「ゾンビ伝説」

zonbidensetsu

1988年の「ゾンビ伝説」を見ました。アメリカ映画です。
・ゾンビ映画の礎となった作品のひとつ
・ゾンビについて調べるうち、トンデモナイことに巻き込まれていく主人公
・CGなし!特殊メイクと体当たり演技なのが逆に新しく感じる
あと、主人公がなかなかのクズです。

あらすじ

人類学者ウェード・デイヴィスがハイチに伝わる生ける屍ゾンビについて記したノンフィクション『蛇と虹』を「エルム街の悪夢」のW・クレイブンが映画化。ブードゥー教の秘術、死者を蘇らせる黒魔術の正体が人体を仮死化させる薬である事を突き止めたデイヴィスと、彼に迫る秘密警察。学術的なアプローチとスーパーナチュラルな画作りがうまく相まったホラー映画の佳作。
科学者デニスはゾンビの謎に迫るため、以前に麻薬の調査で訪れたハイチへ再びやって来た。彼は、女医マリエルと共にまずブードゥー教に関して調べ始め、夜にはブードゥーの神降臨たる儀式や踊りを見物する。明くる日、デニスは死から蘇ったという男を突き止め、彼からゾンビに関する有効なネタを手に入れた。そしてそのネタである、人をゾンビ化させる薬を探し求めるデニスだったが、彼がハイチに入国して以来、常にデニスへの監視を続けていた黒魔術師ぺイトロウ率いる秘密警察に捕らえられてしまう…。
http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=13358

ネタバレ

人は天地と大地の間で死ぬが、時として恐ろしい場所に落ちていく。
※なお、この話は実話をもとにしています。と説明が入ります。

1978年のハイチ。
病院で男が死に、埋葬されていく。「クリストフ!」彼の妹が泣いている。

1985年。
デニス・アランという青年が、ハイチの呪い師のもとを訪れている。奇妙な雰囲気に「たたりでもありそうだぜ」というアラン。彼は儀式で使われていた薬?のせいでハイになり、森に飛び出してヘビと戯れる。土の中に沈んでいく(なお、明らかにそう演技している)アランは、その沈んだ先で奈落の底に落ちそうになる!だが、それは彼の妄想だった。慌ててヘリに戻るが、運転手は死んでいる。

ひたすら逃げるアラン。車に乗っている男たちを見つけて助けを求めるが、笑われて去られてしまう。目の前には村があったからだ。アランは泣き笑いをする。彼は300キロ、アマゾンを歩いたのだ。アランは帰国する。

彼は祖国で、ゾンビ化現象を調べるように依頼される。7年前に死んだクリストフという男が生き返ったというのだ。死から蘇ることができる薬(麻薬)を入手して、製薬会社がそれを分析して販売しようというのだ。

アランはハイチにわたり、女医のマリエルに協力を仰ぐ。クリストフの妹は何も話さない。
ブードゥーの新刊であり、ナイトクラブも経営している(すごい設定)ルシエンのもとに、マリエルはアランを伴う。儀式のようなダンスを繰り広げる若者たち。ハイテンションになってしまった男がマリエルを殺そうとする。だが、彼女は何とか助かる。

クリストフの村を訪れるマリエルとアラン。墓泥棒と遭遇したり、棺桶の中に転がり落ちたりと踏んだり蹴ったりのアランだが、この件は嘘だと感じている
マリエルは「あなたは水上を歩ける超人だと聞いたけど、本当ね。あんたはクソよ!」と皮肉と罵声を浴びせる。

だが、クリストフと遭遇したアランたち。彼は霊界でムチ打たれ、魂を奪われてしまった。死にたくても死ねないのだ。彼はアランを拒否して、立ち去ってしまう。

アランが戻って来たら、ホテルの部屋はブタの血で血まみれだ。ブタの死体も掲げられている。

ゾンビは人の夢の中に入り込む力を持っている。それを利用している人間もいるのだ。
ルシエンに紹介されたモーツァルトという男は、商魂たくましい(意地汚い?)。彼は持っている謎の粉を使い、ゾンビを作ることができる。アランはその粉を持って帰りたい。
その薬を使えば、死んだヤギも蘇る。だが、アランはそれをトリックではないかと感じている。

ヤギが生き返るまで、ハイチの風習を体験するアラン。森の中に行き、ろうそくを灯してみんなで横になる。朝になったら、いい感じになっていたマリエルとセックスすらしてしまう。
クリストフは平凡な男で、小学校の教師だったことがマリエルの口から語られる。

アランはホテルに戻るが、そのまま秘密警察に呼ばれる。彼は言い訳を繰り返す。

モーツァルトのヤギは蘇っている。アランはゾンビの秘薬を酒に入れて飲んでしまう。それに周囲の人は驚くが、アランはモーツァルトは詐欺師で、マジックで謎の粉を入れ替えていたはずだと語る。

アランと秘密警察に捕まる。アランは拷問を受ける。素っ裸で縛られ、局部に何かをされて絶叫するアラン。解放された彼を、マリエルが看護する。どうやら警察は、彼を祖国に帰したいのだ。

アランは気が付けばブリーフのまま棺桶に入れられて埋葬されている。そしてその棺桶の中に血が溢れてくる。叫ぶアラン。
と、それは夢だ。

横に寝ているマリエルに「ここを出るんだ」と話しかけるアランだが、それは首を切られて死んでいる。しかも、それはクリストフの妹だ!そこに秘密警察が突入してくる。

秘密警察は帰国すれば女医の命は助けるが、拒否すれば殺すと脅す。マリエルはアランに帰国するように言う。
秘密警察のボス・ペイトロワはアランの夢の中に侵入してきては彼を苦しめている。

アランは飛行機に乗せられる。だが、そこにモーツァルトが空港スタッフに扮して現れて粉を渡す。代わりに金を要求されるが、アランは金を没収されてしまっている。その代わりに「自分の名を広めてくれ」というモーツァルト。しかし、ちゃっかり彼の時計ももらっていく。

祖国でアランはその粉の研究に参加する。その粉は新薬として姿を変え、「ゾンビノール」という名前で販売されるかもしれないところまできている。
ボスに家に招かれるアランだが、スープの中から出てきた手につかまれる。もちろん、手はスープのなかにゆるやかに消えていく。ボスの妻は突然ガラスのグラスを食べ、アランにナイフで襲いかかる。テーブルの上で暴れる妻、それを抑えるボス、そして震えるアラン。

アランは呪いを解くために、ハイチに戻る。彼はルシエンの呪いを解いてもらうように頼むが、やはり彼とモーツァルトの命は危ない。
モーツァルトは秘密警察に処刑される。アランからもらった時計をつけている手も、動きを止める。

アランはルシエンの館を後にするが、謎の男に粉(ゾンビの秘密の粉)を吹きかけられる。それを吸いこみ、フラフラするアラン。卒倒して、仮死状態になってしまう。
「埋めないでくれ、死んでない」
と言い残し、彼は息を引き取る。

秘密警察は何も知らないふりをして、彼の死体を見に来る。
マリエルは捕まり、儀式で彼女の首を捧げることになる。
アランはクモと一緒に埋葬されてしまう(生き返った時の嫌がらせ)。だが、それを助けてくれたのはクリストフだった。

しかも、このタイミングでハイチに革命が起きる。警察に人が押し寄せていくし、街中がパニックだ。アランは医者を助けに行く。
そこでペイトロワと対決するアラン。最初は劣勢だったが、ゾンビの魂?を閉じ込めたツボを割ることでペイトロワが弱体化することに気が付いたアランは、次々とツボを割る。

ペイトロワの体は燃え上がり、積み上げられた頭蓋骨の上で事切れる。そして、そのまま消えてなくなってしまう。

アランは最後に、拷問椅子を壊してここを出て行こうとする。
そこに、花嫁のゾンビが現れ(以前にも登場している)、アランにメッセージを送る。次の瞬間の黒焦げのペイトロワが部屋に飛び込んできて、また乱闘が始まる。だが、イスに座らされたペイトロワはそのまま床にめり込んでいき、異世界へと去ってしまう。

その後、ゾンビ薬の開発を進めた企業もあったが、やはりプロジェクトは成功しておらず、ゾンビは謎のままである。

感想

・アランが最初っからなかなかクズなので面白い。
・暴力、血、死のすべてがなまぐさく描かれている。スープから手が出てくるシーンは怖かった。最新作の「呪怨」でもあんなシーンがありましたが、なぜ30年前の映画の方が怖いのだろう。
・ハイチってこんな感じでしょ?ブードゥー教ってコエーよな、こんな感じでいいっしょ?みたいなノリで作られた映画。そもそも、秘密警察って人の家に突入する時、別に抵抗もしていないのに全ての窓をブチ割って入ってくるのか??
・夢のシーンとか、トリップ感とかは今見ても気持ちが悪いです。