オリジナルが好きな人にはおすすめできない理由がある!『キャンディマン』(2021)

キャンディマン

2021年に公開されたアメリカ映画『キャンディマン』を見ました。

うー---ん、なんだろう… 難しい…

有色人種、特に黒人の方々が妨げられ、差別されてきたことを映画に盛り込んでいるんですが、警察官が彼らを不当に扱ったりするシーンもあります。

あらぁ、『キャンディマン』ってそういう、立派な主張があるような映画じゃなかった気がするんだけど… 面食らいましたね。なお、ホラーには珍しく、黒人のゲイ男性も主要キャストで登場しています(ブリアンナの弟)。

そういう主張が色濃すぎて、本来の純然たる恐怖が薄まってしまっているのは残念。理不尽な恐怖がもっとも怖いじゃないですか。理由のある恐怖だと「そりゃそうだ、〇されるだけの原因がある」(もしくは「わかるけど、そこまでやるか?」みたいな)みたいな感想になっちゃう。

お話はこちら。あるアーティストの男性・アンソニーがスランプに悩み(黒人の抑圧されてきた過去をアートに反映しろ!みたいなオーダーあるんですね。売れるし、注目されるから。アートシーンを風刺しているのかな)、キャンディマンの都市伝説をモチーフに作品を作ることに。

しかし、その都市伝説が広まっていくことでキャンディマンがアンソニーの友達や個展の客を殺してしまい、さらにはアンソニー自身もキャンディマンに侵食されていきます。この時に、キャンディマンは登場せず、ただ「ギャー!」「わー!」と叫んでいる声と隙間から血が見えるようなシーンがあるだけ。

そもそも、キャンディマンはひとりじゃない。不当な死を迎えた人々の“集合体”だったことがわかります。彼の恋人・ブリアンナはアンソニーを心配し、失踪した彼を探しますが、諸悪の根源はアンソニーにキャンディマンのことを話したクリーニング屋のじじい。

幼い頃にキャンディマンに遭遇して魅了されてしまった彼は、キャンディマンを完全復活させるべくアンソニーを利用したわけですね。

唐突に現れた警察に救助されるブリアンナですが、不当な扱いを受け傷付き、キャンディマンを召喚して(彼氏はすっかり一体化している)警官をぶっ〇してもらってエンド。ムチャクチャだよ。こういうことしても何も変わらないじゃん、と言いたいけど、何をしても変わらない差別主義者、仕事のできない能無しに制裁を!ということなのかな。

ちなみに、キャンディマンのビジュアルや登場シーンはかっこいいんですよね。アンソニーの中のキャンディマンが疼くと、蜂が登場してブンブンたかってきたりするのもいいし、一体化すればするほど蜂が増えていき、覆われていくのもかっこいい。

登場シーンでは壁の割れた隙間からぬっと大男(片手は鉤)が登場して、キャンディを差し出してくるのであります。日本だと何アメなのかな。どんぐりガムとか出されたらほっこりしそうですね。たべたくなってきた。

そういえば、オリジナルでキャンディマンを演じたトニー・トッドも出演しているらしいですけど、どこにいたのか確認するの忘れた…