「オフィス 檻の中の群狼」

オフィス

2015年の韓国映画「オフィス 檻の中の群狼」を見ました。日本よりも韓国の学歴社会や就職戦争は激しいと聞きますが(とにかく就職できないみたいですね)、この映画ではその感じをじゅうぶん体感できます。

登場人物

ミレ:マジメで熱心だが、仕事ができるタイプではない。貧しいため、かなり遠くから通勤している。残業ばかりでいつもフラフラ。キム課長と似ていると言われる。
キム課長:優しくマジメな性格だが、そのせいで部長からいじめられ続けてきた。突然家族全員を殺し、そのまま失踪する。

部長:とにかく偉そうでパワハラやり放題。
チョン代理:ごますり男。上には媚びるが、下にはかなりキツい。
ホン代理:美人。言動はかなりキツイ。
ウォンソク:若手男性社員。かなり調子がいい。
女の社員:比較的穏やかだが、要領がいい。ウォンソクと付き合っている?

刑事:キム課長の行方を追うが、ミレと知り合い、彼女のことを気遣うようになる。

ネタバレ

オフィス2

帰宅するキム課長。家族だんらんを楽しんだ後、突然カナヅチを持ちだしてくる。殴打の音。

満員電車やバスを乗り継いで出勤するミレ。彼女はオフィスにつき、課長が家族を殺したことを知る。同じ部の全員が、課長はそんな人ではないと口をそろえて言う。息子の難病で悩んでいたらしい、という人もいる。
ふと、天井から水が垂れてくる。

自分の机の引き出しを開けて息をのむミレ。彼女はチョン代理に「昨日のことは言うな」と口止めされる。ミレの机には、包丁が入っていた。

誰かがキム課長のパソコンに遠隔ログインしているのがわかる。

ミレは会議に初めて出席するが、部長のパワハラ発言に驚いてしまう(ターゲットは男性陣だが)。
部長とチョン代理は会議終わりで話をするが、部長は課長に襲われる夢を見たと話す。

ミレだけ課長に優しかった。課長をランチに誘おうとして、他の社員に置き去りにされてしまうミレ。

ミレはくたくたに疲れ切っている。だが、そこに新インターンのダミという女性が現れる。彼女は海外育ちで高学歴、美人。部長の知り合いの紹介というコネつきでもあり、有能である。

警察は、課長が夜会社に戻ってきた映像を見つける。

雨の夜。チョン代理は残業しているが、電気が消え、つくと後ろにはびしょ濡れの課長がいる。ドアにはクサリが巻き付けられていて、逃げられない。

警察がやってくるが、そこにいたのはミレだった。彼女は仕事の資料を忘れたのだという。
刑事はかわいそうに思い、彼女を家に送ってあげる。

翌朝。会社はこの事件を隠蔽したいが、ホン代理の死体が突然、天井を突き破って落ちてくる。
水漏れの修理中に空いていた穴に死体が隠されていたのだ。

ホン代理は刑事に「キム課長が本当は犯人かも」「会社に隠れているのかも」と言い、いい加減なことを言うなと怒られる。彼女は暗がりにキム課長が隠れていたような気がしているのだ。
刑事は機動隊を投入しようとするが、会社のイメージが悪くなるからダメだと上司に言われてしまう。

残業中。キム課長からのチャットメッセージが届き、怯えるミレ。
入れ替わりでダミが来るが、彼女はインターンなのにお金持ちでいいところに住んでいることがわかる。

ミレはダミに差をつけられていると感じ、人事に相談する。彼女を慰める人事だが、ホン代理からは能力がないと言われてしまう。また、女性の先輩にもキム課長と要領の悪さが似ている、ウザいと言われてしまう。彼女はおそらく、正社員に採用されないだろう。

昔、キム課長は自分と似たタイプの彼女を救済したいと、ミレに包丁を渡そうとして来た。
「私はあなたと同じじゃない!」と叫んだ挙句、ミレは彼を突き飛ばす。

オフィス1

ホン代理は部長と喧嘩になり、やめると言い出す。部長があの事件の日に課長をクビにしたこと、そしてチョン代理とミレもそれを知っていると告発する。

若手社員のウォンソクたちは、ミレについて噂をしている。ダミのほうを正社員に推薦した2人。ミレは部長の資料を盗み見て、採用されるのはダミだと知ってしまう。

部長はタバコ休憩をしているが、ライターがない。だが、別の階(非常階段でタバコ吸ってます)に誰かがいるのがわかる。何かを知り、おののく部長。

ミレの家を刑事が訪れる。あまりにわびしい家に驚く刑事。

ホン代理にメールが届く。「君を課長にしようとしていたんだよ!」と退職の撤回を求めるメールに気を良くした彼女は、社に戻る。

刑事はミレの隣人に話を聞くが、隣人はミレを心配している。様子がおかしいし、包丁を持っていたのを見たというのだ。

トイレにいるホン代理。下の隙間から、手が入ってくる。そのままめった刺しにされるホン代理。だが、そこに立っていたのはヒールを履いた女性だ。

警察は、ビルの奥で自殺しているキム課長の死体を見つける。
では犯人は誰なのか?そう、ミレである。
若手社員も部長に呼び出されて戻ってくるが、そこにはキム課長のように振る舞うミレがいた。男のような口調で上司として振る舞うミレに怒った女性社員は、彼女をビンタする。だが、パンチで殴り返すミレ。包丁を持って戻ってきて、彼女を刺す。ウォンソクは逃げようとして、部長の死体を見つける。女社員は這って逃げようとするが、包丁で追い詰められてしまう。

刑事たちはビルの下に到着するが、上から女社員の死体が落っこちてくる。
ウォンソクはオフィスに戻ってきて、ミレともみあいになる。そのまま、ミレに包丁が刺さってしまう。
「お前は何者だ?」「痛い、すごく痛い」
キム課長の仮面がはがれたミレの首を絞めるウォンソクだが、警察が彼を撃つ。

キム課長はエレベーターエリアで死んでいたのだ。青酸カリを飲んで。
全ての犯人はウォンソクということになっている。

ミレは入院していた。刑事は包丁のことについて尋ねるが、「自分が持っていた」というミレはそれをお守りだと思っていた、持っていたら心が安らいだからと言う。

ミレは普通の生活に戻るが、また別の会社の面接を受けている。

感想

・キム課長役の方の顔がすごく特徴的で、前髪がペタ~っとはりつきつつ暗闇からノソッと出てくる感じがかなり怖かったです。
・当初、本当にキム課長がオフィスに隠れて皆を狙っている話かと思っていたので、びっくりしました。
・チョン代理を襲ったキム課長(なお、ミレとわかるまではキム課長が犯人役を演じています)が濡れていたのは、ミレが食事をしたファーストフード店で傘を忘れたからだと後から気付く。しかし、どうやってでっかい男を天井裏に隠したのかは不明。死後硬直する前に天井裏に突っ込んだんでしょうか?
・刑事が恋愛感情じゃなく、ミレにすごく同情的だったのもなんだか頷けるほど気の毒な話。美人で高学歴で海外育ちで気が利いて(出勤中に買ってきた花を会社に飾る)という設定なのですが、ミレも自信がなさそうなだけで、仕事ができないタイプじゃない。ただ、物凄く疲れているだけ、という感じがした。
・キム課長がなんで家族を殺したのかはよくわかりませんでしたが(クビになったから??)、ウォンソクがすんなり犯人扱いされた理由もよくわからない。ホン代理を殺害した後、そこら中にヒールで足跡残してましたけど……と、謎は多いものの、私はこの映画好きです。