「バッド・マイロ!」

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2013年「バッド・マイロ!」を見た。アメリカ映画なんですけど、まぁ、ヒッジョーにくだらない映画です。
「ET」やら「バスケットケース」やら「グレムリン」やらに影響を受けていそうな気もするのですが、ホラー風「Ted」かというとそうでもないような。
どちらかというと「パペットマスター」とか「チャイルドプレイ」みたいな、ドール系ホラーにも見えます。ドール系ホラー面白いですよね。

あらすじ

真面目な主人公のお尻の穴から生み出された凶暴な怪物が大暴れするさまと、主人公と怪物の間に芽生える奇妙な友情を描いた奇想天外インディーズ・バイオレンス・ホラー・コメディ。主演は脚本家としても活躍する人気コメディ俳優のケン・マリーノ。監督は、これが長編2作目のジェイコブ・ヴォーン。

真面目でお人好しの平凡なサラリーマン、ダンカン。そんな彼の周囲には曲者と変人が勢揃い。その性格ゆえに誰にも不満をぶつけることもできず、いつしか彼のストレスは頂点に。すると、このところ変調を来していたお腹を猛烈な痛みが襲い、彼は意識を失ってしまう。そんなことがたびたび起きるようになるダンカン。折しも巷は、奇怪な連続惨殺事件で大騒ぎ。やがてセラピストに相談したダンカンは、自分の腹痛と殺人事件に関連があることを知る。なんと、彼のストレスが生み出した凶暴な怪物がお尻から出入りしていたのだ。セラピストの助言に従い、その怪物を手なずけるべく、マイロと名付けて一緒に暮らし始めるダンカンだったが…。
http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=350614

ネタバレ

マジメな会計士の腸内に、ネガティブでストレスの塊が誕生!それがモンスターとなって、憎いやつらを殺しまくる!という話なのですが、それに翻弄される主人公が自分の親子関係を見つめ直すという、よくわからないことになっております。
線でつながらないよ、この関係性。

冒頭。
何かに追われて家に逃げ込むダンカン。妻に地下室に逃げ込むように言いますが、扉を破られる!という緊迫した始まり方です。

時間が巻戻ります。
ダンカンはストレスがお腹にくるタイプであり、
・仕事が会計士なのに、リストラ担当にまわされる
・新しい同僚はデリカシーなし(ミスで大事な書類を全消し)
・新しい部署の部屋がトイレ(一応使ってないみたいだけど……?)
・ママの再婚相手が若いインド人で、すぐに下ネタの話に走る
・なかなか子どもができないので「おめ~ら不妊症なんじゃね?」とバカにされる
・そして、パーティにわざわざ産婦人科の医者を呼ばれる
という、なかなかのストレスフルぶり。

すぐにダンカンはトイレにこもってはブリブリしているわけですが、この音がすさまじく汚い。アメリカのコメディは下痢の音がよく出てきますね。

しかし、ミスした同僚が死体で発見。もちろん、犯人はダンカンのお腹の中に住むマイロなのですが、彼はそれに気がついてはいません。

腸にポリープのようなものがあると診断されているため、手術することになるダンカン。しかし手術中にマイロが大暴れしてしまい、医者の顔はダンカンの尻に埋まる始末であります。

嫁に勧められたカウンセリングを受けに行くダンカン。
乗り気ではない彼ですが、カウンセリング中に尻からマイロが出てきちゃいます!
このカウンセラーがダンカンの力強い味方になってくれるのですが、彼がまた「肛門にまつわる神話」の本とか持ってるもんですから、すぐに事態がを飲み込むダンカン。

さて、マイロは尻から出て、パーティに来ていたゲスな産婦人科医を探します。 彼は娼婦と路地裏でお楽しみ中だったのですが、マイロに襲撃されて急所を噛み千切られてしまいます。

戻ってきたマイロですが、カウンセラーの助言で彼と向き合うことに。
優しくしながら、自らの肛門にマイロを戻します(何ちゅう話だ)。

ダンカンの上司は嫌な奴で、彼の腹痛の原因でもあるのですが、会社の顧客の株をこっそり売るという不正をしており、ダンカンにも不正をそそのかしたりもします。
こいつ、絶対後で殺されるな。

自分の過去と向き合うべく、大嫌いな父と会うダンカン。マイペースで自由人のダンカンパパですが、この父にイライラする彼。またトイレに駆け込みますが、パパを殺そうと出てこようとするマイロを一生懸命尻に戻します。
ここが汲み取り式トイレなので、見た目にもすごーく汚い。
マイロもマイロで、糞が付いた状態でブルブルしたりするのですごーく汚い。
なお、父にセラピーを一緒に受けようと誘って見事に断られます。

マイロを連れて出勤するダンカン(シャツにウン○つけたままで)。
お腹が減ったと騒ぐマイロのために、生きたネズミを肛門に入れようとします。
ただし、マイロがそれを食べる直前に同僚がやってきて、FBIが会社の資産を差し押さえに来たことを知らせます。もちろん外道な上司の仕業。
怒ったダンカンはパンツを脱ぎ、上司のフィルを殺してしまいます。
(殺したのはマイロだけど)
エレベーターの中を血まみれにして、フィルをもぐもぐするマイロ。

しかし、フィルのせいで貯金はゼロ(ダンカンの年金もとられた)。しかも妻の妊娠が判明します。

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その一方で、赤ちゃんのように甘えるマイロ。彼を教育するためにダンカンは妻のもとを離れ、人肉以外のものを与えようとしたり、ルールを学ばせようとしますがうまくいきません。

父とセラピーに行くダンカン。いつものカウンセラーと3人で話していると、お互いにストレスがたまりすぎたのか、ダンカンもパパも倒れちゃいます。
そしてダンカンのお尻からはマイロが、パパのお尻からはヨボヨボのモンスター、ラルフが出てきちゃうのです!
そう、なんとこれは遺伝だったのであります。

とにかくマイロを外に出した状態でダンカンは実家に走り、パーティ中の妻を地下室に非難させます(冒頭につながる)。
ダンカンを追いかけてくるマイロ。下水道に入り地下室へ落ちていき、なんと妻を襲います。

妻を守るため、皆の前でマイロの手足を切り刻むダンカン。
母はそれを見て息を飲みます。別れた父の「ラルフ」のことを知っていたママ。しかし、まさか息子に遺伝していたとは!と驚くわけです。
でもマイロを「僕の一部だ!」と宣言するダンカン。
マイロはおとなしくなり(死んだのか?)、やっと皆に平和が戻ってきます。

残った人たちでハッピーエンド……ですが、死んだと思われていたパパ(カウンセリングの場で、マイロに殺されかけた)は何かを感じています。
そう、ダンカンの妻のお腹の中にいる子どもにも、“マイロ”がいるのだと……!

後半の展開が早すぎて何が何だかですが、史上最強に呑気といえば呑気なモンスターの修羅場でした。見た目がコミカルだからでしょうか。
ラストは「妻のお腹の子も同じ体質」なのか、「妻のお腹の中にマイロがいる」のか微妙に判断できないような感じだったので(そもそも、胎児のなかにさらに胎児がいるような描写はさすがに現実的でもないような)、考えているうちに映画が終わっちゃったなあ。

時間が経つにつれて、マイロがかわいく見えてくるのが不思議であります。
抱っこするのにちょうどいいサイズ、みたいな造形にしてあるのが変な感じ。

それにしても、こういう映画は男性的だなあと思う。女性よりも男性のほうが圧倒的にお腹が弱いイメージがあるからでしょうか。
(もちろん、お腹の弱い女子もいることはわかってますよ!)
肛門からモンスターを入れたり出したり、というのが女性だとすると、途端にツヤっぽい感じがしますしね。男性だとバカバカしいですむけどさ。
しかし、こんなに大きいものが出入りしているのによくヒビが入らないよなとか、もう切れ痔なのかな?とか、アメリカに痔ってどのくらいあるんだろう?(映画であんまり出てこないですよね、痔って単語)とか、やたらとお尻事情に思いを馳せる結果になりました。