「メキシコ・オブ・デス」

mexicoofdeath

2015年のメキシコ映画「メキシコ・オブ・デス」を見ました。「ABC・オブ・デス」シリーズに似せたパッケージが特徴的であります。
・短編集
・メキシコのことがずらずら描かれているホラーが多め
・タイトルは終わった後に出るスタイル。けっこうユニークな内容が多くて面白いです。

ネタバレ

1つ目のエピソード

戦士は人間の血を神に捧げるという。アステカ族はこの儀式を続け、麻薬の売人へと引き継がれた。

駆け出しの記者が、麻薬カルテルの構成員とモーテルで持ち合わせしている。彼は若者の失踪事件について調べている。
構成員はプールサイドで彼をもあっている。ボイスレコーダーを取り上げられる記者。なぜか2人でビールを飲む。「お前は殺されるんだ」という構成員。
そもそものきっかけは、儀式をするために「ワシ騎士」に連絡したのが始まりだったという。
※すみません、私も意味がよくわかりません。

どこかでズンドコ踊っている若者たち。そこに、マスクマンたちが乱入してくる。男はナイフを舐めて威圧する。

構成員は、敵対する勢力の子どもたちをさらっていたことを認める。
出かける2人。ある場所のシャッターを上げた記者は吐き戻す。そこには、何段にもつまれた棒に、それぞれ若者たちの頭が刺さっているのが見える(イメージ的には西洋のそろばんみたいな感じ)。

「メキシコは恐怖に支配された国。今もない……」

『生贄の祭壇』(トンカチで誰かの体を叩いているCGシーンと共にタイトルが出る)

2つ目のエピソード。

ホセがケガをしている友人・マルティンを連れて、馬で走っている。廃墟の中に彼を運び込むホセ。でも、ここから出たいと感じている。ホセを急にハトが襲う。廃墟の中には、壁画に描かれている女がいる。
キスをしているマルティンと、突然現れた謎の美女。彼女は壁画の女にそっくりだ。女は馬を連れていこうとする。そして、ホセの首に縄がかかり、引きずられていく。だが、それは夢だった。
しかし女は現実世界にもいて、笑っている。唐突にセックスが始まり、女性のおまたをペロペロするホセ。だが、だんだんと顔が血まみれになっていく。
マルティンが動いているような気がするホセ。だが、帽子をとるとそれは女だ。上に飛びあがり、ギャーッと叫ぶ女。ホセは混乱する。すべての窓から同じ景色が見え、家が激しく回転しているように見える。すごい勢いで風が吹き付ける。男はグルグルと回転しているように見える。
次の瞬間、ホセは高い木に吊るされて死んでいる。

『ハラル・デ・ベリオ』(ドリルで皮膚を突き破っているCGシーンと共に)

3つ目のエピソード。

女の子がウロウロしている。彼女は散歩していると、埋められていた死体を見つける。その男が握っていたタバコを盗む女の子。
家でタバコを吸ってむせている少女だが、謎の女(ドール?クレイアニメ??)が現れて彼女を怒る。
「女キツネよ、姉の膣から経血を掻き出してこい」「12時間より遅れたら、お前の魂を尻から吸い出す」

少女は怖くなり、姉に薬を盛る。そして、命じられた作業を行う。だが、集めた血を運ぶ途中でずっこけて血をぶちまけてしまう。
姉は目を冷ますと、ずらされていた下着を上げ、妹を捜す。すると、部屋の中でシーツをかぶっているらしい妹を、パンイチの女が襲っている。女は歯を剥き出して姉をも威嚇する。

『排出』(注射をしているCGシーンと共に)

4つ目のエピソード。

昔の映画のような演出(フィルム風)と共に、セクシーな女の子が登場する。ガソリンスタンドでナンパされる女の子・バレリア。「水なんか飲むなよ、ミルクをやるぜ」とからかわれる。
彼女はボーイフレンドのハビエルと旅行中だ。「犯されそうになった」と怒りだす。
「代わりに人生で最高の夜にしてやるぜ」

彼らはコテージに到着する。2人だけしか客がいない。彼らは学校をさぼって旅行しているようだ。まずは話そう、と言いながらイチャイチャする2人。だが、何かを知っているらしいじいさんが現れ、遠回しに出て行くように勧める。窓を閉め、外に何も置くなとすら言う。誰かがハアハアと息を荒げながらその様子を見ている。

コンドームを準備しているハビエルくん。じいさんはまたやってきて邪魔をする。
バレリアはイチゴの香り付きの避妊具に「感染症になる」とブチギレる(どういう理屈?)。と、バレリアは外に子どもがいるように感じる。ドアを叩く音。しかし誰もいない。森に誰かいるのだろうか?ハビエルがじいさんと話している隙に、彼女は襲われる。トイレの窓から入ってくる何か。

バレリアは何かに襲われ、縛られ、脱がされているバレリア。彼女は何かに黄色のゲロを吐きかけられている。

じいさんはハビエルに、森にいる精霊について説明する。彼らは滞在する人間から何かを奪うのが習性なのだ。だが、バレリアを連れ去った精霊に「いつもはここまでしない」と驚く彼。精霊はバレリアから何を奪おうというのだろうか?

森の中を引きずられているバレリア。精霊の股間がアップになる。バレリアは白目を剥いて苦しんでいる(襲われている)。その後ろで、別の精霊が踊っている。性器を口にまで押しあてる精霊(なんなんだよコイツは)。

翌朝、バレリアは発見される。ぐったりしている彼女に、ハビエルは泣いて謝る。
だが次の瞬間、ハビエルは逮捕されている。バレリアは精神病院に入院しており、彼女のお腹は膨らんでいる。

『ささいなモノ』(フックでひっかけられている皮膚のCGシーンと共に)

5つ目のエピソード。

外を見ている女の子。彼女はマンションの窓から下を見ながら「お化け、お化け」と呟いている。彼女は母親の怒りのタネのようだ。出来の良い兄のマルコをかわいがり、妹のラウラに冷たく当たる母。
彼らは出かけるが、マンション棟の玄関にホームレスのペペという男がいる。ペペに「お化け!」というラウラ。彼女はペペを嫌っている。マルコはペペに親しげに振る舞い、飴すらもらっている。

だが、マルコが行方不明になる。ペペがさらったのだ。ペペはマルコを拘束して、腹を裂き、内臓を噛む。そして吐き出す。そしてそのまま、彼をバラバラにする。内臓をよりわけ、箱に詰めて病院に持っていくのだ。
※マルコは小学生なんですが……
マルコを探し続けている母。ラウラはやはり、マンションの下を身ながら「お化け……」と呟いている。

『大切なのは中身』(カッターで肌を切り裂いているCGシーンと共に)

6つ目のエピソード。

モノクロ。
川に浸かりながら、女の子が震えている。それを見つけてブン殴るおじさん。だが、女の子はボコり返す。壮絶な揉みあいの末、女の子はどこかに引きずられていく。そこには、たくさんの人形が吊るされている。小屋の中にはたくさんの少女もいる。人形を煮ているおじさん。
そこは「人形の島」(※メキシコに本当にある、人形がたくさん飾られている心霊スポット)。おじさんはそこに管理人だった。女性の観光客を迎えるために、彼は外に出て行く。

『人形』(キリ?が肌を突き破るCGシーンと共に)

7つ目のエピソード。

POV目線。
ウサギという男が、死体を安置所から運び出している。警備員を殺し、ある湖のほとりに死体を運んでいくウサギは、顔半分に焼けただれた痕がある(頭皮には影響なし)。

回想。ウサギは誰かの生首を投げつけられ、顔を焼かれている。

ウサギは燃える馬と人を目撃する。また、裸の女がこちらに近寄ってくるが、そのまま裏返しになって足が生え、クモになる妄想を見る。

ウサギは、死者をよみがえらせようとしている。蘇ってきた男に血を与え、ヘビから守るウサギ。

また妄想。ガイコツが馬に乗り、女性と子どもを捕まえていくのを見る。ウサギは発砲するが、それは夢だ。

男は生き返って、水を求める。そして泣きながらお礼を言う。
だが、ウサギは「俺のことを忘れたのか?」と呟く。2人には因縁があった(なお、この因縁のシーンが背景がもろCG。格ゲーのキャラ選択画面みたいなの)。泣きじゃくる男の頭を砕くウサギ。
「俺はお前の兄だ。お前の兄だぞ!」
ウサギは兄に、自分の妻と子を殺されたのだ。彼は兄を殺し、また生き返らせるための儀式を始める。

『7回の7倍までも』(丸型のノコギリ刃が皮膚を切り裂いていくCGシーンと共に)

8つ目のエピソード。

アメリカとメキシコの国境で、飴を売って生計を立ててきた女の子。
「いい?人生はクソよ。だからそれを上回るクソ女になるの」
母の言葉を信じ、女の子は成長して、ポールダンサーを擁する店のオーナーになっている。
遅刻した女子は躊躇なく手下にレイプさせるほどのクソババアになっている彼女。

店ではポールダンサーが踊り、ガイコツメイクで彼らを出迎える。この日は死者を祝う日なのだ。だが、客は女の子たちを蔑み、侮辱する。「ファッキンビッチ!」と笑う外国人もいる。

ステージでショーが始まる。だが、突然女の子たちが男たちを襲い出す!
・変態男の鼻に喰いつく
・エンピツで両目を刺す(「お前なんか地獄に落ちろ!」と日本語が登場!もしかしてここも吹き替え??)
・バットで日本人をボコボコにするアメリカ人
・個室にいる男と喧嘩になる女の子だが、フォロー役が男の首を鉄条網で絞める

阿鼻叫喚の中、女オーナーだけは穏やかに座っている。

「たとえるなら正義は、もっとも優しい愛人だろう。
でも復讐は、正真正銘の悪者だ」

『死者の日』(体に縄がくい込むCGシーンと共に)

ここでタイトル。上半身だけの男(骨や内臓が見えている)が吊るされていて、その体に焼きごてでタイトルが刻まれているようなCG。そのままエンディングです。

感想

・「死者の日」のビジュアルとかセリフがカッコイイ。日本人女子がメキシコで売春している可能性はあるものなのでしょうか。あってもなくても切ない話だ。
・「7回の7倍までも」も、藤子F先生のSFみたいで好き。殺すために生き返らせるという虚しさ、妄想のビジュアルも素晴らしい。ただ、CGだけはちとショボイのですが、それもまあ味なのかもしれません。
・「排出」もなかなか気持ち悪い。意味が分からなさ過ぎて。なんで死体からタバコ盗むんだろう?とは思いました。
・「大切なのは中身」は、さすがメキシコ。小学生を殺害する描写に規制がないのよね。まあ、小学生じゃなくて小さい大人です!って言い張ったのかもしれませんが……。
・あとは好みによるかもしれませんが、意欲作であることは事実。メキシコの心意気を感じました。