男の子の青春映画は、ひたすら酸っぱい「プールサイド・デイズ」

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2013年の青春映画「プールサイド・デイズ」を見ました。
アメリカ映画なんですけど、「ファミリー・ツリー」の脚本家コンビが手掛けてます。すっごくおすすめのお話。
超絶イヤな“大人”を演じるスティーヴ・カレルと、ゆるゆるの優しい大人を演じているサム・ロックウェルの共演シーンにも注目だ!

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あらすじ

母親の恋人と一緒に過ごす最悪の夏。
何もかもがうまくいかない主人公・ダンカンだが、プールでのアルバイトを通して、最高の夏休みを体験することになる。

ネタバレ

THE WAY, WAY BACK......©WWBSP LLC. All Rights Reserved.
THE WAY, WAY BACK……©WWBSP LLC. All Rights Reserved.

母の恋人・トレントとその娘、母・パムと4人で過ごす最低の夏休み。主人公のダンカンは人見知りでインドア派であり、トレントはおとなしい彼につらく当たります。
出かける車の中で「自分に点数をつけるなら?」と問いかけてくるトレント。
「わかんないよ」「わかんないよじゃないだろう」と怒り出され「俺はお前が3点だと思う!」と断言されるかわいそうなダンカン。
「友達はいない、部屋でゴロゴロ。そんな人間は3点だ!」
うっ、心が痛い……!

トレントの友人と一緒に過ごす母・パム。ですが、イマイチ相性が良くなく、無理やりに彼の友人のノリで過ごしています。そんな母を見てまたやりきれないダンカン。
トレントの娘・ステフ(ギャル)には「キモーイ」扱いですし、隣の家の小学生を友人にすすめられる始末。

トレントはパパと過ごしたいと主張しますが、それは叶いません。
しかし町で出会ったちゃらんぽらんなプールの監視員・オーウェンに出会い、徐々に明るくなっていきます。
また、隣家の女の子(ステフの友人)であるスザンナとは、父がいないという共通点から接近。スザンナのパパは同性愛に目覚めたそうですが、ママはそのことでも、自分に相手がいないことでもイライラしていて、スザンナとの関係も空回りしています。

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あるパーティ中に、トレントとその友人女性がキスをしているところを目撃してしまったダンカン。彼はママのことを思いやり、沈黙を貫きます。

プールで勝手に踊っていた(ダンス大会をしていた)青年たちに注意をして、ダンスバトルを申し込まれたダンカン。そのダンスをきっかけに、ダンカンは「ポップンロック」という名前でウォーターパークに溶け込みます。
そしてスザンナともいいムードに!

しかし、一方で家の雰囲気は最悪。
融通の利かないトレントは、ボードゲーム中に「いや、それはルールとは違うね」「ちゃんとやってね」とキレ、パムもその態度にキレてしまいます。
トレントは家を飛び出し、無断外泊。

そして後日行われたパーティで、母・パムと同じようなファッションで現れる浮気相手。しかも、ママの得意な料理で張り合います。
その最中に、トレントが無断外泊した日のアリバイが崩れ、浮気していたことが判明。
ダンカンとトレントは大喧嘩になり、トレントは「お前はいらない子どもだ!父親からも捨てられたんだ!」と絶叫。
そう、ダンカンは父親から避けられていたのです。そのせいで、ママはダンカンを父親のところにやらなかったというわけ。

しかも、立ち去ったダンカンを追いかけてきたスザンナにキスしようとして失敗しちゃったダンカン。
彼は隣の小学生・ピーターを連れてウォーターパークに避難します。このピーターくんは斜視で、それをさんざんお母さんがいじり倒しているのですが、オーウェンのフォローの仕方というか、話しかけ方がとても優しい。

この日はいつも「やめるやめる詐欺」をしている従業員・ルイスのための送別会パーティなのですが、これまた楽しいひと時。

ダンカンはオーウェンに告白します。
「楽しく過ごせるのはここだけだよ」。
それを聞いて、頭を撫でるオーウェン。大人が思春期の少年にやる行動としては嫌がられそうな気もしますが、これがまた優しいのよね。

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しかし、急に帰宅することになったトレントとパム、ダンカンたち。どうやらトレントとママは別れることになりそうです。
「このまま残りたい」と主張するも、却下されてしまいます。
スザンナとの別れでは、キスもしちゃいます。

でもこのままじゃ帰れない!
ダンカンは給油中にウォーターパークに駆け込み、スライダーのチューブのなかでオーウェンを追い越して見せる!(これができる人はほとんどいないため、神技と言われているらしい)と宣言。戦いを挑みます。
そして見事、これを成功させるダンカン!

オーウェンとの最後の別れ。
トレントには「どうも、3点の子の親友です」と堂々と宣言するオーウェンや他の監視員たちは、優しく彼の帰宅を見守ります。

そして、ラストは車の最後方のスペース(荷物を置く部分)に座らされていたダンカンの隣に、助手席に座っていたパムがわざわざ移動して微笑みかけるシーンで終わります。

原題は「The Way Way Back」、つまりは「帰り道」というタイトルです。
女の子の青春映画はひたすら甘酸っぱい印象ですが、男の子の青春映画はどうしてこんなにも酸味が強いのでしょうか。
個人的には今年見た青春映画のなかではもっともオススメの映画です。