「フィアー・ザ・ウォーキング・デッド」シーズン1・第3話のネタバレ

Fear the Walking Dead

第3話「犬」(The Dog)のネタバレ

暴徒で溢れる通りを覗いているクリス。群衆のなかにゾンビを見かけ、父に訴えるクリスだが、相手にされない。むしろ、通りを覗くなと言われてしまう。

アリシアとマディソンは、向かいの家を気にしている。不審な物音が聞こえてくるからだ。ニックはもっと薬が必要だ(中毒から立ち直るにしても、ある程度は投与しながら徐々に量を減らすしかないから)と主張するが、マディソンはどうにもできない。
トラヴィスが帰ってくるまで、家族は待機するしかない。
「帰ってきて」
とマディソンは願う。

トラヴィスが隠れている理髪店の隣店に暴徒が押し入っている。理髪店には押し入らないはずだというトラヴィス。「クシしかとるものがないから」と皮肉る。クリスは理髪用のカミソリをいじっていて、店主のダニエルに咎められる。警察は来ないし、暴徒はますます勢いを増す。
トラヴィスとダニエルは、どうしたらいいのかを考えるが「逃げる。てんでんばらばらに」と提案するダニエルに、トラヴィスも呆気にとられる。
だが、理髪店の壁が徐々に熱くなってくる。隣の店が放火されたのか。彼らは慌てて、逃げ出す準備をする。ドアを開けた瞬間、暴徒たちが中に押し入る。彼らはあっという間に店をめちゃくちゃにする。ダニエルは悔しそうだが、妻のグリセルダに腕を引かれて脱出する。

トラヴィスたちは、改めてゾンビが警官を食べているのを目の当たりにする。ニックは驚くし、あたりはパニックだ。だが、ゾンビに気付いていないものが大半だ。警官隊が出動するが、若者たちは一歩も引かない。

自宅のマディソンはアリソンやニックと共に、モノポリーを始める。

トラヴィスたちは暴れる若者たちの間を必死ですり抜けている。だが、ダニエルの妻のグリセルダが、警察の放水の煽りで倒れたバリケードの下敷きになり、足を怪我してしまう。看護学生のライザが必死に面倒を見ながら、トラヴィスの運転で彼らはようやく街を抜け出す。やはり、グリセルダのケガはひどい。

平和にモノポリーを楽しんでいるマディソンたち。久しぶりの家族の団欒だ。だが、やはり何かの音がする。マディソンはゲームをする手を止める。

グリセルダのために病院に向かうトラヴィスたちだが、立ち入り禁止になっている。一世に逃げている人たち。何かが中にいるらしい。ゾンビらしき人間を撃っている警察が見える。叫び声がこだまする。トラヴィスたちは、銃撃戦が続く病院の前の通りを抜けていく。
他の病院に行こうとするトラヴィスだが、おそらく同じ状況だろうというダニエル。ダニエルはトラヴィスとマディソンの家についていくといい、そこで電話を借りて、いとこを呼ぶというのだ。高台を走る車だが、街の電気が次々と消えていくのが見える。あっという間に真っ暗になっていく都市を見て、ニックは思わず「父さん」と呟く。

マディソンの家も、停電になっている。ニックはトラヴィスを見捨てて逃げるべきだ、そもそもトラヴィスは元妻たちと一緒にいるんだからと主張する。しかし、物音で喧嘩は中断される。向かいの家から、やはり音が聞こえてくるのだ。
ニックはアリシアにも真実を言う(ゾンビがいることを教えるべきだ)と言うが、マディソンは隠しておきたいと思っている。
物音の正体は、犬だった。犬を家に招き入れるニックだが、犬が血まみれなことに気が付く(犬の血ではない)。さらに、家に入れた犬は何かに吠えている。ニックは通りを見るが、隣家の男・ピーターがゾンビ化してこちらを見ていることを理解する。

別の隣人に銃を借りに行くことにするニック。裏庭を越えていく。マディソンとアリシアもついていく。壁を越え、家に侵入するニック。鍵の隠し場所を知っている息子を見て、マディソンは顔をしかめる。住人たちは返事をしない。出かけているのだろうか。ニックは勝手に銃を捜す。一度電気が復旧するが、またすぐ消えてしまう。

ニックは銃を見つけるが、弾がない。マディソンはそれを手伝う。アリシアはリビングで待っている。マディソンは弾を発見して、ニックとそれを持つ準備をする。
アリシアは、自宅にピーターが入っていくのを目撃する。マディソンは銃に弾をこめる。ゾンビがリビングで犬を殺している音が聞こえている。マディソンは今いる家で待機しようとするが、そこにトラヴィスが帰ってきてしまう。慌てて戻るマディソン。

トラヴィスは既に家の中に戻っている。ライザとクリスも家に入ってきた。マディソンたちは大慌てで走っている。
と、トラヴィスはリビングで誰かを見つける。それは、しゃがみこんで何かをしている。犬を食べているのだ。ゾンビに気付かれ、説得しようとするトラヴィスだが、組み敷かれてしまう。

マディソンたちは大慌てで家に戻ろうとするが、予備の弾を忘れたアリシアは、1人だけこっそり戻る。アリシアは落としていた弾を拾い集めるが、ふとピアノの上に置かれた空っぽの薬のボトルに気が付く。そして何かかが廊下の奥に立っていることに気が付く。その足は、明らかに生きている人間のものではない。

トラヴィスのところに戻ってきたマディソンだが、トラヴィスはピーターを撃たないように命じる。まごまごするマディソンの銃を取り上げ、ダニエルが発砲する。だが、ピーターは撃たれても死なない。ダニエルは冷静に、銃口をゾンビの頭に突き付けて、そのままもう一度撃つ。ダニエルはマディソンに銃を返す。トラヴィスは驚いて「何をした」とつぶやく。

アリシアはその時、ゾンビに追われている。ゾンビ化していた隣人・スーザンに、フェンス越しに襲われているアリシア。クリスはアリシアを助けようとするが、逆に殴られ、不機嫌になってその場を去る。ニックの目の前で息子にくってかかられたトラヴィスは、気まずさを隠せない。

スーザンは病気じゃない。死んでいる。
そのことをニックが口にすると、アリシアはマットのことが途端に気にかかる。
「彼は違う、マットは絶対違うわ」
アリシアはパニックになっている。
「なんであんなこと言った」
「本当のことだ」
ニックは悪びれない。

クリスは鼻血を出している。トラヴィスは反抗的な息子の鼻を元の位置に戻してやる(折れてはいなかった)。
クリスはトラヴィスに、ピーターやスーザンの変化について質問する。
「病気だ」
「僕たちも?」
「俺達は―大丈夫だ。分かったな?」
クリスは頷く。そして彼らもリビングに戻る。

リビングに戻るトラヴィス。ダニエルたちは翌朝、いとこたちが迎えに来るという。マディソンやアリシアはすぐに出発して砂漠に逃げるべきだと言うが、トラヴィスは明朝まで待つべきだという。元妻のライザが口を挟もうとしても、マディソンははねのける。
ライザ自身は、ドラッグ中毒のニックに悪印象を持っているようだ。

トラヴィスはピーターの死体を外に引きずり出す。ダニエルは死体を燃やすべきだというが(感染病かもしれないから)、彼はその必要がないと思う。友人の死体を複雑な目で見ているトラヴィスを、遠回しにダニエルが慰める。

ライザはトラヴィスの言うことをようやく信じたようだ。死人が蘇ってきているのだと、彼女も理解している。彼らは隣り合わせになり、手を洗う。トラヴィスはライザに感謝している。グリセルダの看護をしてくれていたからだ。ライザは医大を出て医師になっておけばグリセルダを救えたのに、と後悔している。グリセルダの容体はあまり良くない。このままだと、足が壊死し、容体ももっと悪くなるだろう。トラヴィスは彼女をフォローしようとするが、逆にイライラさせてしまう。

ダニエルの娘・オフィリアはトラヴィスたちと協力するべきだ、助けを求めるべきだと主張するが、ダニエルは借りを作りたくないと主張している。

トラヴィスはマディソンに対して、勝手にダニエルを連れ帰ったこと(さらに、ピーターをダニエルが射殺したこと)を謝る。だが、マディソンはそれを気にしているわけではない。グリセルダにニックの薬を分けることを決め、2人はハグをする。
「もう会えないかと」
「いいや、そばにいるよ。ずっと一緒だ。もう離れない」

ライザは、眠れないマディソンに声をかける。彼女はマディソンに、子どもたちのために助け合いたいと持ち掛ける。だが、マディソンが気にしているのはスーザンだ。彼女はマディソンの良き友人であり、子どもたちのベビーシッターでもあった。マディソンは、もし自分がスーザンのようになったら自分を始末してほしいと頼む。トラヴィスには耐えられないだろうから、というのだ。ライザは何かをぐっと飲み込んだような複雑な顔をして去っていく。

翌朝、トラヴィスはピーターの死体を埋めている。唸るスーザンに「おはよう」と挨拶するトラヴィス。血の付いた毛布(カーペット?)を捨てる彼だが、近所の住人のマッチョな男と目が合い、気まずそうに去る(彼もゴミを捨てていた)。

ダニエルはクリスに、散弾銃のことについて教えている。銃弾の違いについても丁寧に教え、それを彼に手渡す。トラヴィスはそれを見咎め、クリスを準備に追いたてる。彼は銃が嫌いなのだ。だが、ダニエルやマディソンは、クリスたちが銃について知っておくべきだと思っている。
「あとひとつ、やることが」
マディソンは裏庭に向かう。

マディソンは、スーザンと対峙している。鉄のハンマーを持って。トラヴィスがそこにやってくる。
「マディ」
「ご主人はどこかしら。ゆうべ私がこうなっていたら?あなたなら……」
「君は無事だった」
「パトリックは死んだ?家を出てそのまま帰らなかったら……」
「彼女は何?」
「スーザンだ。友達だろ」
「だからよ。死んでる、わかる」
「謎だらけだ、治る可能性があるかも。決めつけるな。後悔する前に渡すんだ。マディソン」
マディソンは、トラヴィスにしぶしぶ武器を渡す。
ダニエルはその光景を覗きながら「甘いな」と呟いている。

車に乗り込んだニックはマディソンに薬をもっとくれとねだる。薬はさほどない。グリセルダに分けたのだ。ニックは赤の他人に薬を分けた母を責める。
「母さんより、薬がいるんだ」
ニックは母と目を合わせない。

ダニエルは家族のもとに戻ってくる。オフェリアはトラヴィスやマディソンたちと一緒に行くべきだと主張するが、ダニエルはまだ反対している。ダニエルは医者を頼もうとしているが、医者なんて来ないと娘は主張する。トラヴィスはいい人だと主張するオフェリアだが、「いい奴から先に死んでいく」というダニエル。夫婦は頑なに態度を変えない。

マディソンたちは出ていく準備をするが、空にはヘリが飛んでおり、不穏な感じだ。彼らは車で出ていく。向かいの家の庭に残された誕生日用の遊具には、血がべっとりとついている。だが、マディソンはふと何かに気が付く。スーザンの夫のパトリックが帰宅したのだ。彼女は、パトリックを止めようと車の向きを変える。
パトリックはマディソンが制止する前に、スーザンに抱きつこうとして、噛まれそうになる。だが、そのスーザンを軍の兵士たちが撃ち抜く!パトリックは泣き出し、マディソンたちも軍に拘束される。

向かいの家から、死体が運ばれていくのが見える。軍は彼らに、家から外に出ないように指示している。
マディソンはパトリックの居場所を軍の兵士たちに尋ねる。
「パトリックをどこへ?」
「感染者の血を浴びた」
「妻の血よ」
「もう妻じゃない」
「血液から移るの?」
兵士は答えず、質問を返す。
「家族に接触者は?」
「いません」
「あれは?」
ピーターを埋めた跡について尋ねられるマディソン。
「愛犬の墓」
「お気の毒です」
マディソンは上手にごまかした。

ニックは、誰かの家の周辺をグルグル見て回っている。と、何かに気付くニック。向かいの家から、少女が見ていた。人形の手を振って微笑む少女に、ニックも笑う。彼はその家から離れるしかない。空を、炎上した飛行機が突っ切っていくのが見える。

「軍が来てくれた、もう大丈夫だよ」とマディソンを励ますトラヴィス。トラックには、たくさんの死体が積まれているのが見える。

アリシアの部屋で寝ているグリセルダは具合が悪そうだ。外を見ていたダニエルは妻を振り返り、こう言う。
「もう手遅れだ」

感想

・正式には「ウォーカー」なのですが、誰もその名称で呼んでないから「ゾンビでいいや」という気持ちになりました。
・スーザンとパトリックはアジア人夫婦なのですが、申し訳程度に出てきましたね。とかいえ、「ウォーキング・デッド」シリーズでは。トラヴィスとクリスは初のインド系キャラであります。
・犬、かわいそう。でも、「ウォーキング・デッド」の世界観では、たしか犬とか鳥も感染していたような記憶があるので、ドラマ的にはこれでよかったのか。しかしドーベルマンはかわいいなあ。
・マディソンとライザのバチバチ感がすごいですが、ライザはさほど気にしていないけれど、マディソンが敵意あるなあという感じ。
・ニックは親には取り繕っていますが、やっぱり中毒から抜け出せていない感じ。そういえば「ゾンビ」だったかな?ロメロ監督の映画のどれかに、注射刺さったままのドラッグ中毒者ゾンビが登場していたことを思い出しました。
・役に立たない軍隊も登場。「28日後…」的な展開がありそうとしか思えないっス。