「高慢と偏見とゾンビ」

高慢と偏見とゾンビ

2016年の映画「高慢と偏見とゾンビ」。なんと、原作もしっかり読んでおります!いつも原作スルーをしている私には珍しい。原作はホラーコメディ色が強いですが、映画はオリジナル映画をかなりフューチャーしており、恋愛映画としての側面も強く残しています。
私はこの「高慢と偏見」が大好きなので、この世界観がたまりません。そもそも「高慢と偏見」は、身分違いの恋、積み重なるすれ違いでお互いの気持ちに素直になれない2人の姿が繊細に描かれているのですが、そこにゾンビを足したよ!というざっくばらんな内容。しかも、ゾンビのできもまあまあいいので、女子ウケは良さそう(とはいえ、この手の映画をどれほど好む女子がいるのだろうかという気持ちもするが)。逆に、男性はこの映画をどう思うのかはわからない。ただ、ドレス姿でガーターのところにナイフや拳銃を隠している女子のセクシーさ、かっこよさはスゴイのであります。コスプレ感も感じられないし。そういえば製作陣になぜかナタリー・ポートマンが名を連ねていますよ。

あらすじ

ジェーン・オースティンの古典『高慢と偏見』をベースに、原文をほぼそのまま用いつつ、内容を過激なゾンビ・アクションに改変して話題を集めたセス・グレアム=スミスの同名マッシュアップ小説を「シンデレラ」のリリー・ジェームズ主演で実写映画化。18世紀末のイギリスを舞台に、結婚への葛藤と恋のすれ違いに胸を焦がしながらも、増え続けるゾンビに立ち向かっていくヒロインの運命を描く。共演はサム・ライリー、ジャック・ヒューストン、ベラ・ヒースコート、チャールズ・ダンス、レナ・ヘディ。監督は「セブンティーン・アゲイン」「きみがくれた未来」のバー・スティアーズ。
18世紀末、イギリス。謎のウイルスが蔓延し、増殖したゾンビが次々と人々を襲っていた時代。片田舎に暮らすベネット家の5人姉妹は、幸せな結婚に憧れながらも、カンフーや剣術の訓練に励み、ゾンビと戦う日々を送っていた。そんなある日、近所に資産家のビングリーが引っ越してきて、さっそく舞踏会が開かれることに。思いがけない殿方たちとの出会いのチャンスに胸をときめかせる姉妹たちだったが、次女のエリザベスは、ビングリーの友人ダーシーの高慢な態度に反感を抱いてしまう。以来、ことあるごとにダーシーに反発してしまうエリザベスだったが…。
http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=357070

登場人物

エリザベス:通称「リズ」。武術に優れ、男顔負けの度胸を持つ。なかなかの美人だが、男勝りすぎてモテない模様。
ダーシー:資産家の青年。暗い過去を持つ。エリザベスには嫌われているが、本人は彼女に一目惚れしている。だが、行き違いの末、彼女の姉と友人の縁談をブチ壊してしまう。非常に強い。
ウィカム:ダーシーの家で働いていた元使用人。ダーシーと仲が悪い。リズは彼の味方になり、親しくなる。ジジェイン:エリザベスの姉。美人で性格もいいが、少し引っ込み思案。資産家のビングリーに見初められる。
ビングリー:ダーシーの親友。やや頼りないが、非常にイケメンで大金持ち。ジェインに一目惚れする。
シャーロット、リディア、キティ:エリザベスの3人の妹たち。恋に恋するお年頃である。

ベネット氏:エリザベスの父。貧しいながらも、娘たちに生き残るすべを教える。
ベネット夫人:エリザベスの母。悪い人間ではないが、世間体を気にするタイプ。娘たちにも金持ちとの結婚を期待している。

コリンズ神父:空気が読めない男。ベネット家の娘の誰かと結婚することになり、リズに求婚するも断られてしまう。
レディ・キャサリン:ダーシーの親族であり、イギリスきっての大金持ち。非常に強いことでも知られる。

ネタバレ

高慢と偏見とゾンビ1

ダーシーは感染者がいる屋敷へ入っていく。「死肉バエ」を使い、ゾンビを調べるダーシー。顔にハエがたかった男を殺す。だが、感染者は彼だけではなかった。屋敷の娘が襲われ、感染が進んでいく。

18世紀のイギリスでは、ゾンビの大量発生に悩まされていた。都心はゾンビに占領され、金持ちたちは田舎に引っ越してきていた。ロンドンは壁と運河で囲まれ、1つの橋を除いて閉鎖されている。
ゾンビは人の脳を食べるまでは恐れるに足らないが、脳を食べるごとに感染が進んでいく。

主人公のリズは、姉妹と共に対ゾンビの訓練を重ねていた。だが、イギリス貴族の流行は「日本での修行」。中国で修業した彼女たちは、やや貧乏人、というレッテルを貼られている。
引っ越してきたビングリー家のパーティに出席したベネット姉妹だが、ジェインが金持ちのビングリーに見初められる。だが、リズはダーシーに酷評され、お互いに悪印象を抱いてしまう。

だが、リズの前にゾンビ化した女性(ビングリーの屋敷に以前住んでいた夫人)が現れ、ゾンビが来襲する。ダーシーは夫人を殺すが、ゾンビを倒しまくる5姉妹の姿、特に美しいリズの姿に見とれ、彼女に惚れてしまったとこっそりビングリーに漏らしてしまう。
しかしながら、リズはダーシーが高慢な男だと毛嫌いしている。

ビングリー家に改めて招待された姉。馬で1人向かうが(母が「いざというときお泊りしちゃえばいいじゃん。むしろするために軽装備でいけ」と言い出したため)、肉屋?のような格好の大柄のゾンビに襲われ、さらには赤ちゃん連れ母親ゾンビに襲われてしまう。

ビングリー家で保護されている姉のもとに走ってかけつけたリズ(かなり遠いのに歩いて行ったことを驚かれる)。ダーシーは姉が感染しているのではと疑うが、こっそり放った死肉バエはすべて、リズが手づかみで潰してしまう。
感染はしていないジェイン。彼女の看病のためにビングリー家に滞在することになったリズだが、彼のイトコたちに散々バカにされてしまう。ダーシーとさらに険悪になるリズ。

ダーシーはイギリスの名士、レディ・キャサリンの甥っ子だ。彼女には娘がおり、夫とは死別している。

ベネット一家のもとにやってきたコリンズ牧師。彼はリズを見初め、彼女に言い寄ろうとする。
(財産を継いでくれる男がいないと、父が死んだら財産は没収されてしまうようだ)
外出中、ウィカムという男と知り合いになるリズ。ダーシーとウィカムも犬猿の仲らしい。ウィカムに親しみを感じるリズ。

だが、ビングリー家で開かれた舞踏会にまたゾンビたちが現れる。彼らは「新しい友達が入れてくれた」というが(喋るゾンビもいるのです)、それは果たして誰なのか?
ビングリーはゾンビに襲われて転倒し、ロンドンに戻ることになってしまう。しかも後日、ダーシーの妹と瓶グリーの間に縁談があり、ジェインのことはなかったことにしたいという手紙も届いてしまう。

リズはコリンズに求婚されるが、断ってしまう。
彼女は墓地に散歩に行くが、そこで山高帽をかぶった謎の4人の男を見かけ、さらにウィカムと再会する。ウィカムに誘われ、遠乗りをすることになる。

聖ラザロ教会に入る2人だが、そこにいた信徒は全員ゾンビだった。彼らは人間の脳を食べなければ人を襲わないのだとウィカムは説明する。

家に帰ったリズは、すぐ下の妹のシャーロットが自分の代わりにコリンズと結婚することを決めたと聞き、驚く。彼女はレディ・キャサリンの謁見に、妹の付き添いとして参加することになってしまう。

レディ・キャサリンの家で山高帽の4人の男の絵を見かけるリズ。「ゾンビ黙示録」に登場するらしい。彼女が墓場で目撃した男たちと似ているようだが?

レディ・キャサリンのもとに、ウィカムをも同伴してきたリズ。だが、そこにはダーシーもいた。ゾンビを利用すべきだと言うウィカムと、それに反対するダーシーは険悪な雰囲気になる。ウィカムは追い出されてしまう。

夜。ウィカムがリズを訪ねてこっそり現れる。ビングリーと姉の仲を引き裂いたのはダーシーだと言うウィカム。駆け落ちを求められるリズだが、それは拒否する。

高慢と偏見とゾンビ2

翌朝、リズのもとにダーシーがやってくる。彼女は緊張しつつも、姉とビングリーのことについて尋ねる。そして、彼が2人を邪魔したことが本当だと知る。2人は体術を交えながら大喧嘩をして、リズはダーシーをけちょんけちょんにこき下ろす。ダーシーは彼女に愛を告白したが、それを踏みにじられて去っていく。

その後、リズに手紙が届く。
ビングリーと姉の結婚を引き裂いたのは、リズの母の失言(金目当てに思われた)が原因だった。
そして、ウィカムとの仲の悪さは、全て彼に原因があった。彼は遺産目当てにダーシーの父を殺してゾンビにしてしまい、その父をダーシーが殺すこととなってしまった。しかも、15歳のダーシーの妹とと駆け落ちしようとしたという。すべては金と復讐のため。リズはウィカムに騙されていたのだ。すべては、彼女の偏見だった。

「世界中の武器で愛ほど強いものはない」
ダーシーはそう思っている。彼はその頃、前線であるロンドンで戦っていた。
そして、リズの幼い妹のリディアがウィカムと駆け落ちしてしまう。だが、彼女は2人が聖ラザロ教会に逃げたようだ。

しかし、リズの家にレディ・キャサリンが訪れる。彼女はダーシーとリズの結婚を認めていない。リズはプロポーズを受けていないと主張するが、彼女の部下と決闘する羽目になってしまう。大男になんとか勝つリズ。だが、リズはリディアを助けに行かなければいけない。ジェインとリズはロンドンに行き、他の家族はレディ・キャサリンが匿ってくれることになる。

同じく前線にいるビングリー。その彼の危機を、かけつけたジェインが助ける。そしてリズもダーシーと気まずい再会を果たす。
ダーシーはリズに代わり妹を探しに行ってしまう。ウィカムと対決するダーシー。リディアは可哀そうに監禁されている。ダーシーは絶対絶命だが、突然、安全だったゾンビが暴れだし、ウィカムを襲う。ダーシーがゾンビたちに脳を食べさせ、覚醒させてしまったのだ。混乱に乗じて逃げるダーシーと助けられたリディア。

橋を爆破する時間になっても、ダーシーが戻ってこない。リディアだけが馬に乗って戻っていく。
だが、ダーシーの行動を知ったリズもロンドンに潜入しており、ダーシーを助けて戻ってくる。ギリギリ、橋の爆破に間に合う2人。
後日、ジェインはビングリーに求婚され、ダーシーもリズに再度プロポーズをする。

その後、ジェインとビングリー、リズとダーシーは合同結婚式を挙げる。だが、その結婚式にゾンビが押し寄せてくる。その先頭にいるのは、もちろんウィカムだ!

感想

・キャストのバランスやドレス、セットの感じも適度に安っぽくなく、素敵だと思わせられる感じ。アクションシーンも多すぎず、少なすぎずなのもいい。
・ちなみにダーシーは「マレフィセント」で彼女の使い魔であるカラスを演じていた俳優さん。ダーシーのイメージによく合っていた。リズもかわいかったし。
・意外にもゾンビメイクや疾走感、迫力など総合点は高め。もっとコメディ的な感じかと思っていたのですが。日本でいうと「源氏物語・オブ・ザ・デッド」とか「竹取物語・オブ・ザ・デッド」とかそういうノリなのでしょうか?