「スマート・アス」

smartass

2014年のフランス映画「スマート・アス」を見ました。
ホラーじゃないですけど、「パフューム」みたいなジャケットの感じに惹かれて見てみました。
もっとスキャンダラスな内容かと思ったのですが、意外と切なかったり、スクールカーストについて描かれたりもしていて興味深かったです。

あらすじ

エリート校に入学したダン。
だが、彼は女の子にモテないスクールカーストの最下層の人間。
だが、レズビアンのケリアと人気者のルイと一緒に、モテない男子学生に街でスカウトしてきた女性を娼婦としてあっせんする仕事を始めたことで、人生が変わりだす……。

ネタバレ

エリート校に入学したものの、女の子からは相手にされないダン。ルームメイトの男の子とノリノリで(ちなみに彼のマス○ベーションシーンも出てきます)、新入生歓迎会で女の子をナンパすることに。でも当然、怪訝な顔をされて終わり。

そこで知り合ったシニカルなレズビアン・ケリア(ケリー)と意気投合するダン。ヨット部や学生部など、女の子にモテモテの男たちと比べると、なんと自分の憐れなことか!と嘆くダンですが、ケリアはうまく女性をコントロールして、ダンのルームメイトの男の子にガールフレンドをあてがい、美人と経験を重ねさせます。
すると自信をつけた彼は、自力でガールフレンドをゲット。
スーパーの店員やスタバの店員に声をかけてその気にさせるケリアの手腕に舌を巻くダンですが、それを見ていたのが学生部の中心人物であるルイ。
イケメンで実家はお金持ち、自信満々のルイはダンとケリアに近付き、仕事を持ちかけます。

それこそ、街中で素人女性をスカウトして、娼婦の派遣会社を作るというもの。
娼婦のスカウトはケリアが、男たちに話をつけるのはルイの仕事。ダンは経理です。
ダンは軽薄なルイに呆れますが、ケリアは「あなたは優しすぎる。女の子をものにしたいなら、それだけじゃだめ」と助言を施します。

しかし、モテモテの男たちはその横で、床に水だかビールだかをまいて、その上を滑って「ウェーイ!」と盛り上がっておりました。今年の夏に、道路をつぶして同じようなことしてますよね。言ったら悪いけどバカ丸出しっぽいやつ……世界共通なのかな?こういうノリ。

さて、順調に仕事が進むなかで、ダンは気になる女の子を見つけます。香水売り場にいる販売員の子ですが、うまく誘えずにはぐらかしてしまうダン。
しかし、彼女とパーティで再会を果たしてこれは運命かも!?と舞い上がったら、なんとこれはケリアの配慮。彼女も既にスカウトされており、娼婦に登録していたのです。

一方、ルイは許嫁の存在に悩んでいます。嫌いじゃないけど好きでもない。なんとなーく流されているけれど、本当にこの子と将来結婚していいのだろうか?とふわふわ中。
実は気になるのはレズビアンのケリア。しかし、彼女は本当にレズビアンなのか疑問が残るところです。

売上が伸び悩んだため、工学校にまで手を広げる3人。仕事をどんどん広げていきます。

ダンは気になる彼女(香水売り場にいた販売員の女の子)に告白しますが、「私はこんな仕事してるから、彼女になれない」と断られます。

それぞれの家に遊びに行っている彼ら。
ダンの家はおしゃべりなパパがいて、ルイの家にはおしゃれなママと広い家。そしてケリアの家には、気難しそうなお父さんと狭い部屋、日本のコミックにまみれた彼女の部屋がありました。
「CCさくら」のねんどろいどフィギュアみたいなのがあってちょっと笑った。

さて、突然ですが彼らのことが学校にバレてしまいます。懲罰対象になる彼ら。おそらく退学になるのではないか?
ダンは最後にもう一度、気になっていた彼女と会います。
しかし、やはり時は巻き戻せない。彼女はダンと付き合えないとちゃんと口に出します。
「あの時、香水売り場でデートに誘ってくれていたらOKしていた」と語る彼女。
彼らの間には客と娼婦という関係はあるのですが、それ以上のものを生むことができなかったのです。タイミングを間違えただけで。
この彼女が「後ろの女の子があなたのことを見てるから、私が去ったら別れたことをアピールしてみて。そしたら付き合えるわ」と助言して去っていくのがなんとも悲しい。

ルイは、ケリアに気持ちを伝えようとします。しかし、気持ちを閉ざすケリア。
彼らはそのまま懲罰会議に出席します。そしてその処罰が下されそうになるなか、ルイは突然ケリアにキス。ケリアもそれを受け入れます。
濃厚なキスが続き、もうべろんべろん舌を絡ませるのでちょっと笑ってしまう。鯉みたいにチュッパチュッパ吸い合っている彼らの姿で、映画は終わります。
横にいるダンがちょっとかわいそうですね。

映画のタイプとしては「恋するポルノグラフィティ」にも通じる、性を商売にしようとしたら後から愛情が生まれてきて、身動きできなくなっちゃうタイプの青春映画。こういう映画はとても好きである。
フランス映画なのにまだるっこしくないのも好ましいです。