2006年のニュージーランド映画『ブラックシープ』を見ました。ニュージーランドホラーってほとんど見たことがないかも。イギリス映画かと思っていたけど違いましたね。
突然狂暴化した羊たちに襲われ、噛まれたら羊になってしまう!そんなパニックに巻き込まれた羊恐怖症の青年が主人公です。この話、非常にアクが強い。下ネタてんこ盛りです。
あと、環境活動家ギャグがてんこ盛り。ヨガとかアロマとかベジタリアンとか「あなたは木…」とか。『グリーンインフェルノ』でも環境活動に夢中になりすぎて自己愛のひけらかしばかりになっている人たちをダウナーにバカにしていましたが、こちらの映画ではアッパーにバカにしていますね。前者はじわじわと嫌な目に合わせて、後者は「その話題に終始してしまう」という、ちょっとおバカなキャラクターに落とし込んでいます。
で、本編。
幼い頃にかわいがっていた羊を兄に殺されて、しかもその皮をかぶって脅かされたのが原因で羊恐怖症になったヘンリー。もうこの時点で、兄がサイコパスすぎて怖い。
15年後、兄・アンガスは地元で酪農家として成功をおさめ、ヘンリーは都会へ。兄弟は再会するのですが(ヘンリーは兄にかつて父から相続した土地を売りにきた)、ヘンリーは相変わらず羊が怖いまま。
一方、アンガスやそのビジネスパートナーのアストラッドに対して異議を唱えている環境活動家のグラントとエクスペリエンスは、アンガスの研究所から廃棄物を盗み出します。
その瓶を割ったグラントはなぜか狂暴な羊になってしまい、それがさらに普通の羊にも感染して…!?
逃げたエクスペリエンスはヘンリーとその幼馴染・タッカーと合流。狂暴化した羊に襲われて逃げだします。
しかし、まずここからの展開がすごい。羊が運転中に襲ってくるのはまだしも、運転席をジャックした羊がそのまま車を運転して崖下までダイブします。しかも噛まれたタッカーは足から羊に…!??
研究所の中に逃げ込むと、兄やアストラッドとばったり。アンガスはその日にある新作羊の発表会を無事に終わらせるためにヘンリーとエクスペリエンスを死体を捨てる穴の中に突き落とし、タッカーはアストラッドの実験体に(しかし、なぜかタッカーをもとに戻してくれるアストラッド)。
なんとか脱出するものの、暴走した羊たちは発表会を襲い、襲われた人たちは人肉を求める羊に変貌。
アンガスはグラントに噛まれ、自身も羊化。その過程で羊と合体しちゃう(!)のですが、なにがどうなってそうなるのかわからない。もともとそういう趣味だったのか??
穴からなんとか逃げたヘンリーとエクスペリエンスを助けてくれたのは、ヘンリーの育ての親のマックおばさん。おばさんとエクスペリエンスを脱出させようとするヘンリーですが、彼も既に噛まれていて…
羊に偽装して兄を追うヘンリーですが、そのせいでオス羊から襲われます(羊のエッチなシーンなんて誰が求めているのか…??)。
エクスペリエンスはヘンリーにすっかり恋してしまい(両想い)、やっぱり牧場に残ると決意。マックおばさんが羊を轢きながらエクスペリエンスが撃つというすさまじいヒャッハー世紀末展開がここで見られます。
アンガスとヘンリーの戦いは暗すぎてよくわからないのですが、アンガスの飛行機(コイツ、自分で飛行機運転できるという謎設定)が動いているのを見て思いついたヘンリー、牧羊犬を誘導して飛行機のプロペラとアンガスが接触するように仕向けます。それでもまだ死なないアンガス… 硬くない?
でもタッカーが自分をもとに戻した薬を持って(今更)登場し、ヘンリーは羊に身投げして食べられ死、ヘンリーは羊に向かってライターを投げたら大爆発!いや、羊の腸内のメタンガスが爆発したらしいですけど、なんだそれ。非常にバカバカしいですね。
その後、羊と化していた人たちを戻してあげる主人公たちですが、エクスペリエンスがマックおばさんの持ってきた「山のカキ」を食べるんですね(私はこの時点で「外国にも柿があるのか~」と思った)。そうしたらヘンリーがニヤニヤしながら「それ、羊のキン〇マだぜ」で、終わり。
皆さん、羊のキン〇マで終わる映画、見たことがありますか?
あったら教えてください。
しかし、謎の多い映画である。飛行機ってエンジンかけっぱなしにしたら勝手に動いたりするのか。いや、もっと危機感ありそうなものだけど。アンガスがどうしても成功したかったのはわかるけど、なんで羊ゾンビの研究をしていたのかもわからん。そして治療薬があったのもよくわからん。
ただ、ニュージーランドはキレイでしたね。羊のキン〇マが消し飛ぶほどに。