吐く音にエコーをつけるというセンス「怪奇!死人少女」

「怪奇!死人少女」を見た。2005年にDVDがリリースされた、白石晃士監督の映画です。原作は日野日出志先生。なぜホラー漫画家の巨匠はポニーテールなのだろうか。と、関係ないことが気になったけど、そもそも該当する人は日野日出志先生と御茶漬海苔先生しか思いつかなかった。そして久しぶりに神田森莉先生のことを調べたらとんでもない電子書籍を出してらっしゃるじゃない。ぜひ画像検索を。はらわたがよじれます。

このお話は、美少女が死人となり腐れ落ちながら彷徨い続けるというストーリーなのですが、さすが白石晃士監督。ちょっとしたところでぞくりとするんだよなあ。低予算?でもちゃんと怖いってすごい。

主人公の百合は突然死人となり腐り始め(心臓が止まる描写も紙製っぽい心臓をつかってなされており、面白い)、家族から疎まれ殺されそうになります。しかし父を殴り母の片目を潰し、その母がよろめいて妹の喉を包丁でかっきる地獄絵図。

逃亡する百合は途中で友達と会うも、腐った手が落ちて逃げられてしまいます。しかも人さらいにつかまり、見世物にされることに。百合の腐臭で吐く観客。ゲロの音にエコーをかけるのはなんなんだ、笑っちゃったわよ。

百合が内臓を引きずって歩く姿に賑わう観客ですが、すぐに捨てられることに。

ここで夢から目をさます百合。なーんだ夢オチが、と思いきや目を切られた母が突然百合の腕を掴み、「あんたはもう死人なんだよ!」と大絶叫。

本当に目をさますと、まだ森のなか。百合の顔も腐り始めていました。しかし追いかけてきた両親、母が「死んで燃やされて灰になるんだよ!」と大絶叫。どうでもいいけどお母さん、たくましいふくらはぎをお持ちです。

百合は追い詰められ、自分の腐りおちた足首を両親に投げる→母の持っていたライターにぶつかる→たまたまガソリンタンクにボチャン→大 爆 発という死のピタゴラスイッチが起き、百合だけ助かります。

死してもなお生きようとする百合。しかし、最後はゲル化して終わり。布で腐りきったドロドロの体を表現していたのはユニークでした。

もしかして女優さんがヘタクソだったから?(しゃべりの演技が壊滅的だったのかも)なのか雰囲気作りかはわかりませんが、一部無声映画みたいな演出もありました。シンプルだけどツッコミどころ満載、ぞくりときて面白かったです。

ホラー漫画を映画化するととにかくチープになりがちですが、この映画にはそれを感じさせないムチャクチャさがあったなあ。ネタにしたくなる面白さとセンスがあったように思います。

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