病を患っていた。現在妊娠中。
デイヴィット:都会の暮らしを捨て、ワイン農園を始めたイヴリーの夫。

ヘレナ:ワインの評論家。優れた霊能力を持つ。
セイディ:マタニティヨガのクラスで知り合った明るい妊婦。
アイリーン:イヴリーの親友。普段は都会に住んでいる。
精神科医:イヴリーのことを案じる医師。

ネタバレ

イヴリーは交通事故で大ケガを追う。彼女自身はもちろん、対向車に乗っていた女性は赤ちゃんを失ったことがわかり、それを彼女は気に病む(ただし、事故はイヴリーの責任ではない)。

1年後。ワイン作りのために移住した夫婦。ワインのお披露目パーティを行っているが、評論家のヘレナは彼女につっけんどんだ。よそ者が嫌いなのか、それとも?
ヘレナは夫婦の寝室に入り込み、「我慢して、これで私たち、ママだけよ」などと口走っていた。赤ちゃんの泣き声も遠くから聞こえてくる。

ヘレナはその夜、腹を裂かれる夢を見る。

マタニティーヨガのクラスで、セイディと知り合ったイヴリー。久しぶりの楽しい時間を過ごす。
だが、近所で謎のお供え(隣人はメキシコ人??)を見つけ、気分を害する。隣人が麻薬を作っているのではと疑うイヴリー。

夜、デザイナーの仕事をしているイヴリーダが集中できない。彼女は交通事故で相手の母と子を巻き込み、子供を死なせてしまったことをセイディーに告白する。

帰宅すると、床に5枚のコインが立っているのがわかる。ワインは割れ、拳銃が落ちている。だが、それはすべて厳格だった。扉を叩いて彼女を怯えさせていたのも、気のいいお隣さんだった。
イヴリーとデイヴィットはすれ違い続ける。夫は妻が病気だと思っている。
イヴリーは前の住人・ポーター家に興味を持つ。

夫といちゃいちゃするイヴリーだが、旦那が黒マントの男にすり替わっているように見え、驚く。そして、逃げた先でトルソーに押し出され、ガラス窓を突き破って外に転がり出る。

イヴリーは精神病と診断され、薬を飲むようになる。セイディーと久しぶりに会うが、その喫茶店で夫と知らない女性が同じ車に乗り込むところを目撃してしまう。しかも夫はそれを隠している。

イヴリーはポーター夫人宛にきた手紙を見てしまう。その手紙は図書館からのもので、彼女がどんな本を借りたのかが書かれていた。彼女は悪霊に関する本を大量に借りていたことがわかる。
そして、ポーター夫人に電話して、彼女も恐ろしい体験をしたと知る。そして、薬をこっそり捨ててしまう。
しかしガラスが割れ、また吹っ飛ばされるイヴリー。

ヘレナを尋ねるイヴリー。彼女に霊能力があることを知る。屋敷の裏にある庭にヘレナとイヴリーは向かうが、そこにある小さな池に突然、男の死体が浮かび上がる。家の中に逃げるが、突然壁に血の手形が浮かび上がり、イスが倒れる。そしてヘレナも昏倒する。
「勘違いしていたわ。あなたよ」という言葉を残し、彼女は死ぬ。

夫とまた喧嘩をしたイヴリーは家を出て、ポーター家よりもさらに前に屋敷を所有していた人物に会いに行く。やはり、彼女たち夫婦が住んでいた屋敷はいわくつきであったこともわかったし、霊媒師はデイヴィットそっくりの男のイラストを書き残していた。

慌てて期待するイヴリーだが、そこには夫以外に精神科医、アイリーン、さらには浮気相手の女性もいる。といっても、その人は浮気相手ではなく、セラピストのランバート女史だった。
彼女が病気だ、治したほうがいいと説得する面々だが、ランバートが電話をしながらコインを立てるクセがあることを知り、彼女は気付く。
彼女は過去にあったことを見ていたわけでもなく、霊の力を見せびらかされていたわけでもない。
彼女は未来を予知していたのだ。
それが今夜起きるとわかり、慌てるイヴリー。

だが、そこにセイディー夫婦が破水したと転がり込んでくる。彼女の姿はまるで、黒マントの男のように見えてイヴリーはびっくりする。
そしてセイディー夫婦は銃を取り出し、彼らを脅す。セラピストは逃げようとして撃たれ、医師は流れ弾に当たる。セラピストがついた手の跡は、かつて見た血の手形と同じ位置についているし、ワインもわれている。落ちた銃も、イヴリーが見たことがあるものだった。
デイヴィットは妻を助けようとしてセイディーの腹をさすが、彼女はデイヴィットを刺し返す。彼女は腹に入れていた詰め物のおかげで無事だった。セイディーの夫はアイリーンを撃ち殺している。
裏に逃げるイヴリーだが、たまたま隣人のレオと出会い、彼が撃たれてしまう。彼は池に落ちて、それを念入りに撃ち殺される。それはヘレナとかつて見た光景だ。
イヴリーは気絶する。

気が付いたら、ベッドに縛られているイヴリー。セイディーは交通事故で子供を失った母親その人だった。不妊症で、やっとの末に子供を授かったのだ。彼女はイヴリーの腹から子供を取り出し、自分が育てると言い出す。セイディーの夫はこれから起こるであろうまがまがしい光景を想像して、引いている。
しかし、縛られていたベッドの一部を折りとり、セイディーの首をかっきるイヴリー。彼女の夫はイヴリーの首を絞めるが、生きていたデイヴィットが彼を撃ち殺す。

夫婦は家を出ていき、その家は空き家になっている。内見に来ている夫婦もいる。その家の棚の上には、5枚のコインがぽつんと立っている。

感想

・途中から展開が読めてしまう方も多いかもしれませんが、それにしてもガンガン殺されているさまは気分が悪くなるほどです。
・「ただ、立っているコイン」だけでもこんなに怖い。そう感じたことが何より自分の中で新鮮な作品。
・ヘレナの奇行、裏庭に浮かび上がる死体、黒マントの男(と思いきや女)など、ゾクッとくるシーンは意外とあります。