英ゾンビドラマ「ゾンビ・アット・ホーム」シーズン1・第1話のネタバレ

In-The-Flesh

2013年に放映されたイギリスのドラマシリーズ「ゾンビ・アット・ホーム」を見ました。こちらは「Hulu」で限定配信されているのですが、シーズン1が3話しかないんですよね。しかし、かなり面白い。ゾンビになった人たちが治療で元の人間としての記憶は取り戻したものの、体はそのまま(腐ったまま)。人間には差別され、かつての記憶に苦しめられ、なぜ自分たちは蘇ったのか?と悩むお話であります。個人的には超おすすめです。
やっぱりイギリスのゾンビはいいっすね。

登場人物

キーレン:主人公。美青年。繊細な性格で、18歳の時にあることを苦に自殺した。ゾンビ化した際に、ある女性を襲って脳を食べた過去を持つ。
エイミー:キーレンのゾンビ(患者)友達。彼がゾンビ化した際、一緒に人を襲った。皮肉屋の性格であり、メイクをしないまま外に外出することもある。
ジェム:キーレンの妹。義勇軍に所属していて、ゾンビを殺したこともある。本来は高校生だが、現在は通学していない。兄が死んだ後にかなり荒れた。
スー:キーレンの母。息子のよき理解者
スティーヴ:キーレンの父。自殺した息子に複雑な感情があり、本音を押し殺している。

リック:キーレンの幼なじみ。軍隊に入り、派遣された先で死亡。
ビル:リックの父。義勇軍のリーダーであり、ゾンビは治療をしてもゾンビだと信じている。
ジャネット:リックの母。ビルの過激な論調にはついていけない。

フィル:キーレンとリックの幼なじみ。街の教区委員であり、マジメな性格。ビルにいいように使われている。神父の右腕でもある。
シャーリー:フィルの母(シングルマザー)。介護士だが、PDS患者のケアを担当するようになる。優しい性格。

ゲーリー:義勇軍のひとり。ゾンビを殺すべきだと信じている1人。
ディーン:義勇軍のひとり。クライモリに出てくる人にルックスが酷似している。

リサ:キーレンに襲われた被害者女性。遺体は見つかっていない
リサの両親:彼女が戻ってくると信じている。

ケン:キーレンの家の真向かいに住む男性。キーレンの両親とも仲がいい。

神父:過激派。とにかくゾンビを排斥するべきだとうるさい。

ネタバレ

スーパーで商品をごそごそしているHVFの隊員・リサ。彼女は誰かとトランシーバーで話しながらカートを探っている。そのカートの中には銃が入っている。
カートを押しながらはしゃぐリサ。その女性が何かにつまづき、倒れる。
そこには、人間の脳を引きずり出しているドレス姿のゾンビがいた。リサはそのゾンビを見て逃げようとするが、そこに新しく男のゾンビが現れる。それが主人公・キーレン。

その男のゾンビ、患者姿の男性がフラッシュバックする。主人公・キーレンはかつてゾンビとして人を襲い、殺した過去がある。だが、最先端の医療が彼の記憶を取り戻した。ゾンビ化はもはや、病気(部分死症候群患者。通称「PDS」)なのだ。
キーレンはごねるが、病院を強制退院させられることになる。
医者の部屋を出ていくキーレン。その部屋の前には、彼と同じようなゾンビたちが列を作って並んでいる。

キーレンや他のゾンビたちは化粧品(死者特有の肌を隠すためのもの)、コンタクトレンズ(ゾンビは白・金色がかった瞳。ここで支給されるのは人間だった頃のカラー)を支給される。

人間たちは行進を続けている。ゾンビたちが人間に戻っても、彼らを許すつもりはないという意思の表れだろうか。

キーレンの家では、妹・ジェムがグレている。家を売ろうとするも、うまくいかない両親。ジェムは“義勇軍”(通称HVF)の一員らしい。両親もまた、キーレンとの同居に複雑な感情がある。

キーレンは集団セラピーをうけている。最後に殺した人の顔を忘れられないキーレン。

「死者の反乱」で人間に殺されたという患者たち。人間を恨んでいる者もいるらしい。セラピーの場でも、銃をもった男たちが見張りをしている。
キーレンは妹のジェムに会うのを楽しみにしているようだ。

その頃、ジェムはHVFの集まりに参加するためにパブへ。酒を無料で飲ませろ、俺たちに助けられたくせにと女主人・パールをいじめているリーダー・ビル。
彼らは死者が制圧された今もゾンビを探し、徘徊している者がいないかを探している。彼らの制圧の対象は、生き残った患者(記憶を取り戻し、人間世界に戻ろうとしている者)たちも含まれている。

セラピーで出会った若い男患者と会話しているキーレン。「不死の預言者」という男のサイトを紹介される。
治療の前に、何かの薬を口に入れている男。急に元のような人肉を食べるゾンビに戻り、看護師を襲い始める。患者はもはや、人間とは別のものなのか?

キーレンを迎えに行く両親。出かける様子を、じっと見つめている近所の人・ケン。両親は、肌にムースを塗り、眼にはコンタクトを入れている息子と対面を果たす。

その一方でキーレンの村は排他的なムードであり、患者たちはつらい立場を強いられそうだ。大臣が説明にやってきているが、その説明もグダグダである。
ここで、この村は初めて義勇軍が誕生した土地であることが明かされる。大臣を怒鳴るビルやケン。

息子の帰郷を喜ぶ両親だが、その一方で村人(話しかけてきたケン)からは息子の姿を隠そうとする。ケンの気をそらしてくれたのは、スーの友人のシャーリー。彼女の息子は、キーレンと同級生であるフィルだ。

キーレンは帰宅。しかし、隣人(ケンの妻)がその姿をしっかり目撃していた。両親の友人であるシャーリーもそこに尋ねてきて、キーレンのことを知っているという。彼女は介護士であり、PDS患者の介護研修に関わっていたのだ。投薬にやり方を両親に教えるシャーリー。だが、投薬の瞬間、キーレンは自分が殺した女性のことを思い出していた。
母にスタンガンをこっそり渡すシャーリー。ゾンビの間で違法ドラッグが流行しており、その影響でゾンビに戻ってしまう者がいるらしい。シャーリーはこのことを家族に秘密にしている。スタンガンを握りしめる母。

村で神父やビルなどの教育委員が会議を行っている。神父は事務官のフィルにゾンビが帰郷したと噂になっていること、母のシャーリーが病院を退職したことを告げる。

両親と食卓につくキーレン。そこにジェムが帰ってくる。
(なお、ゾンビは食事ができないので、キーレンは食べるフリをしている)
彼女は兄を認めようとせず、罵詈雑言を浴びせる。

自室で自分の画材に触れるキーレン。彼はとっておいたリックとの写真を眺めている。洞窟の中で撮影した思い出の写真だ。

ビルは、妻と共に写真の息子・リックにバースデーケーキを捧げている。
彼は軍隊にいた息子を亡くしたようだ。

フィルは母が嘘をついていることを知り、彼女のパソコンをいじっている。そこでPDS関連の資料を見つけるが、パスワードがかかっているので中身を見ることはできない。
そこで母に見つかり「ポルノを見ていた」と言い訳をする息子。

リサを殺して脳を食べていた夢にうなされるキーレン。その枕元にリサの幽霊が立っている。……と思ったら、そこにいたのは妹だった。
「あなたは誰?私の兄さんじゃないわ」と詰め寄るジェム。「僕はキーレンだ」と言いますが、ではその証明をしろと命令される。
そこで、2人しか知らないような秘密の話をさせられるキーレン。彼は妹との思い出にひたりながら、彼女の気持ちに寄り添うように話をする。

なぜ、キーレンは死んだのか?彼は消え去りたかったからだと言う。
リックが死んだから。しかし「彼はアフガニスタンで戦死したのだ」というジェム。
それはキーレンから逃げるためだったのか?感情的になった妹はまた去って行ってしまう。

ボードゲームをしているキーレンと父。父の出勤時間になり、母が交代する。山のように積まれたボードゲームが背後に見える。

ジェムは駅で一夜を明かして、1リットルサイズのジンジャーエールをガブ飲みしている。

男患者に教えてもらったサイトにアクセスするキーレン。メッセージが立ち上がる。「死の世界から蘇ったわれらは選ばれし者なのだ」と語る、顔を隠した男の姿が浮かび上がる。
「死者は再び蘇る」「我らは地上の天使なのだ」と語る男の真意とは―?

ビルと神父の密談。患者がこの村に帰還していることが判明してしまった。ビルは家に帰るなり、銃を持ち出す。
まだ駅にいるジェム。無線機から聞こえた「ゾンビを始末する」という言葉から、ジェムは走り出す!
「HVFにバレた!」その一言で、両親と妹は納屋へ。父は釘を打ったバット(ホッケーのバット?)、母はチェーンソー、妹も銃を持ってくる。その光景に目を疑うキーレン。彼はクローゼットに隠される。家の前に次々と集まってくるHVFの隊員。裏口で、チェーンソーを動かして待ち受ける母。

ジェムは外に連れ出される。緊張が高まるが、HVFが家から連れ出したのは向かいに住む隣人(キーレンの帰郷を目撃していたケンの妻)。
妻・マギーに銃を突きつけるビル。泣きじゃくるマギーを見て、ビルは銃を撃つことができない。しかし、ビルはマギーに「コンタクトを外せ」と言う。それに従った彼女の眼は、やはり白濁している。

「君らしい目だ」と言われて微笑むマギー。次の瞬間、彼女は射殺される。泣きじゃくり、妻の遺体にしがみつくケン。
このケンはキーレンの両親に「相談事がある」と言っていたのだが、もしやこのことだったのか?また、その直後にシャーリーが彼に話しかけていたのは、妻のことだったのか?

意気揚々と自宅に帰るビル。そこで妻のジャネットから、戦地で息子の遺体が発見されたと聞かされる。しかし、それは遺体ではなかった。生きていたわけでもなかった。「部分的に生きている」リック。つまり、彼の息子も患者になっていたのだ。

生き残ることができたキーレンに父は「心配ないさ」と励ましの声をかける。だが、キーレンは窓の外を滑り落ちていく雨音を眺めているだけだ。
枕の下に銃を隠すジェムを見ているキーレン。それを黙って見返すジェム。彼は妹の部屋から立ち去っていく。

第1話の見どころ

・キーレンがひたすらウジウジしているのですが、そこまで気にならない。嫌いになれないタイプですよね。
・HVF(義勇軍)や神父、一部の村人など、イヤ~な人たちの演技がまた素晴らしいんだ。特に、ビルは「他のゾンビと自分の息子は違う」と信じており、暴挙の限りを尽くします。
・キーレンが死んだ本当の理由とは?真実を知った時に、衝撃が走ります。
・妹のジェムがかわいい。普通の格好をする場面も出てくるのですが、戦闘服とか迷彩柄の服が似合います。
・ゾンビは正統派。「動きはノロノロ」「脳を食べる」「人に噛みつくこともある」「脳を破壊されたら死ぬ」など、セオリーは守りつつ、「人間に噛みついても感染しない」「ある一定のラインより前に死んだ人が蘇っているが、蘇らなかった人間も存在する」という新ルールもあります。
・1日1回の投薬を守れば、患者はゾンビに戻らない。
・ゾンビの社会復帰を通して、お決まりの「人間が一番醜いんだ」という説に辿り着くのですが、人間の姿をしているのにそう扱われないキーレンやエイミーの姿には考えさせられるものがあるのはたしか。自殺をした彼が蘇った意味とは?
壊れかけた家族関係が再生していくさま(特に、お父さんの本心が露呈するところ)は注目です。ほかほか家族やで!
・いつもニコニコの両親が釘バットやチェーンソーを持ち出してきた時には、そのビジュアルに腰が抜けたものです。ママのチェーンソー姿カッコイイ!