「スティールワールド」

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2014年のイギリス映画「スティールワールド」を見ました。この映画は完全なSFなのですが、設定がなかなかに面白い。ロボットに支配された世界で「屋内にいなければならない」という縛りの中で暮らす若者たちが反旗を翻すお話です。
ロボ系のSFは苦手なのですが、この映画に関しては面白く見られたな。なぜかしら。恋愛、青春と同じくらいに「無駄死に」「虐殺」「拷問」要素もあったりするのがなかなかスパイシー。

あらすじ

ショーンは母や友人兄妹と一緒に、ロボットの支配下の社会で息を潜めて暮らしていた。
しかし、個体センサーの破壊に成功した彼らは外に飛び出し、ショーンの父の行方を探すことになるのだが……!

ネタバレ

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(ショーン、アレックス、ネイト)

3年前に、地球外生命体のロボットに侵略された人間たち。彼らはわずか11日で戦いに負け、外出禁止を命じられます。
その掟を破った人間はビームで灰と化しますが、内通者(人間の管理をする人間)だけがこのルールの適用外となっています。

そして少年・コナーの父もノイローゼ状態で外に飛び出し、消えてしまったその日。
前の家に住んでいたのが主人公のショーンとそのママのケイト(美人)、ショーンの友達のネイトとアレックス。あと、じいちゃん(血縁関係はないらしい)が一緒に暮らしていますが、ケイトはコナーを引き取ることを決めます。そのケイトに言い寄っているのが内通者のスマイス。彼は自分の浮気していた妻、そして関係のない息子を侵略のどさくさで殺したと噂がたっている元教師です。

ショーンはいなくなったパパを探しているという設定が説明されます。そしてアレックスが実験の結果、バッテリーを発明。そのバッテリーに感電したネイトの追跡センサーが壊れたことで、彼らは外に出られることに気が付きます!(展開が早いね)

まず彼らが訪れたのはお菓子屋!
久しぶりのお菓子を食べまくります。コーラを飲み、お菓子を浴び、伏線っぽい花火とライターも発見。

そして、次に生存者の資料がまとめられているという元学校に行くことになります。ここで父が生きていることを知るショーン。
しかし、ここでセンサーが動き出し(タイムリミットは13時間だと後にわかる)ネイトとアレックスがロボに捕まり、ショーンも捕まります。
スマイスは惚れているケイトだけは手出ししませんが、同居していたじいちゃんを「ディープスキャン」して殺してしまいます。このスキャンとは、その人の記憶や経験を吸い上げてロボットの知識にするというもの。じいちゃんは呆気なく死んじゃいます。
そして、次の標的はショーン。ただし、彼が機械につながれている間にひとり捕獲を免れていたコナーが大型のロケット花火を部屋に打ち込みながら登場して、皆を助けます。なのでショーンはスキャンの途中で機械から逃げることができました。
そしてネイトはガスの元栓をひねってライターを置いて逃亡。そのせいで、学校は大爆発します。

さて、ショーンのパパの足取りをたどり、廃ホテルに向かった彼ら。ここには厳しいけれど優しいおばあさんや、コワモテだけど優しい用心棒、そしてパパの友人のスワニーもいます。このスワニーはショックのせいで妄言をつぶやいているような、それとも本当のことを言っているのか……?

しかし、スマイスがママを囮にしたことを知って奪還に向かうショーンたち。本当に、わっかりやすーく展開が続きます。
お城で口説かれまくるものの、スマイスを放置したまま、元教え子(ケイトママは)からカギを奪って逃げるママ。
しかも、馬に乗って逃げちゃいます。

そしてショーンにもある出来事が。なんと機械との同期が不完全に終わったせいか、彼はロボットを操作できる能力を手に入れたのだ!
といっても、近くに寄って手をかざしたロボしか無理なのですが、それでもいろんなロボを操作できるという強みができたというわけ。
人型ロボやクモ型ロボ、戦闘機型ロボなどをどんどん操っていく姿は純粋に楽しい。トランスフォーマーよりも無骨な造形なのも、個人的には好きです。

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ママを助け出し逃げる主人公たちですが、ピンチでも何度も生き延びるスマイスのほうがタフなんじゃないかと錯覚しちゃう。
ドロンジョとかと同じスタイルの悪役です(途中までは)。

なお、ロボットたちを統べているボスは、人間の形をしているけれどスタイルは少年、顔は成人男性というCGっぽいモノです。
彼はショーンを捕まえるようにスマイスに命令し、今後実施される一斉スキャンの予定を述べます。つまり、自宅で軟禁されている人間たちは皆殺しに遭うのです。
だからいっせいに処分できるように建物内に待機してろってことだったんだね!というオチだそうですが、その管理をする手間のほうがなんだかめんどくさそうですけどね。
実は人間たちのスキャンをして知識を全部吸い上げるのが彼らの本当の目的(当初は、地球上の環境や動植物の研究が済んだら立ち去ると言ってた)だったのであります!
ショーンが捕まえられなかったら、スマイスがその第一号になるということが告げられ、焦るおじさん。

その頃ショーンはパパの友達の予言をもとに、森の中の石柱を見に行きます。
落書きにしか見えない石柱ですが、ある一定の角度から見るとメッセージが浮かび上がります。
ちなみにアレックスとイチャイチャし始めるショーン。フラグです!

そしてその頃、スマイスに捕まって拷問され、殺されるホテルの用心棒おじさん。彼は口を割らないまま、誇り高く死んでいきます。

ショーンはようやくパパと再会します。
森の中に住んでいるヒッピーのような集団は、なんと時計職人の手によってセンサーを取り外して自由に生きているのです。このへん、「バトロワ」の首輪みたいですね。
しかし、彼らの足取りを追ってきたスマイスたちやロボたちがガンガンに攻めてきます。壊されるユートピア。しかしショーンも黙っちゃいないぜ!
空飛ぶ戦闘機型ロボに乗り(物理的に上に乗る)、華麗に立ち回ります。

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(地道に移動中のロボ)

その姿を見て、ショーンに俄然興味を示すボス。ボスはショーンを煽ったり、自分の研究材料になるように説得したりしますが、結局ショーンは自分が操っていた戦闘機(しかし風圧とか無視しすぎじゃないでしょうか。戦闘機の上にそのまま立ってたら吹っ飛ぶぞ)を母艦のようなものにつっこませ、ボスをも壊し、そのボスの体から世界中のロボットに接続して強制シャットダウンをしてしまいます。そして世界に平和が訪れ、皆はどんちゃん騒ぎをしながら幸せなキスをして終了。
あっ、スマイスは死んでます。

ロボとかアクションとかが苦手な私でも、普通に面白かったな。
自宅に閉じ込められて延々機械に管理されている状態とか、どんどん朽ちていく家や施設の廃屋ぶりとか、監禁から解放された人たちの歓喜の声とか、最先端の拷問(スキャン)で殺される人たちとか、なかなかにゾクッとくる要素が詰まってました。
あと、ショーンがずーっと家で体を鍛えまくっているという設定も細かくて良かったかなと。
ただ、主人公のパパがパイロットで、ネイトと一緒にショーンに助太刀いたす!という感じになった時にはちょっと口あんぐりでしたけど。
ママが馬で逃げたのも良かったですね。馬でめっちゃ走ってるから、大声で呼んでも気が付かないでドンドン先に行っちゃう、というのがコントみたいでした。

しかし廃墟とロボの組み合わせってよだれが出そうに素敵だ。