「ストレイン」シーズン2・第7話のネタバレ

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第7話「ザ・ボーン」(THE BORN)

古代。
兵士たちが彼の後ろを通り過ぎていく。

「人は彼を“野蛮な剣闘士”と呼んだ
類いまれなる戦士で 誰よりも強く、素早く、残忍だった
誰も彼の敵ではない 人間も獣も
勝負は数分以内についた 大抵は数秒以内に」
※ナレーションは全て、エイブラハムの声

鎧を脱ぎすてたストリゴイは、体に土をなすりつけ、骨の柄の剣を持って外に出ていく。コロシアムでは、群衆が騒いでる。彼の相手はいきりたっているが、その素早さと力にはかなわない。その戦士は、どう見ても吸血鬼だ。
「頼む」
命乞いをする相手の男。
「殺せ、殺せ」
群衆は騒ぎ、権力者も彼に向かって大きく頷く。
「決めているのは私ではない。お前と同じ人間だ」
次の瞬間、男は喉を貫かれる。戻ってきた戦士を、権力者が待ち受けている。

「黒魔術に精通しているあとある元老院議員が 剣闘士の後ろ盾となった」

権力者は、フルーツをつまみながら剣闘士の戦いぶりを誉めそやす。「“シチリアの黒い悪魔”だな」彼を捉えるのに軍が出動し、20人が犠牲になったようだ。
「私を捕える理由が知りたくて投降した」
「そして死罪を免れ、剣闘士となった」
「貴族の欲深さと、民衆の残忍な衝動のせいだ」
「お前は食べ物を好まず、ある動物の血を好む。人間の血だ」
剣闘士は振り返る。権力者は、彼を「人の肉体と悪魔の血を持つ者だ」と褒める。「神のように強大で素早い」その男。人間の本能が知りたい、仕える側に回ってみたいという剣闘士に、戦いの場を与える権力者。剣を見つめて、吸血鬼はにやつく。このストリゴイこそ、ニューヨークに新しく登場した謎のストリゴイだ。

ブルックリン レッドフック リチャーズストリート
ベッドで眠っているダッチの顔を、ヴァシリーは見つめている。そして目覚めた彼女にキスをする。2人はフィッツウィリアムの話を始める。残念だと彼の死を悼む2人。
「服を着たくない」とダッチはゴネ出す。「ぜひそのままで」とヴァシリーもそこに乗っかる。「そういう意味じゃない」と、ダッチは同じ服を着まわしているようだ。3着しかローテーションがないので、飽き飽きしているのだ。服を取りに行きたいという彼女に、ここに越してこいというヴァシリー。同棲の申し込みに「将来を誓ったりしないよ?」というダッチ。ヴァシリーも笑って「わかってる」と応じる。

ブルックリン ゴワナス 9丁目
ヴァシリーのトラックが乗り付ける。ダッチももちろん一緒だ。だが、彼女の部屋には中から鍵がかかっている。誰かが住んでいるようだ。「姿を見せろ!」という声に、物音がする。と、そこにはニッキー(前シーズンで彼女を見捨て逃げた)がいる!彼女は生きてたのだ。驚くヴァシリー。

マンハッタン ストーンハート・グループ
マルジェラが仕事をしている。彼女をぼんやり見つめているパーカー。マルジェラを遠乗りに誘うパーカーだが、そこにエフの情報を持つ部下がやってくる。マルジェラにお茶を頼み、席を外させるパーカー。エフの持っている薬は彼らの手元にあるが、エフ本人の行方はしれない。パーカーはその知らせを聞き、怒りに震える。

エフはフラフラとどこかを歩いている。痛みに耐えながら、歩き続けていたのだ。バーのトイレに入って治療を始めるエフ。患部に酒をかけ、自分も酒を飲む。そして新しい絆創膏を貼り直す。バーのカウンターに戻り酒を注文するエフ。バーボンのストレートをあっという間に飲み干し、おかわりを催促する。
「もっと味わって飲むもんだ」
「次はそうする」

ダッチはニッキーを問いつめている。ヴァシリーはニッキーにやや辛辣に当たるが、ケガをして足首を痛めて以来、ここにずっと隠れていたというニッキーをダッチは優しく抱きしめる。
「実に心が温まる光景だ、実にな」
そう言いながら、ダッチに隠れ家に戻ろうと促すヴァシリー。だが、ダッチはニッキーを連れていこうとする。

結局、ニッキーを連れ帰るダッチ。エイブラハムはヴァシリーを待ちくたびれてイライラしている。ヴァシリーはダッチに2人きりで話せないかと持ちかけるが、後でいい?と返す。「今がいい」
ヴァシリーは、ニッキーが持ちだしたノートPCや金のことをダッチが聞き出さないのはなぜかとイラついている。「今、そんなのどうでもいい。怯えてるじゃん」ヴァシリーは、ニッキーに2人の関係を秘密にしていることについても怒っている。ダッチは、ニッキーと自分に時間をくれないかと頼む。さらにヴァシリーはダッチと一緒にエイブラハムの偵察に付き合うように言うが(これはエイブラハムの希望でもあるようだ)、ニッキーを置いていけないとダッチは主張する。ニッキーのせいで、彼らの関係はいびつなものになりつつある。エイブラハムの呼ぶ声に応えるヴァシリー。彼女を置いて出ていく。

ヴァシリーはエイブラハムに愚痴っているが、エイブラハムは「今は君の恋愛事情はどうでもいい」と剣もほろろだ。「どうしてもイヤな予感が拭えない。邪悪なことが起きている」

そして、パーマーの買った工場の中に侵入するエイブラハムとヴァシリー。ここで、盲人学校のバスを発見する。しかし、見張りの男が彼らを発見してしまう。連絡を取ろうとする男を、謎のストリゴイ(長老たちをこき下ろしていた新登場のストリゴイ、冒頭に登場したキャラでもある)が殺してしまう。

ダッチに、ヴァシリーのことを聞いているニッキー。「いつもどこで寝ているの?」その質問に答える前に、ドアが激しくノックされる。そこにいたのはエフだ。なんと、彼はロスから徒歩で帰ってきたようだ。フラフラしているが、意識ははっきりしているのか。ニッキーに目を止めるエフだが、ダッチが彼女を思い出させる。隠そうとしていたダッチとヴァシリーの関係は、何も知らないエフの口からバラされてしまう。

エイブラハムたちは工場の中で、不自然に盛られた土と子どもたち(盲人学校の生徒)の死体を発見する。ケリーが感知者を授けられた場所だ。と、そこに感知者たちが次々と現れる。統制がとれた攻撃に、「マスターだ」と確信するエイブラハム。「とにかく撃ちまくるしかない」というヴァシリーだが、ストリゴイたちは何かの気配を察知して去っていく。そこには、あの謎の戦士のストリゴイが立っている。彼は襲ってくる子どものストリゴイを、次々と切り捨てて、貫く。体が半分になった子どものストリゴイは内臓をはみ出させながら後退していく。謎のストリゴイは、エイブラハムのほうをゆっくり振り返る。
「やあ、教授」

パーカーは、ヘリコプターに乗ってマルジェラと夜景を楽しんでいる。「維持するのは大変だが、成功の証だ」と笑うパーカーだが、ふとした瞬間に彼らは手を握り合ってしまう。さっと手を離し、エフの話をするマルジェラ(エフの報告に訪れた部下のことを覚えていたらしい)。パーカーは話をはぐらかしていく。ヘリコプターの下のビルは、いくつも燃え上がっている。

謎のストリゴイは、エイブラハムの名前を長老から聞いたと語る。ずっと尾行していたというのだ。彼の名はクインラン。
「あなたと私はよく似ている」
「どこがだ」
「どちらも、マスターを追っている」
「長老たちを知っているのか?」
ヴァシリーは混乱している。だが、ヴァシリーが銃を撃ったらその瞬間に彼を切り捨てるとクインランは警告する。クインランも、マスターを追い続けている。生まれた時から。

1873年 アルバニア ゴリム
馬に乗っているクインラン。村は空っぽだが、唯一残っていた人たちに話を聞く。
この村は呪われている。まず子どもたちが寝床から姿を消し、次の晩に病を家族に移した。健康な者は逃げたが、夜には幽霊が現れる。サルデューを探してこの地域を訪れたというクインランだが「遅すぎたようだ」と言う。
城の中に侵入するクインラン。そこでサルデューの杖を見つける。だが、そこに子どものストリゴイが何人も登場する。彼本人は姿をくらましているが、彼を嘲るために子どものストリゴイを残していったのだろうと彼は推測する。だが、マスターも不安なのだろうと煽り、彼はストリゴイに斬りかかる!

マスターが“やむを得ず”新しい姿になったのは初めてだと、エイブラハムに敬意を表するクインラン。エイブラハムはマスターの新しい肉体の話を聞いて驚く。
「だが、あなたはこうしてさらに勝利を収めた」
「なんだ?」
「奴のねぐらを見つけた」
エイブラハムはまた驚く。ここにマスターがいるのか?マスターを破壊しようと意気込み、建物全体を爆破するように命じるエイブラハム。クインランの存在はどうでもいいと言わんばかりに、エイブラハムはヴァシリーを急かす。

寝ているエフを、そっと起こすノーラ。連絡をよこさなかったエフを責めるノーラだが、すぐに彼の肩の傷の血に気が付く。
ノーラは手当てをしながら、ケリーが現れたことを話す。マスターの側近になった彼女を、ザックも見たと告げる。エフは全部奪われたと告白する。ロブも殺され、パーマーに追い詰められたことを告白するエフ。それをノーラを励ます。エフはひどく落ち込んでいる。

ヴァシリーは周囲で作業をしている男たちに爆弾を見せびらかすようにしながら走る。彼らは急いで避難を始める。

エイブラハムは地下で、マスターの古い肉体を見つける。そこにはハエがたかっている。
「今はどんな姿だ?」

クインランも別の場所を歩いている。
「お前が来るのを待ち望んでいた。アメリカ大陸へようこそ」
ボリバルの姿になったマスターが、クインランを迎える。
「その肉体はまにあわせだろう」
「この宿主は私に忠誠を誓った。お前と違ってな」
「その姿は、迫力に欠けるな」
「弱っている私を襲いたかったんだろう。いつもながら一足遅い」
アイヒホルストがマスターの背後から現れる。
「そいつは?新しいペットか? 不思議なことがある。お前の力の源は闇だ。姿を見せず謎に包まれた存在。だが、この戦いで姿をさらした。今は無防備だ。目的は何だ?」
マスターは唸る。

ヴァシリーはダイナマイトをセットし始める。建物の支柱に、次々とダイナマイトをセットしていく。あと1分しかない。
クインランとエイブラハムが一緒にいることに、マスターも少し驚く。
「戦いの時が来た、一瞬で終わらせてやる」
「お前たち2人が組むとは、積年の憎しみで結ばれたのか」
「彼がお前を辱めた、今度は私はお前を破壊する」
「その逆だ。お前は苦しんで泣き叫ぶ。母親と同じように」
と、その瞬間、クインランは怒りに燃えて走り出す。同時に建物が爆破して崩れていく。クインランはマスターのもとに向かうが、瓦礫に邪魔されてしまう。
「追い詰めた、ここにいたのに」
マスターを倒す絶好の機会を失ったことに、怒りを隠せないクインラン。
「次は奴は用心する。私の戦いだ、これからは手を出すな」
エイブラハムは肩を痛めたようで、何も言い返せない。ヴァシリーがやってくるが、マスターに逃げられたことを知る。だが、落胆する暇もなく警察がやってきたので、彼らは逃げるしかない。

ザックを見つめているエフ。目を覚ました息子は、父に抱きつく。計画通りに行かなかったことを、ザックに白状するエフ。うまくいくって言ってたのに、というザックに失敗する時もあると父は語る。「何度も失敗して正解に辿り着くんだ」
ケリーの話になる親子。
ケリーはザックを愛していたから、その愛に引き寄せられてザックを求めているのだ。ザックはそれを理解している。エフは改めて、ザックを守ると約束する。でもザックは「約束しちゃダメだよ。いつも守れないでしょ」と痛烈な一言を漏らす。「約束はしない。しないと約束する」

ニッキーに、「意外なこと言うけどさ、ママに電話しなよ」と言うダッチ。ニッキーは、彼女が自分の尋ね人のビラを持ち歩いていたことに感激する。エイブラハムとヴァシリーが戻ってきて、「スゴイ物を見た」と報告しようとするが、ダッチは今日手に入れたトマトについて話し出す。ぎくしゃくする2人。「何を見たの?」「後にする、皆腹ペコだ」そこにエフが現れる。軽口を叩き合う2人。機嫌の悪いヴァシリーと、ダッチとニッキーを見比べて「ややこしそうだな」と気が付くエフ。ヴァシリーはエフをにらみつけるが、自制して去っていく。
「満足?」
「(ヴァシリーは)僕から逃げたんじゃない」
エフは困惑する。

パーマーは、マルジェラが持って来たお酒を口にする。乾杯する2人。
「最高の1日だった」
ヘリに感激しているマルジェラ。パーマーは彼女と一緒にいて、いろんなことに気が付いたという。たとえば、孤立していたということ。マルジェラと話していると安心するというのだ。彼女はパーマーの恋愛事情について聞き出そうとするが、パーマーは女性と付き合ったことすらないと告白する。驚くマルジェラ。「まだ遅くない」と、マルジェラは彼に手を伸ばす。
「許してくれ、簡単に心を開けない。カクテルを2杯飲んだ後でも」
「私もよ。3杯なら?」
「ベッドに倒れ込む」
パーマーの寝室はオフィスのすぐ上にある。「見てもいいかしら?」と言い出すマルジェラ。

彼の寝室に入りこみ、枕を撫でながら「抱きたいと思わない?」と言うマルジェラ。
「君はとても魅力的だ。だが、私は君を失望させる」
「いいから黙って、エルドリッチ」
マルジェラは彼にキスする。

エイブラハムは書籍を調べている。
「彼が消えたのと同じ頃、ローマ帝国が滅亡している」
その後の消息は不明だが、ユーラシア大陸中で目撃されており、その出生も謎だ。ただ、ヒントは愛称にある。「ザ・ボーン」。それがクインランの過去の姿なのだ。
ザックはその話を横で聞いている。
「わからないよ。それって伝説?それとも本当の話?」
「どちらの質問の答えもイエスだ」

エフはヴァシリーを連れて、怪我をした時に逃げ込んだ(手当てをした)バーに来ている。フラフラするエフを逆に心配しているヴァシリー。
「酒を味わうようにバーテンダーに言われたが、酒は気分を良くするためのもので、味わうためのもんじゃない」
ヴァシリーはワシントンD.C.であったことを聞き出そうとするが、ヴァシリーとダッチの関係の話に戻る。ダッチは破滅的で激しい恋愛を求めている。「俺には向いてなかった」と酒を煽るヴァシリーに、「意外と諦めが早い」とエフは言う。「あっちが先に諦めたのさ」
ワシントンD.C.の失敗を経て、次にどうするのかエフに尋ねるヴァシリー。エフは「エルドリッチ・パーマーを殺す」と明言する。