「ビッグ・アイズ」

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2014年の映画「ビッグ・アイズ」を見ました。
主演のエイミー・アダムスも、ダメ夫を演じていたクリストフ・ヴァルツも素晴らしい。エイミー・アダムスの雰囲気の柔らかさは、かつてのレニー・ゼルヴィガーを思いおこさせました。
ただ、ティム・バートン監督作品ということをすっかり忘れてしまうような印象なのはなぜなのだろうか?予告編でも使用されていた、「普通の人間がビッグ・アイズに見える」というシーンくらいでしょうか。バートン監督らしいな~というものを感じたのは。

あらすじ

60年代にモダン・アート界で大きなブームを巻き起こし、その後思わぬ一大スキャンダルへと発展した絵画“ビッグ・アイズ”シリーズを巡る画家夫婦の驚きの実話をティム・バートン監督で映画化。主演は「魔法にかけられて」「アメリカン・ハッスル」のエイミー・アダムスと「イングロリアス・バスターズ」「ジャンゴ 繋がれざる者」のクリストフ・ヴァルツ。

1958年。離婚を決意したマーガレットは、幼い娘ジェーンを連れて家を飛び出す。女手一つで娘を育てるため、サンフランシスコのノースビーチで似顔絵描きを始めたマーガレット。彼女はそこで口が上手く社交的な男性ウォルター・キーンと出会い、結婚する。ある日、マーガレットの描く瞳の大きな子どもの絵が、ひょんなことから世間の注目を集めるようになる。するとウォルターは、その“ビッグ・アイズ”を自分の絵と偽り売りまくる。それを知り抗議するマーガレットだったが、口八丁手八丁のウォルターにまんまと言いくるめられてしまう。以来、世間にもてはやされるウォルターの陰で、黙々と絵を描き続けるマーガレットだったが…。
http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=350425

ネタバレ

夫を捨てて、新天地を訪れたマーガレット。そこから話が始まります。
当時、妻から申し出てする離婚はまだまだ珍しいことだったよう。
彼女は夫と別居してシングルマザーとして働き始めます。家具会社では働きながら、趣味で描いた絵を売る日々。アートの蚤の市で、偶然知り合ったのがウォルターです。

恋に落ちた彼ら。しかし、ウォルターは「ビッグ・アイズ」の絵を描き続けるマーガレットを理解できません。
マーガレットは幼い頃、耳が聞こえない時期があったそう。そのため、人の目を見てその意図を理解しようとしてきた影響で、目に特別な思い入れを持つようになったというのです。
「目は心の窓」だというマーガレット。ウォルターは気味悪がります。

娘の親権を元夫にとられそうになったことをきっかけに、マーガレットとウォルターは結婚します。しかし、彼女の友人は彼の女癖の悪さなどを指摘。しかし、マーガレットは聞き入れません。

絵画を画廊に持ち込むウォルター。しかし、追い返されます。

しかし今度は、バーに2人の絵を飾ってもらうことにします。しかし、ここで着目されたのがマーガレットの絵。話を合わせ、作者になりすますウォルターです。

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どんどん大金を稼ぎ出すビッグ・アイズ。しかし、マーガレットは夫が作者になりすましたことに傷付きます。しかし、彼女が注意してもウォルターはなりすましをやめません。やや人見知りのマーガレットは、そのことをカミングアウトできないのです。

ビッグ・アイズの画廊を開くことにしたウォルター。
娘は「ママが描いたのに」とぽつん。ウォルターが訂正しても、小さいながら覚えているようです。神父に相談に行くマーガレットですが、「夫を信じなさい」と言われて諦めます。

画廊は大人気に。しかし、画について質問されても、細かく答えることができません。
しかし、彼はだんだんと嘘の経歴を塗り固めていきます。

マーガレットは追い詰められていきます。不安な気持ちを絵に反映させるという画家らしさも見せながら、現実の人がビッグアイズになった幻覚が彼女を苦しめます。
しかし、夫は妻を脅し、本当のことを言わせないように仕向けるのです。

しかも、ウォルターは自分も結婚歴があったことや、子どもがいたことなどを黙っています。
それを責めるマーガレットに、「僕だって君の娘にはガマンしているんだ」と攻撃するウォルター。

彼らは取り繕いながら、夫婦生活を続けます。
豪邸に引っ越して生活しながらも、マーガレットは自宅にこもって絵を描き続けるしかありません。友人がアトリエに無理矢理入った時にも、ウォルターは怒り狂います。
彼女はどんどん孤立していきます。

マーガレットは、違和感があった夫の絵のサインの部分を削り取ります。
すると、そこには「シニーク」というサインが!そう、彼は絵なんて描けないのだ。シニークは自分のあだ名だと言い張る彼ですが、マーガレットはますます彼を軽蔑します。

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ユニセフに絵を贈ると言い出したウォルター。世間体のために(偽善で)やった行為が、批評家を刺激してしまいます。そしてパーティで大喧嘩に発展!

ウォルターは酒に酔い、妻と子供を追いかけまわします。そしてアトリエに火をつけようと鍵穴から火をつけたマッチを投げ込み続けます。逃げ出す母子。

彼らはホノルルへ逃げ、ウォルターとは別居。離婚をすることになる2人ですが、ウォルターは「絵を100枚描け!」「今までの絵の権利を自分に譲れ!」と物凄い発言をします。

そして彼女のもとを訪れたのは……「エホバの証人」だったんですね。
いやーハワイにもいらっしゃるんですね。知りませんでした。

そして信者になった彼女は、ラジオで本当のことをカミングアウト。裁判に発展します。

虚偽罪についてはウォルターが勝訴したものの、名誉棄損の裁判(まあ、肝心の「ビッグ・アイズ」はどちらが描いたのかという裁判)は弁護士がいなくなり、なんとウォルター自身が弁護士をやると言い出します。
自慢のオンパレードに、感情的なおしゃべり。ウォルターは裁判をひっかきまわします。

そこで裁判長が持ち出した案が、実際にビッグ・アイズを描いて確かめるというもの。
マーガレットはすらすらと仕上げますが、ウォルターは嘘を並べて描くことを拒否します。

マーガレットの勝訴でこの映画は終わり。
実際にはウォルターは一文無しで既に死去しており、マーガレットは今もなお絵を描き続けているそうです。

とにかく、この映画で「エホバの証人」という名前が出てくるとは思わなかったのでブッたまげました。まあ、そういうこともありますわね。