友達の指を切り取った過去を持つヒロインって怖すぎないか…『マーシー・ブラック』

マーシー・ブラック

アメリカ映画『マーシー・ブラック』を見ました。2019年の映画。

めちゃくちゃ変わった映画ですね。

幼い頃に、親友のレベッカにそそのかされてもう一人の友達・リリーの指を切り取って儀式をした過去を持つ主人公…という時点でもう、グエー!と叫びたくなる怖さがあります。どんな小学生だよ。小学生ぐらいならまだパワーパフガールズとか見ててくれよ。

でもそれは主人公・マリーナの母親の病気を治すための儀式だったのですが、当然精神病棟に収容されて15年治療に専念。

その後姉に引き取られて一緒に暮らし始めるものの、嫌がらせされるわ姉の恋人はアタオカだわ甥っ子は急激にサイコパスになるわ… で、かつて友達の指を捧げようとしたマーシー・ブラックについて調べることに決めたマリーナ。

オカルトとミステリーが混じったような不思議な話です。

ちなみに姉ちゃんの彼氏を演じているのが『ウォーキング・デッド』でドワイトを演じていたオースティン・アメリオなんですけど、今作でもブルーカラーっぽい短気なあんちゃんを演じております。犯罪事件マニアで、マリーナに「暴露本を書け」と迫ってくるイヤな奴の役です。

前半は地味な嫌がらせが続く(犬が殺されたり…)のでわりと見続けるのがつらかったのですが、ラスト10分が面白かったですね。甥っ子役の少年の演技が一番目立っていたかも。

この少年、マーシー・ブラックに興味を持って調べてしまったが故に「自分もマーシー・ブラックが見える」と言い出し、夜な夜な会話をしたり、友達を絞め殺そうとしたりとどんどんヤベー奴になっていくのですが…

このマーシー・ブラック、実はマリーナとレベッカが作り出したお化けであり、現実に存在するはずはないもの。でもレベッカは既に廃人と化しており、じゃあマリーナに嫌がらせをしていたのは…

甥っ子にマーシー・ブラックのことを教えた司書の女性が犯人なのですが、実は彼女は名前を変えたリリーだったというすごいオチ!

彼女もまたマーシー・ブラックに魅入られていたのですが、マリーナは幻覚なんかに負けないわと立ち上がり、襲ってきた悪霊(この時点で、悪霊は悪霊で存在しちゃってるという印象だが)に打ち勝つのです。そして甥っ子を人質にするリリーに迫りますが…

そのリリーを殺したのは甥っ子。ナイフで目を突き刺し恍惚とする少年に対してはおいおいダークサイドに堕ちてんなと思っていたのですが、その背後にいたのがあのマーシー・ブラック…!?というオチです。

そもそもマーシー・ブラックはカカシのような、カボチャ人形のような造形なのですが、“子供が作った”という名目があるからチープでも許せちゃう。でも、CGで動かしていると少し冷めますネ… DVDの宣伝に書かれているような「ペニーワイズに次ぐ強烈キャラ」ってことはないと思うよ。

いやぁ、お話自体はそんなに怖いと感じていないのですが「友達にそそのかされて他の友達の指を切る」ってバックボーンが怖すぎる。

そのこと自体は最初ほぼ説明されない(何かをした、ということだけはわかる)ので、後からじわじわ「そりゃあ呑気に『家から歩ける範囲で仕事探そうかな』って言ってても無理だろ」という気持ちになりましたね。

でも姉に裏があるのかと思いきや、普通に親切な姉で驚きました。ヒロインのルックスがわりとエキゾチックだったのも内容と相性がよかったかも。