「ドッペルゲンガー 凍てつく分身」

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2014年の映画「ドッペルゲンガー 凍てつく分身」を見たんだよ。ドイツ映画です。
いやあ、もう、この映画は実験で精神がおかしくなる系映画(どういう分類でしょうか)がお好きな人にはんもう!んーもうたまらない!

「es-エス-」の主演であるモーリッツ・ブライブトロイさんと、「WAVE」の主演であるユルゲン・フォーゲルさんが共演しているのね。

※両方ともアメブロのほうで詳細を紹介しているのですが、「es」は囚人と看守に分かれて被験者の精神を調べる実験をしているうちに看守サイドが暴走してしまう映画、「WAVE」は学校の授業でカルト(だっけ?)を扱い、実際に先生が洗脳する側、生徒たちがされる側になったら暴走生徒が大変なことをしでかす映画。どっちも面白い!超おすすめ。

ただし、この映画の邦題を付けた人はアホじゃないかしらとは思いました。ドッペルゲンガーじゃないんだもん。顔が違う人が見えるのは、ドッペルゲンガーじゃあありません!
原題は「STEREO」だそうです。

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あらすじ

バイク工をしているエリックは、ある日を境に謎の男・ヘンリーの姿が見えるようになる。
エリックがおかしくなったのか、それとも―?
それ以来、エリックの身辺が慌ただしくなっていく。

ネタバレ

田舎でのんびりバイクをいじって暮らしているエリック。彼はシングルマザーのユリアと付き合っていますが、彼女のパパは警察であり、エリックにあまりいい感情を抱いていません。(「北斗の拳」を読んでないのにユリアをすぐ連想できたのはなぜだろう)

工場兼自宅の横の空き地にやってきた(急に住みついた)ヒッピーたち。彼らはエリックを見つけてグイグイやってきて、家の中にまで侵入します。
この男たちはエリックを知っているようですが、エリックはポカーン。そこで、謎のフードの男がエリックに絡む彼らを助けてくれます。
「カイテルに見つかるぞ」という言葉を残して立ち去る彼ら。カイテルってダレ?とますますわけがわからないエリック。
この謎のフードの男はヘンリーと名乗りますが、彼にしか見えません。
(なお、エリックをWAVEの主演の人が、ヘンリーをesの主演の人が演じてます。モーリッツさん太ったなあ)

エリックは病気なのかと思って精神科に行ったり、謎の女性(祈祷師みたいだったけど、鍼を打つ人だった。ドイツにもいるんですね)の治療を受けたりします。でも、男は消えません。

ちなみにカイテルはいかにも悪そうなマフィア風の男。ジャグジーに入って女の子を潜らせていろいろさせたり、それ以外にも裸の女をはべらせたりしていますが、どうやら彼は下半身が機能しないようです。
しかし、カイテルの部下のおじさんがトイレ中に、謎の水着を着た女子がくねくね横で踊ってるんですよね。お通じが良くなる舞でしょうか?美人なんだからお仕事選びなさいよね!

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(※マジでこういう水着。そもそも水着なのか?)

ヘンリーのせいで、彼女と喧嘩するエリック。
エリックはユリアを追いかけ、自分がおかしいのかもしれないと打ち明けます。そして彼女はそれを受け入れ、彼女の家へ。素っ裸でベッドに座る彼女ですが、背後から現れるヘンリー。エリックの目の前でユリアを犯し、そして家が燃え上がります。
そうです、夢オチです。

エリックはカイテルと会ってみることに。
しかし、実際は待ち合わせ場所に殺し屋が差し向けられて待っています。そこに誰かが入ってきて……!?
現場に行く・行かないの前に、気が付くともう朝。エリックの手は血まみれ。しかも手の甲に誰かの歯が刺さっています。もしかして自分が?と悩むエリック。

最悪のコンディションでユリアの娘・リンダのお誕生日パーティに行くエリックですが、うさちゃんの人形をプレゼントしたことでニコニコの娘ちゃん。「あなたはライオンね」とか、カワイイことを言ってくれます。
しかしユリアの父親はエリックの前科を調べており、この街に来る前の記録が一切ない(来てからはスピード違反しまくり)ことを指摘。でも、エリックはその追求をかわします。

エリックはユリアとリンダを守るために、カイテルと対峙することになります。カイテルの店(なんでもありのクラブみたいな店)に行き、吸い付く男女を横目にキョロキョロぽつんのエリック。その様子は監視カメラでしっかり見られています。
残念ながらユリア、ユリアの父親(警官なのに……)、リンダは誘拐されてきており、カイテルはリンダに「これはパパ?」とエリックの画像を見せます。
しかし、ここのやりとりがまるきりコント。
「パパなのか?」「ライオンよ!」「いや、パパなのかそうじゃないのか」「だからライオンよ」
って何なのでしょうか。
結局、本当のパパじゃないことがわかり、子どもは巻き込めないと別室へ。意外とカイテルは紳士ですね。

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(監視カメラのエリックのキョロキョロ感が童貞っぽい。しかし、絵が適当すぎたと反省。)

トイレで暗殺者と対峙するエリック。実はこの前の時点でエリックは鍼治療をしており、首に刺さった1本の鍼を抜いたらすべてを思い出す(もとのエリックには戻れなくなる)ことを謎の女性から告げられています。鍼刺しっぱなしって危なそうですね。
つまり、彼には忘れたくなるような過去があったのです。その鍼をとうとう抜くエリック。彼は記憶を取り戻します。

実はエリックは超悪人であり、カイテルの金を奪ったうえに彼の下半身を傷付けて逃げていました。
そして弟の家に逃げ込み「一緒に逃げよう、でないとお前も殺される」と告げるのです。混乱する弟。その人こそ、エリックにまとわりついていた謎の男・ヘンリー。つまりヘンリーは彼の弟だったのです。
ということはもちろん、ヘンリーはエリックのせいで殺されます。それだけではなく奥さんまで殺されており、その愛妻の死体を抱きながら殺された、かわいそうなヘンリー。

ここでエリックは覚醒して、殺人術を駆使して大勢いる敵をぼんぼこぼんぼこ殺しまくり(このへんはフツーのアクション映画)、ユリアたちを見つけて一緒に逃げます。
しかし、足止めをするために自分だけ建物内に残ることに。ユリアは手を伸ばしますが、無情にもドアは閉まります。
死にかけているエリックのもとにやってきたのが、ヘンリー。二人はタバコを並んで吸いますが、ヘンリーはこう告げます。
「善人は耐え忍び、悪人はのたれ死ぬ」
そう言っていると、ユリアが戻ってきてエリックを助け出し、バイクの後ろに乗せて走り出します。助かったんだ!
微笑む彼ですが、その体はまだ、カイテルの建物の中にありました……。

という、見事なバッドエンド。
「悪人はしょせん、悪人らしくしか死ねないんだ」というラストなのか、こうして彼は罪を償うつもりだからこそ悪人として死んだのか、じんわりと後味の悪さが残る映画。
主演のユルゲンさんの歯がワルらしくがったがた(というか、シンナーを吸った人特有の歯のスケスケ感が……)だったのが印象的でした。
主演のお二人の演技は見事ですし(というか、全体的に演技はうまい人ばかりだと思う)、リンダの誕生日会でもエリックが感じている漠然とした不安の空気感の表現みたいなものが面白かったりもしたのですが、暴力、拳銃、バイクといった男の子の好きなもの詰め合わせ★みたいな感じが、私はあんまり……。すみません、アクションが得意じゃないものですから。
まあ、とりあえず、これホラーじゃないよな。