「新選組・オブ・ザ・デッド」

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2015年のゾンビ映画「新選組・オブ・ザ・デッド」。別に見なくても良かったかな……としみじみ思ってしまうのは、やはりロケ地である日光江戸村の既視感がハンパねぇからでしょうか。
意外とグラドルの水樹たまさんの芸者の演技がおきゃんでかわいらしく、その代わりに俳優さんの演技が棒だったのでずっこける。

「新選組・オブ・ザ・デッド」の特徴

・バナナマンの日村さんがゾンビになったよ!
⇒すごく中途半端。あんまりスケジュールがとれなかったのか?ってくらい、ちょいちょいしか出てこない……。そして日村さんが主人公じゃないんですよね。さらにそこまでクズでもなく、笑いのシーンもないのがもったいない!ゾンビコメディっぽいシーンを期待していたのに。
・「新選組」を意識したゾンビ時代劇
⇒史実にはほぼ基づいていない。ちょんまげカツラの予算もなかったのか?ってくらい、ちょんまげの人がいません。そして何より日光江戸村でのオールロケが悲しい。「逃走中」で散々見た場所ばっかだぜ!

なお、この作品のゾンビの特徴は
・発生した理由は不明だが、海外から渡来したらしい
・悪徳商会が見世物として国内に入れたら増えちゃったよ!
・感染すると肌が緑色になる
(だが、なったのか海外の人だけ。日本人は白っぽくなる。なんで?)
・かなりもりもり肉を食べ、ゆる~く動く。
・頭ではなく、首を狙ってもOK。
(ただし、理由は不明。でも首筋撃ったら死んだよ)
・けっこうちゃんと喋れるし、ちゃんと意志疎通できます。

ネタバレ

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主人公は新選組に男装して入っている女の子・火藤純。憧れの山崎さん(昔ピンチを救ってもらった)と再会してウキウキ。
その一方で、新選組の鼻つまみ者・屑山下衆太郎はいつものように、女芸者と遊び歩いています。しかし屑山は、唐突に現れたゾンビのジョージに噛まれてします。(ちなみにジョージはけっこうガツガツと人の足を食べさせられていて笑ってしまった。演じているのはチャド・マレーンさんで、しっかり演技されてたのが印象的)。そのせいで、屑山はゾンビになります。ちなみに、血飛沫はCGで加工、かみちぎる肉は特殊メイクなのかな。けっこう捕食シーンはこだわりがあるようにも思いました。冒頭だけ凝ってます。

同じ頃に牢屋に入れられていた坂本龍馬の力を借り、捕まえたゾンビジョージに話を聞くことに(通訳してもらう)。船の上でゾンビになってしまったため、見世物として売られる予定だったジョージですが、祖国に家族がいるという話を聞いてほろりとする坂本(ロケットペンダントに、合成感バリバリの写真が入っています)。
ちなみに、火藤は山崎に自分のことを覚えているか聞きますが、「そっちの気はない」とバッサリ切られて終わり。
屑山はジョージに噛まれたことがバレ、牢屋に入れられます。

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しかし、火藤が女なのがバレて山崎は卒倒。(ゾンビに噛まれていないか体を点検する流れで)
山崎は出かけることになりますが、そこで黒幕であるカウフマン商会のボス・唐人エックス(黄金バットみたいな名前だなあ)と出会います。奇しくもゾンビを協力して倒すことになり、「お前、やるな」「お前こそ」みたいな爽やかなやりとりもあるけど割愛。
ちなみに画面に血が飛び散る演出(もちろんCG)もありますが、これは見にくくなるからやめてほしかった。そして屑山はゾンビ化が進行します。

坂本とジョージは、人間とゾンビの枠を超えて交流に成功。友達になります。

一方、屑山にくっついていた芸者・なすび奴の体をゾンビ化していないか点検すべく、新選組の仲間・風吉が彼女を押し倒します。ホラー映画らしいおっぱいモミモミシーンもあるのですが、この映画に必要だったのかはわからない。ただ、揺れが大変生々しかったです。
芸者は風吉を関節技でシメ落として、牢屋の鍵を奪って屑山のところへ。しかし、屑山は芸者を噛んで逃げてしまいます。
「今、ここに侍ゾンビが誕生したのだ」って言われても……。

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また、新選組の仲間・黄泉が別でゾンビ化し、トイレ中の坂本と遭遇。尿がゾンビの顔にびしょびしょ当たるシーンもあります。
そして芸者もゾンビに。オッドアイみたいに片目だけ真っ赤になるのですが、最初は横顔だけしか見せず、途中でカメラのほうを向いて正面顔を見せたら感染していた!という構図は面白い。

火藤くんと、実は女だった火藤のことが気になる勘助、坂本龍馬だけが生き残り、火藤へ勘助から告白タイムがあったり、坂本が持っていたキョンシーのお札を屑山に貼ろうとして失敗したり、それなりのギャグシーンがあります。ただ、笑えないですけど……。

追い詰められた坂本を助けてくれたのは、なんとゾンビジョージ。「ゾンビはこの世にいちゃいけないんだ!」「坂本はトモダチだ!」と言いながら、ゾンビを襲って共食いを始めます。共食いというのは新しい気もしますが、これはありなのか。
そして余命わずかなジョージからロケットのペンダントを託される坂本。唐突な感動シーン。感動しないですけど……。

そして屑山はゾンビ化しかかっていたものの、新選組の旗を見て自分の生き方を思い出します。

芸者に襲われた勘助を助けるため、彼女をタテに切り捨てた山崎。「いけずぅ~」と言いながら右半身と左半身に裂けたなすび奴ですが、ここまで人体構造を無視されても困っちゃう。黒幕のカウフマン商会の男は結局屑山に噛まれ、「ゾンビになりたくない!」と絶叫。「じゃあ殺す」と山崎に殺されますが、彼だけは額に刀を受けて死にます。すごーく浅い傷なので「なんでこいつはこれで死ねるのか」とは思いました。

「ゾンビではなく、新選組として死にたい」と言う屑山は、ゾンビのまま切腹して死亡。介錯されて生首が飛びますが、結局この人はどこが屑だったのかなあ?サボリ魔とえばりんぼくらいしか欠点がわからない。もっと徹底的なクズかと思ったんだけど。
そして唐突なナレーションが入り、
「彼はゾンビではなく、侍として死ぬことを選んだ」\ドーン/
からの、突然山崎が火藤にプロポーズ(男装して新選組に入った⇒火藤は贖罪のため、自害するしかない⇒そうだ!俺の嫁にすれば死ななくていいよ!という超展開)。それを受け入れた火藤。

ラスト、坂本と別れを惜しんだ新選組生き残り(わずか3名)ですが、ゾンビの群れに追われて、また坂本が戻ってきて終了。

ゾンビ時代劇ってたしかに史上初の試みのような気もするのですが、時代劇である必要があったのかはまったくもってわからない。そもそも、ゾンビも新選組も日村さんもそんなに出てこないので、自分が何を見たのかだんだんわからなくなってきました。