「ウォーキング・デッド」シーズン6・第16話(最終話)のネタバレ

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第16話(最終話)「悪魔の口笛」

森の中、口笛が響く。
モーガンは森の中を歩き続けている。「お前は生きてる」という看板が彼の前に現れる。
馬を見つけるモーガン。
「やあ、いい子だ。大丈夫だ。心配ない、おいで」
馬を撫でながらモーガンは言う。
「お前は、生きてる」

馬の蹄の跡を踏んで進む男。キャロルの十字架を持っている。
(前話で、キャロルに襲撃されたうちの生き残り)
彼は何かを辿っているようだ。草についた痕を。

森の中を、血だらけの男が逃げている。また口笛が響いている。

カールとイーニッドが武器庫に入ってくる。
「マギーと一緒にいたい」
「ダメだ」
「カール」
「君は間違っていた、ここは守れる。君が残って守れ」
「みんな訓練を受けて準備できてる。あなたも行くでしょ」
「ヒルトップに着くまで、何が起きるか……」

森の中を逃げ続ける男。男たちに囲まれ、逃げ場がない。その光景にカールの声がかぶさる。
「救世主が潜んでる。デニースが殺され、マギーとキャロルは捕らわれた。ダリルやロジータ、ユージーンも。君をそんな目に遭わせない」

リックはキャンピングカーに荷物を積んでいる。
「容体は?」
エイブラハム、サシャ、ユージーンがやってくる。サシャがそう声をかけると、リックは立ち話を始める。
「悪化してる」
「移送は懸命だ」
「治療を受けられる」
「俺も付き添う」
エイブラハムが申し出る。
「奴らが現れるかも、彼女も行く」
「2人セットよ」
2人は車に乗り込むと、ユージーンも後ろからついてくる。
「私もセットだ」

銃に弾をこめているカール。
「奴らと遭遇したい?現れればいいと?マギーを医者に診せるのが目的でしょ!私も行く!」
「待ってくれ」
感情的になってきたイーニッドの前に立ち塞がるカール。

「その体で長旅は……」
ユージーンに残るように言うリック。
「ただのかすり傷だ。銃弾の製造についても話したい」
「俺も説得したがムダだ」
エイブラハムがまた出てきて、リックに告げて去っていく(荷物を車に運んでいるようだ)。
「無理な要求じゃないはずだ。少しは役に立つ。今こそ力になりたい。止めないでくれ、必ず貢献するから」
ユージーンは車に乗り込んでしまう。

森の中で逃げていた男は、10人程度の男たちに囲まれている。彼は血まみれだ。
「その顔は何だ。俺たちを責めるな。お前たちにルールを教えてやった。それなのに、背くからだろ?見せしめに1人殺したところで、終わりにできた。だがお前たちは聞く耳を持たず、俺たちに刃向かった。だからこうなるんだ」
リーダー格の男が、血まみれの男にさらに殴りかかる!

「どいて、カール」
イーニッドはカールに怒る。カールは諦める。
「クローゼットから銃を!急げ、行くぞ!」
イーニッドはクローゼットに走るが、彼に閉じ込められてしまう。

「頼む、やめろ!よせ!やめてくれ!」
森の中の男はタコ殴りにされる。

カールの名前を呼びながら、イーニッドは語りかける。
「戻らなかったら?私はどうすればいいの?」
「何とか生き延びろ」
カールはクローゼットにイーニッドを閉じ込めたまま、出て行ってしまう。

「ここがバレてるから、ユージーンは捕らわれた」
アーロンに話しているリック。
「君は連れていかない」
「また顔を殴り縛らない限り、僕は止められない」
リックは肩をすくめ、乗車を許す。カールも後ろからやってきて、車に乗り込む。
神父もリックのそばにやってきて、相談する。その後ろにはスペンサーもいる。
「24時間体制で監視台に立つ。全員、準備万端だ。襲撃された際の避難方法や集合場所も心得てる。緊急事態には、ジュディスが最優先だ。
失望させない。私が防御の指揮を執っても?」
「ああ」
「リック。救世主が現れたとして、もし手遅れでなければ交渉してみるべきか?」
スペンサーが質問する。
「待たせておけ。俺が交渉する。行くぞ」
車が外へ出ていく。扉が閉まり、監視台の上にいる神父が外を見つめる。

モーガンは馬に乗って移動している。柵のそばでは、ウォーカーたちが死んでいる。ふと、家のそばにしゃがみこんでいる人物に気が付いたモーガン。キャロルだ。
「キャロル」
彼女は顔を上げて驚く。
「追うなと言ったのに」
「今後は言うことを聞く。見せてみろ」
一度ニッコリ笑ってから、彼女の様子を調べるモーガン。

森の中では、男たちが血まみれの男を引きずっている。道路まで戻ってきた彼らは、車の前で立ち止まる。
「何をする」
「お前を見せしめにしようと思ってな」
「誰に?図書館の人間なら全員死んだ」
キックするリーダー格の男。血まみれの男は苦しがる。
男たちは何かを待っている。

道を走るキャンピングカー。枯れ葉が舞い上がる。
アーロンはマギーを見守っている。彼と入れ替わりでリックがやってくる。
「もう少しだ、ヒルトップの医師が助けてくれる」
マギーは浮かない顔をしている。
「本当に?」
「今までも、共に乗り越えた。今もこうして生きてる。皆一緒だったから生き延びられたんだ。俺が保証する。皆一緒なら、何だってできる」
マギーの髪を撫でるリック。それをカールも見守っている。

“公立図書館”で、モーガンはキャロルの手当てをしている。物音が聞こえてきて、振り返るモーガン。
「ウォーカーよ。倒したいけど、血を流すのに忙しくて」
「傷を縫ったほうがいい。感染症予防に抗生剤も必要だ」
キャロルは嫌そうな顔をしている。
「数時間で日没だ。ここで一晩こらえ、夜明けに戻るんだ。手当てする。いいな」
「イヤよ」
キャロルは拒否する。

リックはマギーに(痛み止めの)酒を飲ませている。エイブラハムが運転して、サシャが助手席だ。
「なんだ?」
彼らの進む道の先には、先般の森の中にいた一団がいる(血まみれの男も転がっている)。
「どうした?」
「敵だ」
リックも運転席にやってくる。
「戦うか?」
「いいや」
リックは、外に出る。ユージーンやアーロン、カール、サシャ、エイブラハムも続く。リックは手を上げ、銃の引き金から手を離す。リーダー格のヒゲ男が笑う。
「こいつの仲間は聞き分けがなかった」
「取引しよう。今すぐここで」
「そうだな、そうしよう。
すべて差し出せ。1人は殺すかもしれない。その後で取引しようじゃないか。俺たちに従うんだ」
リックは顔を歪める。
「その取引には応じない。そっちこそ、すべて差し出せ。そうすれば殺さない。これ以上、お前たちを」
男たちの仲間の1人が、血まみれの男にスプレーをかける。
リックは仲間を振り返る。
「悪いな。取引方法はひとつだ、交渉しない」
「俺たちは引き返す」
「いいだろう。道はたくさんあるからな」
「人生最後の日にしたいか?」
「いいや。だが、よくぞ言った。考えてみろ。お前にとって最後の日かも。愛する者の……最後の日なら?
車中の人を特に大事にしろよ。死ぬのは(「パチン」と指を鳴らして)一瞬だ。互いに優しくな。今日が、最後の日だと思え」
「そっちもな」
リックたちは車に乗り込む。リーダーのヒゲ男はリックたちにわざわざ手を振り、その直後に血まみれの男の腹部を再び蹴る。リックたちは車をバックして進路を変える。

車は停車している。キャンピングカーからウォーカーが見える。
カールはアーロンに尋ねる。
「なぜ街に残らなかったの?」
「彼女(マギー)に借りが。君はなぜ?」
「皆に借りが」
ユージーンは地図を見ている。抜け道を捜しているのだ。
「ログラン通りだ」
「視界は?」
「カントリークラブがあるし、傾斜で見通しがいい。奴らがいても、遠くから見える。遠回りにはなるが、視界が開けてて安全だ」
「間違いない?」
サシャはユージーンと向かい合って談義している。
「誓って」
「決まったか?行こう」
リックがエイブラハムに指示を出す。車は走り出す。

キャロルを見守っているモーガン。
「俺だけじゃない。リックも捜してた。ダリルは他の者も……捜したはずだ。町にいなかったが」
「いなかったって?」
「すぐ戻るさ。もう戻って心配してるかも」
「本気じゃないとでも?あなたに説得されて戻ると思う?」
「君の仲間たちは……君が大事だ」
「わかってる。私も大事だから戻れない」
「大事なら戻れ」
「まだ分からないの?あんなことがあったのに。
守りたい人がいる限り、誰かを殺さなきゃいけない。殺したくないなら……殺せないなら― 彼らといられない。両方は望めないと分かってるはずよ」
「人間を信じてる。すべての命に価値があるんだ。君1人では、死んでしまう」
「死なせて。いいから行って」
「置いてかない」
キャロルは銃を取り出して、モーガンに向ける。
「行けと言ってるの」
だが、それを下ろして思わず笑う。動かないモーガンに苛立ちすぎて笑っているのだ。
「行ってよ」
モーガンは何も返さない。
「もし誰かを大事に思うなら、代償を払わなきゃいけない。私にはもう無理」
そしてキャロルは立ち去る。まだ、外からは物音が聞こえている。

エイブラハムは車を走らせる。
「できるか?」
「何を?」
「グレンとマギーがしてることさ。お前ならできるか?大それたことだが、それが人生なら」
「あなたは?」
サシャに聞かれて、エイブラハムは即答する。
「ああ。できる」
彼の横顔越しに、夕暮れが見える。
「できるよ」
サシャはそれを見て、わずかに微笑む。
「そう伝えとく」
また道路の前にたくさんの男たちがいるのが見える。車が何台も止まっている。キャンピングカーは停車する。
「わからせる?」
「ああ、終わりにしよう」
サシャの言葉にカールがそう返すが、リックは反対する。
「今はやめておこう。待ち伏せされてた。1人車に残ったら、5人対16人だ。俺たちに有利なように動く。そうだろ?」
「ああ」
カールは答える。
「ゆっくりだ」
車はゆっくりとバックする。男たちのリーダー格は、天に向けて発砲している。彼らの車はまた別のルートを行くしかない。

モーガンは外に出ている。物音の主を捜しに出たのだ。建物の脇の鉄塔には、首吊り死体がウォーカーと化してもがいている。そして、その声につられたのか、ウォーカーたちが柵の外に集まってきている。モーガンはウォーカーが吊られている鉄塔を登り、ウォーカーを始末する。そして、縄を切ってその死体を落とす。彼が建物の中に戻ると、キャロルはいない。
「キャロル?キャロル?キャロル??」
キャロルは姿を消してしまった。彼は馬に乗り、走る。

キャンピングカーは別の道をひた走る。
「ガソリンは?」
「半分だ、まだ予備がある」
「最初の奴らと違った」
サシャはリックに話しかける。
「服装は同じだった。数がいる」
エイブラハムもリックに囁く。
「マギーをヒルトップへ」
「必ずね」
「奴ら全員を殺す覚悟だ」
サシャとエイブラハムも意志が固い。と、また車が止まる。また、待ち伏せだ。
「突破できない。車を危険にさらす。エイブラハムは車で待機だ。一掃する」
ウォーカーたちが道を塞いでいる。彼らは鎖で縛られており、道を塞ぐように立たされている。
「花いちもんめをさせるには― 大勢必要だ」
ユージーンが呟く。ウォーカー同士をつなぐ鎖は、彼らの体に固定されている。
「やるぞ」
「パパ」
「ミショーンのだ」
リックが見ると、女性のウォーカーにミショーンの革のベストが着せられている。その額からは、彼女のトレードマークのドレッドヘアーが数束、直接埋め込まれて生えている。
「ダリルのよ」
ダリルのボウガンが刺さっているウォーカーも見える。ウォーカーから、ミショーンの毛束を引き抜くリック。とどめを差そうとするが、彼らは狙撃される!
「車に戻れ、早く!」
リックはウォーカーの腕を切り、道を作る。狙撃手たちに撃ち返すサシャたち。キャンピングカーは突破した道を走り出す。ヒルトップに向かって。

ミショーンの毛束を持ち、呆然としているリック。奇妙な音が車の中に響く。
「何の音?」
「車台か変速機が撃たれたのかも」
「足元を撃ってきた。止めるフリだけで、こっちに向かわせたんだ」
「北へ進むとバレてる」
「いったん東へ向かい、北を目指す」
「もう1回給油したら、予備もなくなる」
サシャとユージーンは素早く相談する。
「高熱だ」
アーロンも出てくる。マギーはかなり状態が悪い。リックは頭を抱えている。キャンピングカーの横にも、大きな穴がいくつも開いているのが見える。
間が悪いことに道の先には、さらにたくさんの男たちがいるのが見える。数十人の男が道路を塞いでいるのだ。
「戻れ」
「どこへ?」
エイブラハムはそうリックに返す。

モーガンはウォーカーの死体を見つける。頭を割られている死体のそばには、キャロルが持っていた十字架が落ちている。彼はまた、馬を走らせる。

キャロルは腹を抑えながら歩き続けている。倉庫のような場所に入っていくと、ウォーカーがいるのがわかる。その場にいたウォーカーを閉じ込めることに成功したが、その背後から新しいウォーカーが現れる!キャロルは女ウォーカーの髪の毛をつかんで引っ張るが、逆に皮膚が剥がれていく。なんとかウォーカーを倒すが、今度は別の人物が彼女にタックルする。キャロルの十字架を持って、追いかけていた男だ。
銃で狙われるキャロル。
「動くな」
ナイフを取り落とした彼女は、そのまま動けない。
「息をするのもつらい。俺は長くないだろう。残りを楽しむぜ。こうしよう。お前が死んでいくのを眺めてやる。ゆっくりだ。俺の仲間のようにな。覚悟しろよ。俺の勝ちだ、クソ女」
男はキャロルの右腕を撃つ!苦しむキャロル。
「どうだ、楽しくなってきただろう?」

マギーはかなり顔色が悪い。リックはそのマギーのそばで、囁いている。
「近い?」
「ああ、もうすぐだ」
「でも……銃声が」
「救世主が現れたが、もういない。必ず連れていくからな」
「分かってる」
「君は大丈夫だ。赤ん坊も、これで終わりじゃない。先がある。必ずあるから」
「あなたを信じてる」
リックは涙を浮かべている。

キャロルは薄く笑う。
「何を笑ってる。変になったか」
「私は何も変じゃない。死ぬんだから。もう何も変じゃない」
男は戸惑った後、顔を歪めて笑い、キャロルの右太ももを撃つ。またキャロルは悶える。
「充分苦しんだとでも?」
「いいえ、たぶんまだね。ああ、神様……」
男は絶句して、キャロルから離れていく。
「もう終わり?今殺さないと死なないわよ。自分で決めて。決めるのは世界じゃなくて自分よ。逃げたら、望むものは手に入らない」
この言葉を聞いて、男は戻ってくる。
「止まれ」
そこにはモーガンが立っている。
「銃を捨てろ。死なずに済む。生きられる。捨てろ。頼む」
「断る」
男を、モーガンは撃つ!何度も、何度も。そして彼はキャロルを助ける。
「お願いだから放っておいてよ」
「戻ってくれ。元の君に戻るんだ」
振り返ると、防具をつけた青年が立っている。
(前話でリックが殺そうとしたところを、モーガンが助けた青年。彼が馬の持ち主でもある)。
「何があった?」
その後ろには、もう1人、馬に乗っている青年(ヤリを持っている)もいる。だが、彼らは危害を加えようとはしない。
「馬を見つけた。彼女は友人だ。助けが必要だ」
青年たちは目くばせをする。
「俺たちが助ける」
モーガンと青年はがっちりと握手する。

リックたちは車を降りる。道の先には、大量の木が積まれている。
「これを見ると、彼らには装備も能力もある」
「つまり俺達は、首まで水に浸かり、口を開けてる状況だ」
ユージーンの言葉にエイブラハムが応える。と、立体交差している上の道路から、男が落ちてくる!彼は鎖で首をつながれているようだ。首吊り状態になる男。アーロンは銃で鎖を撃とうとするが、リックが止める。
「よせ」
「鎖を切断する」
「ムダだ」
「試す」
「ムダだ。弾を節約しろ」
アーロンは、それを聞いて銃を下ろす。サシャはむごさに顔をゆがませる。アーロンもだ。
吊られているのは、先ほど男に殴られ続けて血まみれになっていた男だ。彼のシャツには、スプレーで×が描かれている。男は歯を折られてしまったのか、前歯がまったくない。
また、彼らの前方にある木には火が放たれている。
「互いに優しくしたか?人生最後の日だ。誰かが死ぬ。行け、熱いぞ。目的地へ向かえ」
ヒゲ男が囃し立てる声がする。
「車に戻れ」
彼らは車に乗り込む。
「急げ」
車はバックしていく。木は燃えさかり、男はそのままぶら下がっている。

停車して、話し合っているリックたち。
「どうする?」
「医者が必要だ」
「道はあと2つ」
「奴らがいるだろう」
「前と後ろで待ち受けてる。奴らが待っているのは、このオンボロ車だ。誰が乗ってるかは、彼らには分からない。日も暮れる」
ユージーンの言葉にエイブラハムは大きく頷き、リックを見る。

ユージーンはリックに指示されている。
「これで最後だ。給油できそうなとき以外は進み続けるんだぞ」
「ハメられたフリをする。曲がったり戻ったりして、奴らを引きつける。信用してくれ」
彼は囮になり、キャンピングカーを運転するようだ。ユージーンはリックにメモを差し出す。
「渡すものが。レシピだ。ガスパチョではない。弾の製造方法だ。エイブラハムが場所を知ってる」
「本当にありがとう。何もかも。俺たちは幸運だ」
「それは否定しない」
リックは去り、代わりにエイブラハムがやってくる。
「ペダルを踏み続けろ、決して止まるな」
「私に運転させなかった」
ユージーンは突然、エイブラハムに恨み言を述べる。
「(運転)できないかと……俺が間違ってた。生きる力がある。今までも、知らなかった。俺もお前も」
エイブラハムが手を差し出すが、ユージーンは彼に抱きつく。エイブラハムも彼をハグする。
その間、車からは担架に乗ったマギーが運び出される。
「ありがとう」
ユージーンに囁くマギー。他の者が彼女を運び出した後で、彼だけは車に乗り、運転席に座る。大きく息をして、微笑みながらユージーンはエンジンをかける。

木の枝が刺さっているウォーカーを、カールが倒す。その後を素早く担架が追いかける。
「アーロン、お願い。歩かせて」
マギーは息も絶え絶えだ。
「いいんだ。もうすぐさ」
「マギーに言ってたよね。なんだってできるって。すべきことをする。今までも、これからも。デニースみたいな死に方は、二度と許さない」
「カール」
「何?」
そこに、口笛が聞こえてくる。彼らは囲まれていたのだ。既に。
「走るぞ!」
しつこく響く口笛。彼らは走り続ける。だが突然、彼らは光に照らされる!
そこには、たくさんの男たちがいる。そして、男たちの吹く口笛が共鳴している。戸惑うリックたち。男たちは口笛を吹き続ける。表情ひとつ変えずに。
彼らの奥には、キャンピングカーが停車しているのも見える。そして、捕まっているユージーンの姿もある。
「よかった、到着だ。目的地へようこそ」
血まみれの男を虐待し続けていたヒゲ男が姿を現す。
「銃を渡せ。今すぐ」
「話を……」
「話は終わりだ。言うことを聞け」
彼らは銃を奪われる。カールの銃を見つめながら、彼に話しかけるヒゲ男。
「お前のだな?ああ、お前のだ」
(この銃は、もともとは彼らの持ち物のようだ)
カールのかぶっている帽子をピンとはじくヒゲ男。
「よし、女を下ろして跪け。はじめよう」
「やめろ。自分でやる」
「ああ、そうしろ」
エイブラハムの言葉に、男たちはまた距離をとる。マギーの担架をそっと下ろして、彼女を男の前に連れていく。そこにユージーンも連れてこられる。
「跪くんだ」
リックは周囲を見渡し、カールと目線を合わせる。そして、全員が膝をつけて座る。リックは震えている。

「他の奴らも出すんだ」
暗がりのなかで、ヒゲ男の声が聞こえてくる(冒頭から何度も繰り返される、暗闇の中に差しこむ光のシーンは、閉じ込められた箱の中の風景だったようだ)
「ドワイト、早くしろ」
ドワイトは閉じ込められていた檻(車の後部座席?)から、ダリルたちを引きずり出す。ダリルは血まみれだ。片腕を撃たれているのかもしれない。
「再会だ」
そこにはミショーンやグレン、ロジータもいる。グレンはそこにいる妻の姿を見て駆け寄ろうとするが首元を掴まれる。
「マギー!」
「跪け」
「よし、全員集合だ。紹介しよう」
キャンピングカーから男が出てくる。革ジャンを着こみ、鉄条網を巻いたバッドを持っている。この男が、皆が捜していたニーガンだ。
「ちびったか?もうすぐその時がやってくる」
彼は楽しげにリックたちの前を闊歩する。
「ションベンの街ができる。どいつがリーダーだ?」
「そこに。その男だ」
リックの前にくる男。
「やあ、リックだな。ニーガンだ。
よくも部下たちを殺してくれたな。お前が殺そうと送った部下たちも、お前に殺された。よくないね。よくない。どのくらいよくないか、分かっていないようだな。だが、すぐに分かるようになる。逆らったことを後悔する。必ずだ。
何をするにせよ、世界秩序を乱すべきじゃない。新たな世界秩序は簡単だ。もしお前がバカだとしても、理解できる。いいか?よく聞いとけ。
俺に従え、さもないと殺す。今日は良く学んだろ?教えてやったんだ。これがどんな人間か、何ができるか。俺がボスだ。持ってるものを折れに渡せ。それが仕事だ。分かるよ。飲み込むのはつらい話だよな。だが飲み込め。必ず従うことになる。
お前が仕切り、何かを築いた。安全だと思ってたろ。だが残念だったな。お前たちは安全ではない。安全とは程遠い。俺の望みに従わなければ、お前は危険だ。
俺の望みは全ての半分。なければ作り、探し、盗め。そうすれば安泰だ。これが生きる方法だ。抵抗すればさらに厳しくなる。俺たちが扉を叩いたら、中に入れろ。扉も俺たちのものだ。止めようとするなら、叩き潰す。分かったか?」
大げさにリックの口元に耳を寄せるニーガン。
「何て?返事がない。罰を受けずに済むなんて思ってないよな。殺したくはない。理解させたいんだ。働いてほしいのに、死んじまったら働けないだろ。畑仕事は苦手でね。
お前たちは俺の部下を大勢殺した。許せない数だ。その報いを受けてもらう。それじゃ、お前たちの1人を叩きのめしてやる」
リックの前に、バッドを出す男。
「これは、“ルシール”だ。彼女は素晴らしい。今から誰か1人を選ぼうじゃないか。栄誉を受けるのは誰だ」
彼は全員をそれぞれ、じっくり観察する。彼の目を強く見返すエイブラハム。ニーガンは笑う。
「ヒゲをそらなきゃな」
ニーガンはカールの前に座りこむ。
「俺達の銃を奪った。銃を奪ったな。ガキめ。いい度胸だ。少しは泣けよ」
カールは怯えつつも表情を変えない。ニーガンはまた立ち上がる。今度はマギーの前に立つ。
「ひでえな、目も当てられない。苦痛から解放してやる」
「やめろ」
グレンが思わず立ち上がる。
「やめて」
マギーもグレンを守ろうと叫ぶ。ダリルのボウガンを突きつけられるグレン。
「よせ。列に戻せ」
「放せ、やめろ」
グレンは泣く。
「やめてくれ、やめろ」
ニーガンはニコニコする。
「よく聞け、今みたいなことは二度とするな。次は例外なくぶっ潰すからな。最初だけは許す。感情的になったんだよな」
マギーとグレンは涙ぐむ。リックは混乱している。
「最悪だろ、お前は何も知らなかった」
ニーガンはカールを見ている。
「お前のガキか?お前のガキだな」
リックは叫ぶ。
「やめてくれ!」
「未来の殺人者を殺させないでくれ。これじゃ簡単すぎる。誰かを選びたい。俺の“注文”を皆が待ってる」
ニーガンは歩き続ける。
「決められない。こうしよう」
彼は誰かを指して、その者を叩きのめすようだ。

「だ……(リックをバットで指す)
れ……(マギー)
に……(エイブラハム)
し……(ミショーン)
よ……(※誰を指したか不明)
う……(ダリル)
か……(※不明)
な……(サシャ)
か……(この時点でもサシャが映っている)
み……(アーロン)
さ……ま……(※2人指しているようだが不明)
の……(カール)
い……(バットのアップ、ミショーン)
う……(ユージーン、泣いているサシャ)
と……(ロジータ、アーロン、グレン)
お……(マギー、バットのアップ、ダリル、エイブラハム、カール、リック)
り……!」
誰が選ばれたのかわからない。その選ばれた人物の視点で、ニーガンが話しているのが見える。

「誰かが騒いだらガキのもう片方の目を親父に食わせてやる。息をしても、まばたきしても、泣いてもいい。全部やるだろうよ」
ニーガンは思いきり、バットを振り下ろす!視界には血が垂れてきて、叩かれた人物の聴覚はキーンとする。だが、その人物は顔を上げる。またニーガンの顔が見える。
「やるじゃないか。根性がある」
また、バットが振り下ろされて視界が真っ暗になる。
「すげえ」
ニーガンの興奮した声と、バットを何度も振り下ろす音だけが響く。骨が砕け、何かがグチョグチョになっていく音がする。

現在の状況

・ニーガンに捕まっている人たち

リック、カール、ダリル、グレン、マギー、エイブラハム、ロジータ、ユージーン、サシャ、アーロン

※この中で1人がリンチされている
※それ以前にマギーは危険な状態にある

・ヒルトップに保護された人たち

モーガン、キャロル

※キャロルは腕と足を撃たれて重傷
※助けてくれた人が本当にヒルトップの若者かは不明

・アレクサンドリアに残っている人たち

神父、スペンサー、ジュディス、イーニッド

※タラとヒースは物資を捜しに出ている、その他エリックやトビンも街にいる模様

今シーズンで増えたキャラクター

ニーガン、ドワイト(これ以外の名前が出てきたキャラは全員シーズン内で死亡)
ヒルトップのボス(影薄い)、ジーザス、ヒルトップの産婦人科医

今シーズンで死亡したキャラクター

ディアナ(ウォーカーの襲撃で死亡、後にウォーカー化)
ニコラス(ウォーカーの襲撃で自殺)
ジェシー、ロン、サム(ジェシーとサムはウォーカーに襲われて死亡、ロンはカールを撃ったところをミショーンに殺害される)
グレース(ニーガンに襲われ、ボウガンで撃たれて死亡)
※リックたちが殺した救世主の仲間、W(ウルフ)の仲間は省略

感想

・アレクサンドリアはニーガンの手に落ちてしまうのか?
それとも、あの現場にウォーカーが襲撃orモーガンたちが助けに来るのか?
・次回、誰かが死亡したところからスタートするのか?
・今シーズン中に出てきた「俺達は全員ニーガンだ」というセリフが意味するのは?
・ドワイトはなぜ、あそこまで豹変していたのか?次シーズンでその理由がわかるのか?
・今シーズンで死亡した人はアレクサンドリアで出会ったキャラばかりでしたが、今後は果たして?
・マギーはどうなるのか?キャロルは?
どうでもいいけど、前シーズンでは車にひかれてたよなあキャロル。けっこうケガすることが多いキャラですね。
・モーガンを助けてくれたキャラたちは何者なのか?
しかし、キャロルを助けるために信念を曲げたモーガンはいいキャラだなあと思います。