2013年のアメリカ映画「5 FEARS/ファイブ・フィアーズ」を見ました。短編集なのですが、「ABCオブデス」「V/H/S」「ホラーストーリーズ」など短編で当たりが結構多かったので（「ABC…」については微妙、という気もするが）、こちらにも期待をしていたが……。「視覚」「聴覚」などの五感に関連するエピが5つあります。
■SMELL
うだつの上がらない男がフェロモン香水を手に入れてなにもかもうまくいくように！しかし意外な落とし穴が、という話。いかにもホラーマンガでありそうなエピですね。
謎の訪問販売員の女性に香水を押し付けられる主人公、セス。
ちょっとヒリヒリするものの、リストラを免れたり女の子といい感じになったりと効き目抜群。
香水のつけすぎで肌がとけてくるセス。しかし女の子にはモテモテでヤリ○ン状態。そのせいで、よりが戻りかけた彼女とのデートをすっぽかしちゃいます。
それに気付いてやけっぱちで香水をジャバジャバ浴びるセス。その勢いで女の子たちとベッドインしますが、女の子たちが肌をなでたりかきむしるたびにセスの肌が傷付き、血でびちょびちょに。悶絶するセスと、うっとりと血を体になする女の子たち。
訪問販売員に電話をするセスですが、彼女は現れません。
そのまま朝になって出社すると、肌がどろどろでくっさいセス（なぜか黒いペンキを浴びたようなルックス）に皆ドン引き。悪態をついてゲロゲロして暴れた後は帰宅して、彼女に最期の電話をする社会人のクズであります。
慌ててかけつける優しい元カノですが、そこにはドロドロに溶けたセスがいたのでした。そして息を飲む彼女の後ろには訪問員のマーガレットの姿が……！
彼女を眠らせた後、セスの死体を回収して去るマーガレット。そのエキスをもとに、また新しい香水を作るのであった……。
■SEE
人の視覚（見た記憶）を共有できるシステムを構築した眼科医。いろんな客の記憶を目薬にしてキープ、好きな時にさしては楽しんでいます。
そこに現れた常連患者の美女。この女の子の彼氏がDV男なので、懲らしめるために無料で診察、交通事故・強姦・暴力の記憶が入った目薬をさす眼科医。
男はこのせいで幻覚を見てしまうのですが「負けるもんか」と彼女を撲殺。後で事の次第に気が付きます。
眼科医を襲撃する男。その頃、このおっさんは女の子の視覚を使ってトリップしていたのですが、ものすごいボコられます。
おっさんのお宝目薬を、眼球に直接注入する男。あまりの映像経験に、おっさんは自分で自分の目を抉り出します。
近くでニヤニヤしている男ですが、この男は当然返り討ちにあってブッ殺される始末。
眼科医は部屋から抜け出して外に出ようとしますが（ちなみに喧嘩しているのは個人病院内）、廊下の向こうからやってくる常連患者の女の子！
死んだはずのこの女の子は、ぼんやりした輪郭のままじわじわと近付いてきて、人差し指を出し、残されたおっさんの眼球を潰そうとします。
うわあああ！と絶叫するおっさんですが、実は自分の人差指で自分の残った眼を潰していたという話。
■TOUCH
個人的には、ベタだけど好きな話。
眼が見えない少年とその両親がドライブ中に事故に遭います。何も見えないけれど父と母を助けるために、森の中を進んでいく少年。ですが、森の中で「助けて」という声を聞いて、そちらのほうに足を進めていきます。
少年は何も見えません。ですが、その異様な雰囲気には圧倒されています。
森の中の小屋。拷問器具が並び、男性の死体が寝かされています。 ワナも森中に置かれていますが、少年は小屋の中の小さなナイフを盗み、静かに進みます。
と、ここで謎の男・ヘンリーと鉢合わせになる少年。
やっぱりこいつが黒幕でなのですが、少年は杖を手から落としたフリからのそのままヘンリーの足をナイフでぶっ刺し、逃げることに。冤罪だったらどうするのでしょうか。
少年は木のうろに隠れますが、丸見えなのですぐにつかまりそうになります。
しかし、そこにハードロックないでたちの謎のじいさんが登場。「通報したぞ！」「出てこい！」とお怒りです。とはいえ、このじいさんを呆気なく殺し、少年を追いかけてくるヘンリー。ここで「あなたは潔癖症なんでしょう！」というツッコミをヘンリーに対して少年がするのですが、特にこの特徴がラストに影響するわけでもなかったです。
少年が移動させておいたワナにひっかかるヘンリーくん。倒れたヘンリーに足をつかまれても、眼に小枝を刺して撃退します。
この子、見えないわりに非常に強い。
そんなこんなで警察が到着し、どうやらパパもママも助かりそうというところで終わります。
「触って確かめるのも大事だよ」というのは名言ですね。
■TASTE
ハイヤーで豪華な建物の中に連れてこられている若者。ここは大企業のようですが、仕事を求めてやってきている男性もたくさんいます。
男はとりあえず座って待ちますが、警備の男が話しかけてきます。
「レイシーという女のいうことに歯向かってはいけない」
そう話す男が顔を横に向けると、見えなかった彼の顔の右半分が視界に飛び込んできます。そう、この警備員の右目は白濁しており、失明をしたようなのですが……？？
男はレイシーという女性と対面。
この女性は彼を会社に引き抜こうとしますが、それを男は断ります。警備員の忠告を聞かずに……！
するとレイシーは彼の顔を舐め、そのまま手を刺します。そして鉄製の牙がついている仮面を顔にはめ、男の手や顔をばりばりと噛み砕こうとします。
顔をめちゃくちゃにされつつ、会社を彷徨う男。それを気の毒そうに見つめている社員たち。
血まみれのレイシーの前に、「次の面接の予定です」と秘書が現れます。
■LISTEN
「聞くと死ぬ歌」をモチーフにしたエピ。この伝説の発禁曲をもう一度この世に誕生させようとする2人の男たちの話なのですが、POV形式で進行する唯一のエピです。
封印されていたテープはバラバラになっており残されており、つなぎあわせるための作業が続きます。
しかし、テープを盗んだり、謎のメールが届いたり、指定された場所に行くとテープの一部が置かれていたり、不思議な出来事が続きます。
しかし、このテープを何度も見て編集するうちに性格が荒れまくり、喧嘩が続くようになる2人の男。
テープには演奏を試みては倒れていくピアニストたちの姿が映っています。さらにようやく演奏に成功したピアニストも、それを観客として聞いていた被験者たちも、録音していた人も同時にバターン！と倒れて死んじゃう映像もあるのです。
この映像を編集したスタッフがその場で死んでいるのを発見した男たちですが、既にこの映像、動画サイトにアップロード済。完全版の死の曲がどんどん広まっていきます。
ラストは「この動画を見てはいけない」という警告を録画しているところで終わり。しかし、最後にキエー！と片方が発狂していたので、もしかしたら死んでるのかもしれません。というオチのようです。
そういえば冒頭で、男性がなぶられまくった挙句に目も鼻も耳も口も縫われる男の映像が挿入されているのですが、この人はどうなったんだ。
全体的にゆるいお話でした。