おじさんの願いを7つ叶えよう→金!顔!!という現実ピリ辛映画『デッド・ウィッシュ』

デッド・ウィッシュ

願いごとを7つ叶えると、おそろしいことが起こる。

こういう設定のホラー映画はたびたび目にしますが、大抵がティーンエイジャーが主人公な印象があります。自分の欲望をコントロールできない幼さが暴走を加速させていく… という演出ができるからでしょうか。

この映画は違うぞ!なんてったって、おじさんが主役だからさ!!

『デッド・ウィッシュ』。2018年製作のアメリカ映画。

脚本は『ファイナル・ディスティネーション』の方(ジェフリー・レディック)なんですけど。

それより、主人公の母親役で出演しているのが、『-less』での狂演が懐かしいリン・シェイが出演しているではありませんか!!!それだけで得した気分。年をとって今もなお、お美しいです。

ストーリーはかなり辛め。とにかく世知辛い。

弁護士の試験に合格したものの、アイビーリーグ出身ではないため事務所に所属できず、カフェでアルバイトをしているアーロン。お金はない、彼女もいない、友達もいない。そんな彼が父親の葬儀で地元に帰ることに。

疎遠になっていた母親や元カノとも改めてぎくしゃくし、孤独を深めていくアーロンだが、骨とう品店を営む父の所有していた不思議な壺(骨壺)を見つけて以来、なぜか願いが叶うように…!?

と展開していくのですが、わりと映画としては評価しにくいタイプ。

  • ルールがわかりにくい(何と引き換えに願いが叶うのかがよくわからないまま進む)
  • 願いごともわかりにくい(主人公が願ったのか、願いの代償として起きたことなのかの区別がつきにくい)
  • 画面全体がうす暗くてごちゃごちゃしている

そもそもこの壺がいわくつきで前にも被害者を出しているのですが(そのシーンが冒頭に挿入されている)、それはいいのよ。

主人公の願いごとがただただぼんやりしているというか、叶ってから「ああ、そういうことね」とこちらが納得するというか…

貧乏だからお金が欲しい→宝くじにあたる っていうのはわかるのよ。ベタだもん。

隣家の犬うるせーな!→死んで発見される というのもホラー映画としては理解できる(とっぴだとは思うが。あと犬かわいい)。

突然交通事故にあって整形手術することに→ちょっとイケメンになる ってのはなんなんだ。いや、そもそもイケメンになったのかもよくわからない。

あと母親に対する願いはそもそも不明(主人公が「母に対して願った」って言ってたけど)。元気になってほしいとか、機嫌を直してほしいとかそういうこと?「父親を蘇らせてやっぱりやめた」っていうのも謎すぎる。「やめます」で受理されるんですね。

そして願いと引き換えに死が訪れるのかと思いきや、そういうものでもないような…?

わかりにくいんですよね。隣人が亡くなったりもするけど、願いに関しての見返りとして命を持っていかれたのか(そもそも仲の悪い隣人だし…)説明もまったくないし。

あと自分に願いを叶える骨壺を意識させた親友が、実は死んでたという設定もよくわからない。彼は壺が見せた幻覚だったのか(いいキャラなんですよ)。

ラストは主人公が願いを全部つかいきって死亡(だと思われる)、アーロンの母と元カノは元気を取り戻し前向きになるって展開なんですけど。最後、アーロンの母がなぜか元カノに骨壺をあげて終わりなんですね。

呪いは続くということを意識させつつも、このイヤゲモノ感に圧倒されて終わる。

ばぁさん!謎の壺を息子の元カノに渡すなよ!いらねぇだろ!!